いくつかの家電メーカーからウイルス対応の空気清浄機が登場しています。一口にウイルス対応と言っても、使われている技術はさまざま。今回は、その技術を紹介するとともに、正しい知識で安全に使用するために知っておくべきことをご紹介します。

ウイルスに対応する空気清浄機

空気清浄機に今使われているフィルターといえば、HEPAフィルターです。メッシュサイズは、300nmの浮遊物がトラップできるサイズです。一方、ウイルスのサイズは種類にもよりますが、多くの場合、30〜100nm。当然、単純にトラップすることはできません。しかし、ウイルスは怖い。インフルエンザウイルス、コロナウイルスは、飛沫感染であることが知られていますが、空気感染する未知のウイルスによる新型の感染症がでないとも限りません。

そんな中で、技術者は頭をひねり、知恵を出し、対応しようとします。今回は、空気清浄機に用いられるウイルス対応技術を再確認したいと思います。

フィルターに吸着させてウイルスに対応する

静電吸着によるトラップ

フィルターで浮遊物を罠にかける技術は、わりと古くからあります。まず、空気清浄機の中に吸い込んだ空気の浮遊物をマイナスに帯電させます。そしてフィルターをプラスにして、フィルターに吸着させます。フィルターである必然性はないのですが、フィルターは、いろいろな浮遊物がトラップされており、いずれは捨てるものですから、一番イイと判断されているようです。

メリットの一つに、静音性が高いことが挙げられます。デメリットとしては、ウイルスが帯電するまではトラップできないことが挙げられます。要するに時間がかかるのです。

今年発表発売されたブルーエアーの「Blueair Protect」は、きちんとデータも発表されています。そのデーターは「30nmまでのウイルスレベルの超微粒子を99%以上除去」というもので、脱帽するしかないレベルといえます。

イオンを放出してウイルスに対応する

ウイルスのタンパク質を変化させる

トラップできないのなら、ウイルスをやっつけるモノを出して対応しようという考えが、イオン型です。メジャーなのはシャープのプラズマクラスターとパナソニックのナノイー。

シャープのプラズマクラスター例に挙げますと、空気にプラズマ放電をかけ、空気中の水と酸素から水素のプラスイオン(H+)と酸素のマイナスイオン(O₂−)を発生させます。

これらイオンは、不安定な状態ですから、タンパク質の塊であるウイルスのタンパク質を変化させることになります。結果的に、ウイルスを不活化させるこということです。

また、このイオンは空気中にある時は、周りに水分子を引き寄せ、ぶどうのフサ(クラスター)のようになります。

要するに、プラズマクラスターイオンというのは、プラズマ放電で作られ、空気中にあるとき水分子をぶどうのフサのように集めることから名づけられています。科学的にいうと「造語」です。またプラズマクラスターのマークが、ぶどうのフサであるもこのためです。

メリットは、人体に影響を及ぼさないこと。ウイルスは人体の皮膚などより、全然脆いのです。

デメリットは、ウイルスと巡りあいのは偶然ということです。要するに、高濃度でないとウイルス効き目がほとんどないということです。

このためシャープは、対応畳数により、プラズマクラスターイオン濃度を使い分けています。あともう一つはプラズマ放電ユニットに寿命があるということです。大体2年位で交換する必要があります。

画像1: 【空気清浄機のウイルス対応技術】メリットデメリットは?安全に使用するために知っておいてほしいこと
シャープ
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吸い込んだ空気に対応する技術

ストリーマ放電により有害物質を酸化分解する

空気清浄機は、部屋中の空気をろ過する役割を持ちます。それなら、集めた空気に対し、対応すると効率がいいという考えが出てきます。また、それは空気清浄機本体内部で行われるので、外に放出するイオンより強いものが使えます。

それを実行しているのが、ダイキンのストリーマ技術。

ストリーマ放電により有害物質を酸化分解する当社独自の空気清浄化技術です。ストリーマ放電というのは、プラズマ放電の一種です。しかし、こちらはより強烈。空気成分と合体した高速電子が、強い酸化分解力をもつため、ニオイや菌類・室内汚染物質のホルムアルデヒドなどに対しても持続的に作用します。一般的なプラズマ放電(グロー放電)と比べて酸化分解力が1,000倍以上とも言われています。

強いのはいいのですが、デメリットもあります。それは電気を喰うことです。また外に漏れ出さない様に確実に本体内だけでことを済ませる必要があります。

画像2: 【空気清浄機のウイルス対応技術】メリットデメリットは?安全に使用するために知っておいてほしいこと
DAIKIN
加湿ストリーマ空気清浄機
MCK55W-H
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次亜塩素酸で対応

タンパク質を変質させるという意味では、空気中のイオンと似た働きをするモノに化学物質があります。消毒液などは典型です。具体的には、次亜塩素酸。

次亜塩素酸は、業務用途でいろいろなところで使われています。それだけ効果的なのですが、安定性に問題があるため、次亜塩素酸溶液を一般用にするには厳しいとされてきました。

このテーマに挑戦し続け、モノにしたのがパナソニック。商品名「ジアイーノ」です。

次亜塩素酸溶液は、使用時に作ることで問題をクリア。あと何年もかけ、トラブルが起きないことを検証。発売されました。

画像3: 【空気清浄機のウイルス対応技術】メリットデメリットは?安全に使用するために知っておいてほしいこと
パナソニック
次亜塩素酸 空間除菌脱臭機 ジアイーノ
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スチームの熱でウイルスを不活化

マスクの清浄に効果的

空気清浄技術とはちょっと異なるのですが、衣類スチーマーもウイルスに効果的です。

どんな時に使えるかというと、マスクの清浄です。ウイルスはタンパク質の塊。そして人間のように皮膚で守られているということもありません。そんなウイルスに100度近いスチームを当てると、すぐ不活化します。またウイルスより防御に富む、細菌でも5秒くらいで死滅します。

使ったマスクにすぐスチームを当てると、衛生的ですし、匂いもしません。

ただし使い方を誤ってはダメです。スチーマーのノズルとマスクは擦らんばかりに近接させること。ノズルからでたスチームは、5℃/cmで温度が下がります。室温との差が大きいので当然というば、当然です。遠すぎると、逆にお湿りを与える様なもの。細菌は繁殖するために必要な水分が来たと喜んでしまうかもしれません。

画像4: 【空気清浄機のウイルス対応技術】メリットデメリットは?安全に使用するために知っておいてほしいこと
パナソニック
衣類スチーマー
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まとめ

空気清浄機を安全に使うために取説の再読を!

フィルタートラップできないウイルスに対しメーカーはいろいろな考え方をアプローチし、ユーザーの役に立ちたいと頑張っています。そして安全マージンも広くとっています。例えば、次亜塩素酸。高濃度にすると、人の粘膜に対し刺激を与えることがあります。しかし、一般家電というモノは、間違ってもそんなことが起きない様。よくよくマージンをとって作られています。

これは薬と毒の関係に似ています。薬を大量に摂取した場合、多くの薬は毒に転じます。微量なので体に影響がなく、病変部だけに効くのです。

要するに、このような家電を扱うときは、薬と同じ様に接するのが一番なのです。端的にいうと取扱説明書に目を通し、書いてある通りに使って欲しいと思います。自分の適当な判断で、強い方が効くだろうなどという、行動はやめて欲しいと思います。簡単な様ですが、案外守られていないのが現状です。

また最近の空気清浄機は、いろいろな機能が満載していますので、気づかなかったが、必要な機能は実は付いていたということも。新しいのを買わなくてもよかったなんてこともあります。

そんな意味でも、取説の再読をお勧めします。

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京散歩とラーメンの食べ歩き。

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