鮮度の問題で、収穫地でしか本物が味わえない食材や、処理に手間がかかり、巷のスーパーでは見かけることのない食材、コネでも無ければ手に入らない希少食材が、いつでも美味しく味わえるのも、缶詰のズルいところです!
缶詰博士 黒川勇人
公益社団法人・日本缶詰協会公認。缶詰業界の第一人者として日本はもちろん世界50ヵ国の缶詰をリサーチ。 缶詰の魅力とともに、それにまつわる文化や経済、人間模様も発信している。
しらす缶山梨罐詰「静岡釜揚しらす 40g」
駿河湾で獲れたイワシの稚魚を缶詰に。水も油も使わないふわふわの食感
ありそうでなかった釜揚げしらす缶。目の前の駿河湾でイワシの稚魚を獲ったら、可及的速やかに浜に戻ってゆで上げる、それが静岡名物釜揚げしらすであります。
ところが今では全国的に作られており、静岡名物といううたい文句も薄れてしまった。「ならば!」と冷蔵も冷凍も不要な缶詰にし、再び静岡を代表する産品にしようと2018年に商品化された。
ちなみに山梨罐詰は静岡のメーカーである。社長のお名前が山梨さんなのだ。
食べたいときにいつでもしらすが食べられる幸せ!
山梨罐詰
静岡釜揚しらす 40g
標準価格:2500円(6缶入り)
●山梨罐詰 https://www.yamanashi-kanzume.co.jp/
シシ肉缶おおち山くじら「イノシシ肉のスパイス煮込み」
森のどんぐりを食べて育ったイノシシの肉を複雑で重層的なスープで煮込んだジビエ缶
島根県発の新しいジビエ缶がこれ。地元の豊かな森でドングリをたっぷり食べて育ったイノシシをワナで捕獲し、生きたまま処理場まで運ぶので、その肉は衛生的かつ臭みまったくなし。ジビエ料理で最も神経を使う工程を缶璧(完璧)にクリアしているのだ。
イノシシ肉は8種類のスパイスと6種類の香味野菜から作ったスープでじっくり煮込まれる。このスープは酸味と辛味、甘味がそれぞれ感じられる、複雑で重層的な味だ。そのスープがしみ込んだ肉はかみごたえがありつつも、繊維に沿ってほろほろと崩れる。
合間に入ったコラーゲンはとろりとやわらか。例えて申せば牛すじ肉の煮込みに近い歯触り。ジビエにトライしたいと思っている人は、ぜひこの缶詰を味わってほしい。
温めてから食べると風味が際立って美味!
おおち山くじら
イノシシ肉のスパイス煮込み
標準価格:993円
●おおち山くじら http://yamakujira.jp/
ホヤ缶カンナチュール「ホヤのアクアパッツァ」
珍品の話題になると必ず名前が挙がるのがホヤ。海のパイナップルと呼ばれるが、植物ではなく、貝の仲間ともいわれるが貝ではない。「じゃあ何者なんだ!」と怒られそうだが、とにかく幼生時は海中を泳ぎ、あるとき岩にくっついてそのままあの形に育つというワケのわからぬ生き物であります。
三陸の人にはなじみがあるけど、それ以外ではなかなか流通しない。鮮度落ちが早く、そんなのを食べてしまうと特有の匂いで後悔することになるのだ。
でも新鮮なうちに加熱処理すればおいしさは保たれる。この缶詰もイタリアンの手法で加熱調理されており、臭みは皆無。宮城産のホヤを使い、京都「自然派缶詰カンナチュール」がレシピを担当という東西コラボ缶詰でもあります。
ホヤが苦手な僕も1缶ぺろっと缶食!
カンナチュール
ホヤのアクアパッツァ
標準価格:1296円
●カンナチュール https://can-naturel.jp/
鴨缶ヴィール「鴨だんご 195g」
宮城の超希少種のブランド鴨の肉だんごがゴロゴロ。コンニャク、ゴボウ、シメジが一体になりウマい!
195グラム入りの缶はずしりと重く、中には醤油ベースの和風スープと一緒に、大きな鴨だんごがゴロゴロ入っている。鴨は、宮城県角田市で生産されている新しいブランド鴨「野田鴨」だ。月産約6000羽という超希少種で、宮城県人でもめったに食べられないという。
そんなおそれ多い鴨様のだんごは、かむと中からジワジワと肉汁が出てくるくらいジューシー。じっくり味わっていると、しだいに鶏肉にはない野趣が出てくるが、鴨肉でよくある鉄分臭さはないのだ。それでいてうまみが濃いし、でも脂はあっさりしていてクドくない。
具は、鴨だんごのほかにもコンニャク、ゴボウ、シメジも入ってて、それらのうまみが缶然(渾然)一体となったスープがまたウマい!
温めて食べればたちまち割烹料理店の再現
ヴィール
鴨だんご 195g
標準価格:1512円
●酒肴の蔵66 https://shukou.jp/