現状の4G回線用で、家庭の固定回線の代替として使うモバイルルーターが存在する。それと同様に、5G回線を使った家庭用のモバイルルーターは、すぐに登場するだろう。とはいえ、そのルーターの契約プランがデータ量無制限になるわけではない。家庭の固定回線が不要になるのは、まだ先の話になりそうだ。
5Gが普及したら、家の固定回線は不要?
読者からの質問
携帯電話の5Gが本格的に普及したら、光回線のインターネットなど、家の固定回線も不要になるのでしょうか(U.Tさん 大阪府 39歳)
編集部:
モバイル回線も、本格的な高速通信時代に突入しましたね。この質問は、フリーライターの福多利夫さんに聞いてみましょう。5G回線って、すごく速いですよね?
専門家の回答
専門家:
「ドコモの場合、現在の5Gの理論値は下り4.1Gbpsで、実際にスマホで測定した速度でも、条件がよければ1Gbpsを超えることがあります。この速度は、ほとんどの家庭の固定光回線の実効速度より速いといえるでしょう。これだけ速いと、家の固定回線はもう不要なんじゃないかと思うでしょうが、近い将来に固定回線が不要になるとはいえません。
最大の問題は、固定回線のデータ通信量がスマホに比べて膨大だということにあります。例えば、動画配信サービスの4K動画は、1時間で約10Gバイトの容量があります。現在、ドコモの5G回線の料金プラン『5Gギガホ』は終了時期未定のキャンペーン中でデータ量無制限ですが、建前上は上限100Gバイトとなっています。
100Gバイトは4K動画10時間分ですから、家庭のネット需要にはまったく足りません。家庭用と考えるなら、月間でTバイトクラスのデータ通信量が必要でしょう。そう考えれば、まだまだ家庭用の固定光回線は必要です」
編集部:
家庭用のモバイルルーターというのは、登場しないのでしょうか?
専門家:
「現状の4G回線用で、家庭の固定回線の代替として使うモバイルルーターが存在しますから、それと同様に、5G回線を使った家庭用のモバイルルーターは、すぐに登場するでしょう。
とはいえ、そのルーターの契約プランがデータ量無制限になるとは思えません。現状の4G回線の家庭用モバイルルーターも、家庭用光回線の完全な代用というわけではなく、必要最低限の通信環境を手に入れるための手段といえるものです。5G化して通信速度は向上するでしょうが、データ量無制限の(かつ実効速度が十分に速い)料金プランが登場しないかぎり、光回線の完全な代用にはなりません。
固定回線も、今後10Gbps収容が普及するでしょうから、家庭の固定回線が不要になるとしたら、5Gの次、『ポスト5G時代』だと思います」
編集部:
ポスト5G時代……。10年以上先の話ですかね……。
イラスト/はやし・ひろ