スパイスカレーは「材料をそろえるのが大変」「お店でしか味わえない」と思いがちですが、スパイス料理研究家の印度カリー子さんが提案するカレーは、スパイス3種と塩のみ。ベースの玉ねぎとトマト、メイン具材1~2品を用意すれば、本格派カレーが完成! 辛くなく、小麦粉を使わないので胃もたれもしません。今回は、そんなスパイスカレーの魅力を、サバ缶とヨーグルトを使って紹介してみます。
スパイスカレーとの出会い
新型コロナウイルスによる感染拡大防止のためのステイホーム生活を送っていたとき、友人から「私いま、毎日スパイスカレーを作っているの」と1冊の本を紹介してもらいました。それが、『私でもスパイスカレー作れました!』という本だったのです。
「スパイスカレーって、自分で作るの大変じゃない?」と尋ねると、「スパイス3種類と塩のみ。小麦粉を使わないからヘルシーでダイエットにもなるのよ」と自信満々。実際にその本を買って読んでみると、これまでの私の「スパイスカレー観」を覆すような「目からウロコ」の内容だったのです。
印度カリー子さんって?
『私でもスパイスカレー作れました!』の著者である印度カリー子さんは、東大院生のスパイス料理研究家です。「スパイスカレーをおうちでもっと手軽に」をモットーに、スパイス初心者のための専門店・香林館(株)を設立。スパイスの開発・販売、コンサルティング、料理教室運営などを幅広く手がけ、日本テレビ『スッキリ』『マツコ会議』など数多くのメディアにも取り上げられています。そんな印度カリー子さんが提案するスパイスカレーは、誰でもとっても簡単につくれるんです。
スパイスカレーとは?
日本のカレーとの違い
日本のカレーは、肉やジャガイモ、ニンジンなどの具材がたっぷりと入った欧風カレー。市販のカレールーや小麦粉を使ったとろりとしたルーが特徴です。一方、スパイスカレーはカレールーを使わず、自分でスパイスを組み合わせてつくるインド風。基本的に具材は1品。インド料理店に行くとチキンカレー、豆カレー、野菜カレーと種類が豊富ですよね。そしてルーは、スープのようにさらりとしています。
スパイスカレーはダイエットの味方
子どもの人気メニューといえばカレーライス。私も大好きでしたが、大人になってからは苦手になり、たまに外食で楽しむくらいでした。
その理由は…
・じゃがいもなど糖質が多い
・ご飯を食べすぎてしまう
・翌日まで胃もたれが続く
からです。
「ダイエットの敵!」と思い込んでいましたが、スパイスカレーはまったく違う料理。小麦粉を使わないので胃もたれしない。具材は自分の食べたいものを1~2品選ぶので、カロリーや栄養バランスを調整できる。香り豊かですが薄味なので、ご飯を食べ過ぎない。だから毎日でも食べられるダイエットにもおすすめのメニューなのです。
簡単・短時間・覚えやすいレシピ
印度カリー子さんのスパイスカレーの特徴は、簡単に本格派カレーができること。スパイスは「クミン」「ターメリック」「コリアンダー」の3種のみ。すべてスーパーで購入できる定番のスパイスです。
◆調理時間は20~30分
頑張るのは玉ねぎを飴色に炒める10分間。あとはぐつぐつ煮込むのみ。
◆材料やレシピはシンプル
材料は、スパイス各小さじ1、玉ねぎとトマトは各1個と覚えやすい。一度つくったらレシピを見なくても簡単に調理できます。料理が苦手な人も大丈夫。ぜひチャレンジしてみましょう。
スパイスカレーのつくり方
用意するもの(2人前)
◎スパイス3種(クミン・ターメリック・コリアンダー)
…各小さじ1
◎塩…小さじ1
◎玉ねぎ…1個
◎トマト…1個(トマト缶1/2でもOK)
◎しょうが・にんにく…1かけ(チューブでもOK)
◎メイン具材(肉・魚・野菜などを1品)…200g
◎水…100ml
◎ヨーグルト…100g
◎油(サラダ油・オリーブオイルなど)…適量
メイン具材のおすすめは?
肉、魚介、野菜、きのこ、豆類、厚揚げなど何でもOKです。王道は鶏もも肉。野菜のみ、きのこのみでも美味しくできます。
今回は、安くて手軽で美味しい「サバ缶」でつくります。私のイチ押しです。
ポイントは玉ねぎを飴色に炒めること
では、さっそくつくってみましょう。
(1)
油をひき、みじん切りをした玉ねぎ、しょうが、にんにくを強火で約10分間。玉ねぎは飴色になるまで炒めます。玉ねぎは輪切りでもOK。スライサーを使って薄くカットすると早くに飴色になります。少しくらい焦げても気にしない。強火でしっかり炒めるとコクが出ます。
(2)
玉ねぎが飴色になったら、カットしたトマトを入れて約2分間炒めます。トマト缶で代用すれば手間がかからず、時間も短縮できます。
(3)
弱火にして3種のスパイスと塩を入れて約1分間炒めます。スパイスと塩は事前に計量しておくと調理がスムーズ! まるでカレー専門店のようないい香りがしてきます。
(4)
中火にしてメイン具材と水を入れます。今回はサバ缶を汁ごと入れるので、水は控えめにしました。冷蔵庫にあった九条ネギも入れてみました。アドリブもOK!
(5)
ヨーグルトを入れてよく混ぜ、沸騰したら弱火でフタをして10分間煮込む。ダマダマのヨーグルトは、しっかり煮込むと馴染みます。
(6)
塩で味を調えたら完成です!私は玄米と一緒にいただいています。白米、ターメリックライスも◎。とろけるチーズや目玉焼きをのせても美味しいですよ!
本格派カレー、初めてでも失敗なし!
初めて食べたとき、「我が家でこんな味が出せるの!?」と驚きました。その感動をたくさんの友人・知人に伝え、作ってみることをおすすめしました。その結果、誰もが「美味しかった」「びっくり!」「またつくってみる!」と大絶賛。料理が苦手な人も、年代・性別問わずに簡単にできます。それに、辛くないので小さなお子さんにも好評です。
翌日から体調の変化を実感
スパイスカレーの魅力は、美味しさだけではありません。驚いたのは翌朝、体がとても軽くて、頭はスッキリ、澄みわたった空のような気分で目覚めることができました。
私はランニングを日課にしていますが、走行タイムがぐんとアップ。ひざや足首の痛みもなくなり、こんなに気持ちよく走れたのは半年振りでした。
さらに、長年の悩みだった便秘も改善。10日くらいお通じがなかったのですが、スパイスカレーを食べるようになってからは、3日に一度のペースになっています。スパイスの効果だと思っています。
スパイスの効能とは?
最後に、3つのスパイスの特徴と効能を調べてみました。
※参考文献『5つのスパイスだけで作れる!はじめてのインド家庭料理』(講談社)
クミンの効果
料理の香りの要ともいえるスタータースパイスに最もよく使われます。消化吸収を促進し、胃の働きを助け、解毒作用や駆風作用(腸内に溜まったガスを排出させる作用)があります。インド伝承の医療・アーユルヴェーダでは、どんな体質の人にもよいとされています。
コリアンダーの効果
クミン同様に消化を促進し、駆風作用をもつスパイスで、消化器や泌尿器系にも効果大。トマトや唐辛子と一緒に使えば、体が熱をもちすぎるのを抑えます。煮込むことでとろみを出したり、深い味わいをつくることができます。
ターメリックの効果
カレーの黄色の元となるスパイス。殺菌作用が強く、血を浄化したり止血効果のほか、肝機能を高め、強壮作用があります。その効果の多さからアーユルヴェーダでは、最も有用なスパイスとされていますが、極端な大量摂取は厳禁とされています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。我が家で本格的なスパイスカレーを味わえるだけでなく、体も絶好調。コロナ禍の中で、食事を楽しみ、充実した生活を送ることができました。ぜひ、みなさんもチャレンジしてみてください。
◆藤田美佐子(編集ライター)
京都在住。フリーランスの編集兼ライターとして観光、食、求人、医療、ブライダルなど幅広い取材・執筆活動を行う。1児の母。趣味はマラソン、美味しいものを食べたり、つくることが大好きな食いしん坊。