植物を植えたあと、庭を荒らさず、面倒なメンテナンスをできるだけ減らすには、1日1分でも庭を観察し、草花に触れることが大切です。水やり、自動灌水装置、花がら摘み、切り戻し、剪定、追肥、固形肥料、液体肥料、手づくり薬剤、ニンニクトウガラシ液、噴霧器について紹介しています。【解説】戸倉多未子(ガーデナー)
著者のプロフィール
戸倉多未子(とくら・たみこ)
有限会社グレイスオブガーデン代表。ガーデナー。暮らしを豊かにする緑の庭づくりをモットーに、小さな庭からエクステリア、ガーデンリフォームまでオリジナルガーデンを手がける。化学肥料に頼らない、自然の恵みを生かした庭づくりを得意としている。ガーデニング講師歴30年、ガーデニング関連の雑誌などでも活躍中。
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本稿は『小さな庭のつくり方』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。
水やり
簡単なようで意外に難しい水やり。与えすぎると根腐れの原因になり、与える量とタイミングが重要なポイントになります。基本的には土の表面が白っぽく乾いてからたっぷりと与えること。鉢の底から水が流れ出てくるまで行うのが目安です。
株元にたっぷりと
葉や花をよけながら、植物の株元にたっぷりと水を与えます。
葉や花の上から水をかけてはダメ
植物の中には花や葉に水がかかるとしぼんだり、枯れてしまうものがあります。
POINT
暑い夏におすすめ!自動灌水装置を活用しよう
もともと乾燥した農業用地の節水のために開発された自動灌水装置。手間をかけずに効率的に水やりができるので、外に出るだけでもつらい夏の水やりには、特におすすめです。ホースやタイマーなど市販のセットを設置すれば完了。
設置規模にもよりますが、5~10万円が予算の目安です。
花がら摘み
咲き終わった花のことを「花がら」といいます。花がらを摘みとることを「花がら摘み」といいます。咲き終わった花をそのままにしておくと、種に養分をとられてしまい、花つきが悪くなります。その結果、株の寿命が短くなる原因に。
花がついている茎をカットする
花だけではなく、茎からカットします。しぼんだ花を放置すると、病気やカビの原因になるのでこまめに。
次の花芽は切り口から伸びてくる
切り口から新しい枝葉が出てきます。結果的に花の数が増え、ボリューム感が出ます。
切り戻し
茎や葉が伸び放題になってきたら、短くカットします。それを「切り戻し」といいます。カットすることで風通しがよくなり、下のわき芽が生長すれば新たに花を咲かせます。思い切って切ることで、弱っていた植物も元気になります。
元気な葉を2〜3枚残してカットする
株元から2~3枚の葉を残して、それより上の部分は切り戻します。
上に飛び出している葉もカットする
ピョンと飛び出してフォルムを崩している葉があれば、切り戻します。
どんどん生長して花壇からはみ出している状態。株元近くの古い葉が枯れているときは、株元に近い茎までカットします。
短く切り戻してフォルムがよくなりました。すき間ができたことで、風通しもよくなり、蒸れを防ぐことができます。
剪定
剪定とは古くなった樹木の枝や不要な葉を切りとって形を整えること。枝や葉が生長しすぎたり、茂りすぎると栄養が根にいかず、弱ってしまいます。剪定することで根と枝葉のバランスが整い、美しい形を保つことができます。
垂れている枝をカット
下に垂れている枝や平行になっている枝をカットします。3本あればまん中を剪定します。
すっきりして風通しも良好に
茂りすぎた枝や葉がなくなり、すっきりとした形になりました。
追肥
植えつけ時に施すのが元肥、その後施すのが追肥です。鉢や花壇の場合、花を咲かせるために定期的に肥料を与えますが、地植えの場合は1年に1~2回程度でじゅうぶん。地植えには固形肥料、花の咲く植物には液体肥料がおすすめです。
固形肥料
固形肥料は粒状のタイプ。株元に固形肥料を数粒置きます。効きめがゆるやかなのが特徴です。
液体肥料
全体に水を与えてから液体肥料をかけます。表示されている量より薄めて与えます。速効性のある効きめが特徴です。
手づくり薬剤で病害虫を退治!
植物を育てているとある程度虫がついたり病気になるのは仕方がないこと。市販の薬剤でも構いませんが、自然素材の薬剤なら体にかかっても安心です。薬剤散布は、春にアブラムシを発見したら与える程度でいいでしょう。したたるように植物全体に与えます。
ニンニクトウガラシ液のつくり方
材料
- ニンニク1玉半
- トウガラシ15g
- レモン汁(半個分)
- 水2ℓ
❶材料をすべて鍋に入れ、90分煮て冷ましたあと、レモン汁を入れる。(作り置きしない場合は入れなくてもよい)
❷(1)の液を使用するときは、100mℓを2ℓの水で薄めて散布する。
噴霧器
ある程度広範囲に散布する場合、噴霧器があると便利です。手動と電動のタイプがあります。
なお、本稿は『小さな庭のつくり方』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。下記の本は、知りたい情報の全文がコンパクトにまとまった一冊です。詳しくは以下のリンクをご参照ください。
※(12)「庭のお手入れの基本(土作り)」はこちら