「指で脂肪をつまむだけで、体がやわらかくなる」としたら、皆さんはどう思われるでしょうか。正確には「深筋膜に刺激を加える」のですが、ストレッチなどをした際「体がかたい」と感じるのであれば、深筋膜と筋肉がくっついていることが一因です。【解説】成田崇矢(桐蔭横浜大学教授)

解説者のプロフィール

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成田崇矢(なりた・たかや)

桐蔭横浜大学教授。1975年生まれ。群馬大学医学部卒。桐蔭横浜大学スポーツ健康政策学部教授。理学療法士。つくば国際大学助手、健康科学大学教授などを経て、現職。2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、水泳の飛込日本選手団にトレーナーとして帯同し、選手のコンディショニングを担当した経歴を持つ。

体がかたい原因は?

深筋膜と筋肉の癒着が可動域を狭くする!

もし、「指で脂肪をつまむだけで、体がやわらかくなる」としたら、読者の皆さんはどう思われるでしょうか。なかには、半信半疑のかたもおられるかもしれませんが、これは私が4年ほど前に見いだした確かな方法です。

脂肪をつまむといいましたが、正確には「深筋膜に刺激を加える」ということです。深筋膜とは、皮膚や脂肪の下にあり、筋肉の上にある組織です。

この深筋膜は、その下にある筋肉をスムーズに動かす役割を担っています。しかし、ふだんからあまり運動をしない人の場合、この深筋膜と筋肉がくっついています。

そのため、実際はもっと筋肉が動けるはずなのに、それを阻害している、つまり、可動域を狭くしているのです。

皆さんがストレッチなどをした際、もし「体がかたい」と感じるのであれば、この深筋膜と筋肉がくっついていることが一因です。

それでは、「脂肪つまみ」の効果を実感していただくために、前屈を例にとって、説明しましょう(下記やり方を参照)。

まず、前屈をしてみてください。その際、かたくなっている部位を把握しましょう。

次に、そのかたくなっている部位を指でつまんでください。指を動かしてグリグリと刺激するのです。そして、もう一度同じように前屈をします。

この手順を何度かくり返して行ってみてください。そのつど、かたいと感じる部位を減らしていくようにするのです。

特に難しく考える必要はありません。かたいと感じた部位を指でつまんで動かすだけでいいのです。少し痛いと感じるくらいの強さで行うようにしてください。

すると、最初に前屈をしたときに比べると、体がやわらかくなっていることを実感できるはずです。

脂肪つまみのやり方

画像1: 脂肪つまみのやり方

前屈をして、かたくなっていると感じる部位を把握する。

画像2: 脂肪つまみのやり方

かたくなっていると感じる部位を指でつまんで、グリグリと刺激する。少し痛いと感じるくらいの強さで行う。

画像3: 脂肪つまみのやり方

もう一度、同じように前屈をする。①よりも体がやわらかくなっているのを実感できる。
※①~③をくり返して行い、そのつど、かたいと感じる部位を減らしていくようにする。
※ここでは前屈を例に挙げたが、ほかのストレッチでも有効。

10cm以上体がやわらかくなるケースも!

私はこれまでに、この脂肪をつまんで深筋膜を刺激する方法を、テレビ番組をはじめとしたさまざまな場面でご紹介してきました。

すると、脂肪つまみをする前後で比較すると、数cmの範囲で体がやわらかくなることを体感していただけます。なかには、10cm以上もやわらかくなったケースもあるほどです。

今回ご紹介した脂肪つまみは、深筋膜と筋肉の癒着を解消することで、筋肉の可動域を広げる方法です。特に股関節や胸椎(胸の部分の背骨)を広げるのにも効果を発揮します。

ただし、この脂肪つまみの効果は、ずっと続くものではありません。脂肪をつまむことで、深筋膜と筋肉が滑らかに動くようになった直後は、関節の可動域が広がるものの、その後はすぐに元に戻ってしまいます。

この柔軟性を維持するためには、日ごろからストレッチを根気よく行うように心がけましょう。

また、この脂肪つまみは、肩こりの緩和に役立てることもできます。腕を回したときに、かたいと感じた部位をつまんでみましょう。何度かくり返すうちに、深筋膜と筋肉の動きがよくなり、肩こりが緩和します。

画像: この記事は『壮快』2020年4月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2020年4月号に掲載されています。

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