基本的には、LANケーブルはWi-Fi機器が採用している有線LANの規格に合わせて選ぶといい。さらに、5メートルを超える長いケーブルだと外部環境の影響を受けやすい傾向にある。1000BASE-Tなら「カテゴリー6A」、10GBASE-Tなら「カテゴリー7」のケーブルを選択しよう。
LANケーブルは機器に合わせて替える?
読者からの質問
LANケーブルは最新のWi-Fi機器に合わせて相応の物に買い替えるべきでしょうか? 家電量販店で見ると、ケーブルの「カテゴリー」や「規格」によって、けっこうな価格になります。価格の差が性能にも現れるものでしょうか?(K.Kさん 東京都 57歳)
編集部:
これは、フリーライターの福多利夫さんに聞きましょう。
専門家の回答
専門家:
「LANケーブルは、基本的にWi-Fi機器が採用している有線LANの規格に合わせて選びます。
今、主流となっている有線LANの規格は、理論値1Gbpsで通信できる『1000BASE-T』です。ほとんどのWi-Fiルーターの有線LAN部分は、この規格を採用しています。
この一つ前の規格が、理論値100Mbpsで通信できる『100BASE-TX』です。
そして、今後普及すると思われるのが、NURO光などの10Gbps収容の超高速インターネット回線の宅内機器や、一部の11ax対応Wi-Fiルーターに採用されている、理論値10Gbpsで通信できる『10GBASE-T』です。
それぞれの通信規格には、使用するLANケーブルの規格(品質・高性能)も規定されており、それを『カテゴリー』で表します。100BASE-TXはカテゴリー5以上、1000BASE-Tはカテゴリー5e以上、10GBASE-Tはカテゴリー6A以上を使います。
数字は大きいほど高品質で、数字の後ろにアルファベットが付く場合は、その数字の規格よりちょっと高品質と考えればいいでしょう。ここまでが、有線LANの規格とケーブルとの基本的な関係です」
編集部:
この関係を守ってケーブルを買えばいいんですね?
専門家:
「それが、そうでもないんですよ。上記の通信規格とケーブル品質の関係は、最低限それを守って、という話であって、実際に敷設すると、家電から出る電気ノイズなどの悪影響を受けます。また、5メートルを超える長いケーブルだと、外部環境の影響を受けやすい傾向にあります。
そこで、最低限の品質より一つか二つ上の品質のケーブルを使うことでトラブルを回避するのが一般的になっています。具体的には1000BASE-Tはカテゴリー6A、10GBASE-Tならカテゴリー7ですね」
編集部:
余裕を持つために一つ上のカテゴリーを選ぶということですね。価格の差は影響しますか?
専門家:
「価格の差で通信速度が変わるのではなく、カテゴリーの違いで通信速度に差が出ます。近年のLAN機器は、通信規格を自動判別するので、外部環境からの悪影響を感知すると、通信規格を自動的に落とします。1000BASE-Tの機器どうしなのに、ケーブルのせいで、100Mbpsしか出ないこともあるのです」
編集部:
LANケーブルは、ちょっと贅沢したほうが安心なんですね。ありがとうございました!
イラスト/はやし・ひろ