今、このコロナ禍で、いろいろなことが変わりつつあります。いくつかある内、今回は「エアフィルター」のレポートです。LGは空気清浄機のフィルターを電動マスクに搭載、アイリスオーヤマは自社の不織布マスクをサイクロン掃除機に搭載しました。

「ろ過」という技術

「ろ過」という技術、皆さんも化学の実験で、いろいろ行なったと思いますし、実生活でもいろいろ役立っている技術です。料理で使う「ふるい」「茶こし」なども、そうですし、空気清浄機などは化物のようなフィルターが搭載されています。またこのコロナ禍で完全日常品と化したマスクも技術的にいうと「ろ過」です。

画像: 「ろ過」という技術

AとBが混ざり合ったCの状態であるものを、ろ過し、有用なAもしくはBのみを分離するために使われます。ポイントは「ろ過材」です。微細になればなるほど、作りにくくなります。とてもコストがかかるということです。そして、今秋、そのフィルターの代替えが流行り始めています。

電動マスクに、空気清浄機のフィルターを(LG電子)

2020年の上半期は、マスク狂騒曲とでもいうべき時でした。2月に中国がマスクの輸出を止めてから全世界でマスクが枯渇しました。ようやく不織布マスクは、容易に入手できる様になりましたが、これから、「風邪」「インフルエンザ」「コロナ」の力が増す冬期に入ります。マスクの方もパワーアップが望まれます。

しかし高性能マスクにも問題があります。一つは、目が細かくなるので、息がしにくいこと。そしてフィルターが高くなることです。

これに対し電動マスクを提案したメーカーがあります。フィリップスとLG電子です。いずれも日本未発売ですが、展示会などでのアピールが始まっています。

LG電子の電動マスクに関しては、仕様が分かっております。こちらのマスクに使用されているフィルターは、なんとHEPAフィルターです。空気清浄機、また掃除機のフィルターなどで使われている高性能フィルターです。

画像: www.lgnewsroom.com
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どう言うレベルかと言うと、300nm(0.3μm)の小さいレベルものまでろ過することができると言うわけです。需要が増えたために、今でこそそれなりの価格で入手できる様になりましたが、ちょっと前までは、これ以上微細なフィルターは作るのが難しいと言われたレベル。しかし、それを使わないと空気清浄ができないと言うわけです。

これだけ目が細かいと、空気を出し入れするのが難しい。空気清浄機、掃除機共に強いファンがそれを支えます。このためマスクを電動化したわけです。言うなれば、小型の空気清浄機を口元にセットした様なものです。

マスクをつけたサイクロン掃除機(アイリスオーヤマ)

フィルターを排気清浄に用いる掃除機が主流になっています。今の世の中、掃除する時、必ず窓を開けて換気を十分にして掃除する様なことはしません。特にスティック型掃除機は、汚れたところだけパッと掃除することに長けています。

閉め切った中で、掃除機の排気が汚い場合は、掃除機がゴミをばら撒いている様なものです。このため、排気フィルターをつけます。掃除機の場合、PM2.5前後、2.5μmをろ過できれば問題はありません。HEPAフィルターをつけると空気清浄機並に空気を清浄化できますが、多少オーバースペックというところもあります。

アイリスオーヤマは、この排気フィルターにマスクの不織布フィルターを用いました。この背景に、マスクの国産化があります。中国生産では、緊急時に対応できなくなる可能性が現実のものになり、国内生産が時始めたわけです。アイリスオーヤマも、この動きに乗りました。ただしアイリスオーヤマの凄いところは、不織布フィルターも自分のところで作ることにしたことです。

不織布フィルターは、HEPAフィルターほど細かいろ過はできませんが、安価と言うメリットがあります。要するに使い捨てできるわけです。排気フィルターなどは水洗いしてくださいと言うメーカーは多いですが、フィルターは洗いにくいです。不織布マスクは、使い捨て前提。それを活かしたと言うわけです。

見せてもらうとダストボックスがマスクをしている様な雰囲気。真面目に開発した人には悪いのですが、あまりのことに私はちょっとふいてしまいました。ユニーク!

画像: www.irisohyama.co.jp
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まとめ

今までは、「AはAしかダメ」と言う考えで、モノを作ってきたところがありますが、技術もかなり突き詰められた今、周りを見ると似たものが多くあります。LGが採用したHEPAフィルターは、マスクのN95フィルターの代わりなど典型的でしょう。N95フィルターは、医療用といて有名ですが、元々は違うことのために開発されたモノです。しかし「ろ過」と言う眼で見ると、「××用」と言うのは関係ありません。

「今カラ」の家電は、この様に、ありネタをどう上手く組み合わせて、ユーザーニーズに応えるのかが大きなポイントになると思います。次のアイディアがとても楽しみです。

多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング、ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散策とラーメンの食べ歩き。

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