日本のなかでも、北海道ほどキャンピングカーの似合う都道府県はなかなかないでしょう。筆者は、その北海道の空の玄関口・新千歳空港のある千歳市に在住。千歳市を拠点に、キャンピングカーなどで北海道各地に出掛け、Amazon Kindle電子書籍「レンズラボ」や「レンズデータベース」シリーズの作例や、各媒体のレンズレビューの作例などを撮影しています。本記事では、そんな筆者がシグマの最新100mmマクロSIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Artを携え、キャンピングカーで函館周辺を巡った様子を紹介します。
執筆者のプロフィール
齋藤千歳 (さいとう・ちとせ)
元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラバッグなどのカメラアクセサリー、車中泊グッズなどの記事も執筆している。目下の悩みは月1以上のペースで増えるカメラバッグの収納場所。
千歳市内から「道の駅なないろ・ななえ」まで約4時間
SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Artと函館へ
北海道の空の玄関口・新千歳空港のある千歳市を拠点に、北海道各地を撮影しているフォトグラファーライターの齋藤千歳です。今までは、普通乗用車で車中泊を繰り返して撮影をしていました。しかし、北海道の冬は本当に寒いのです。マイナス20度なんて日も珍しくありません。このたび、とうとうキャンピングカーを購入しました。
そこで今回は電子書籍「SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Artレンズデータベース」に掲載する写真を撮影するために、最新の100mmマクロSIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Artを携えて、函館及びその周辺をキャンピングカーで巡りましたので、その様子を紹介します。
キャンピングカーで移動するならゆっくり昼間がおすすめ
新千歳空港周辺には、キャンピングカーをレンタルできる店もたくさんあるので、千歳からキャンピングカーで函館方面に向かうという人も多いでしょう。新千歳空港に夜着いて、そのまま高速で一気に移動、昼間の時間を有効に使おうと考える方もいると思います。
しかし、できることなら、昼間の移動をおすすめします。キャンピングカーの運転に慣れている方なら問題ないと思いますが、クルマのサイズが大きく変わるので、いきなり夜間の走行は相当疲れると思います。また、トラックベースのキャンピングカーは予想以上に揺れるので、スピーディーに移動するより、あちこち寄り道しながらゆっくり行く方が楽しいと感じています。
ちなみに筆者は、千歳から函館への移動を何度もしていますが、基本的に高速道路は使いません。理由は、下道と高速利用での移動時間が約1時間しか変わらないからです。高速料金は新千歳空港ICから大沼ICで通常料金が5,530円、ETCで3,870円になります。この料金なら途中で支笏湖や洞爺湖に寄り道して写真を撮影し、おいしいものでも食べた方がよいと思ってしまうのです。
それなのに!今回は仕事と天気の都合で、千歳を夕方に出発し、夜に「道の駅なないろ・ななえま」に着くスケジュールになってしまいました。
到着日の夜は「道の駅なないろ・ななえ」での車中泊が便利
意外に思われる方も多いと思いますが、函館市内には道の駅はありません。そのため、筆者は到着日の車中泊は「道の駅なないろ・ななえ」を利用しています。
2018年にオープンした「道の駅なないろ・ななえ」はトイレなどの施設も新しく、駐車場は広く、しかも函館市内まで約30分と至近のため、キャンピングカーでの函館観光にはとても便利です。
今回の撮影旅行では夜中に到着し、翌日は函館山の朝日を撮影する予定なので、キャンピングカーに常備していたカップラーメンを食べて寝てしまいました。しかし、「道の駅なないろ・ななえ」の周辺には「セブン-イレブン七飯バイパス店」や「ラッキーピエロ峠下総本店」やラーメン屋などもあり、道の駅だけでなく周辺でも充実した食事を味わえます。
夜景だけでなく朝日も美しい函館山
朝なら自家用車で山頂まで行ける
函館山といえば、山頂から眺める美しい夜景が有名です。当然、夜景もご覧いただきたいのですが、筆者は函館山の朝日もおすすめします。実は、朝日の時間帯であれば、函館山山頂の展望台まで自分のクルマで行くことができるのです。詳細は「函館山 交通規制」で検索すると、「函館市公式観光情報 はこぶら」の「函館山登山道、夜景シーズンの交通規制2020」などがヒットします。
函館山は11月9日から来年4月まで冬季閉鎖
11月の北海道は雪が降ることもあるので、防寒着はしっかりと用意することをおすすめします。筆者も今回、「道の駅なないろ・ななえ」に到着する前に、初雪の路面を走りました。また、筆者が函館山からの朝日を撮影しに函館山の展望台に向かった2020年11月9日が、一般車が函館山登山道を通行できる最終日でした。11月9日11時から2021年4月12日11時(予定)までは、冬季閉鎖になります。そのため、天気が悪いのはわかっていましたが、夜明け前に函館山の山頂に向かいました。
キャンピングカーならゆとりを持って待てるのも魅力
函館山の展望台に一般車が登れる最終日だったためか、筆者のキャンピングカーのほかにも駐車場には2台ほどのクルマがいました。そして、展望台にも人がいたのですが、吹雪の寒さに皆さん早々に帰ってしまいました。
今年、早朝の函館山山頂からの風景を撮影できるのは、あと数時間。それを逃すと、来年まで撮影できません。どちらにしても吹雪いていて、別の場所でも撮影はできないので、しばらく待つことにしました。キャンピングカーの車内なら暖房も効いているので、数時間待つのはまったく苦ではありません。
風が強かったことも幸いして、しばらく待つと撮影のチャンスがやってきました。
SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Artの高い解像力を信じて、絞り開放で撮影。中望遠らしい圧縮感と、高い解像力の感じられる1枚です。
本レンズの解像力のピークになるF8.0まで絞って撮影しました。画面周辺部まで最高レベルといえる高い解像力で、しっかりと描写してくれます。
残念ながら最高の天候とはいえませんでしたが、2020年シーズン最後の日に、早朝の函館山展望台からの撮影ができました。また、いつも撮影する場所から撮ったため、SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Artの高い解像力を再確認することもできたのです。
函館で天候に恵まれないときは「函館市熱帯植物園」
まずは「ハセストのやきとり弁当」で朝ご飯
朝6時台の朝日の撮影を行ったあとも、当日はしっかりと曇っていました。天気の悪いときにどうするかは、撮影旅行で重要なポイント。キャンピングカーなら、いさぎよく諦めて車内で原稿を書くという手もあるのですが、函館なら筆者は「函館市熱帯植物園」に行きます。
とはいえ、函館市熱帯植物園の開園までしばらくあるので、函館に来た道民ならば食べておかなくてはいけない「ハセストのやきとり弁当」を買いに行きます。
函館市内をはじめ、渡島地方に展開する「ハセガワストア」。「ハセストのやきとり弁当」は店内調理で、注文を受けてから肉を焼くので、いつも温かいのもうれしいところです。
筆者が購入したのは、「ハセストのやきとり弁当(小)タレ」(消費税8%込で490円)です。ご飯の上に載っているやきとりは、豚肉です。道南地方で「やきとりといえば豚肉」が常識。また、焼き上げる際に霧吹きで「はこだてわいん(赤)」を吹き付けるのが隠し味です。函館に来て、イカを食べずに帰ることはあっても、やきとり弁当とラッピ(函館のご当地バーガー店ラッキーピエロ。後述)は必須といわれます。
やきとり弁当ができあがるまでに、ハセガワストアの店内を回りました。その際に見つけた、北海道ならではの商品を撮影しました。
市内に「ハセスト」はたくさんありますし、コンビニなので営業時間も長く、気軽に立ち寄れるのもいいところです。
温泉ザルで有名な函館市熱帯植物園はフォトジェニック
撮影旅行中に天候に恵まれないときの、筆者の打開策は大きく2つです。「屋内に逃げる」か「見下ろしで撮影する」か。函館の場合、この2つを簡単に実現してくれて、マクロレンズ向きなのが「函館市熱帯植物園」です。熱帯植物園といっても、実は温泉ザルで有名な観光地になります。
函館市熱帯植物園でサルが温泉に入る様子を撮影できるのは、12月から5月のゴールデンウィークまで。筆者が行った11月初旬は、温泉ザルは撮影できませんでした。しかし、サル山は上から見下ろすように撮影でき、背景に空が入らないので、多少天候が悪くても撮影できるのが魅力です。しかも、曇天の方が光がやわらかく、毛並みなどをふんわりと撮影できます。ミラーレス一眼ならクロップ機能を使って、105mmマクロのSIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Artを約160mm相当として使うと便利です。
温室内なら、さらに天候は関係ありません。植物園では、マクロレンズ本来の接写性能を遺憾なく発揮します。光学性能はもちろん、AF性能も高いので、手持ちでも十分にマクロ撮影が楽しめます。
植物園では、いわゆる等倍マクロレンズであるSIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Artにとっては、本領が発揮できる場所といえます。等倍マクロレンズの場合、35mm判フルサイズで36mm×24mmの範囲を画面いっぱいに撮影できます。そのため、花シベレベルでのアップが簡単に実現できるのです。
105mmそのままでは、やや遠い位置にいたインコも、クロップで約160mm相当として撮影すると、アップで撮影できました。ミラーレス一眼では、クロップ機能も積極的に使いたいところです。
また、SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Artと今回使用したSony α7R IIIの組み合わせでは、ISO 1600程度まではまったく画質の低下などを気にする必要がないので、くもりの温室内でも三脚なしの手持ちで、AFを使って気持ちよく撮影できました。
「道の駅 みそぎの郷 きこない」で半額海鮮丼の夜
満足度ランキング1位の道の駅
函館市熱帯植物園で撮影をしているうちに、日没の時間を迎えました。海を背景に日没を撮影する用意はしていたのですが、残念ながら天候が悪く、絵にはなりませんでした。こうなると、明日の天気に期待して早めに寝てしまうしかありません。星や夜景が撮影できる天気ではありませんでした。
そこで筆者は日没後に、昨日車中泊をした「道の駅なないろ・ななえ」ではなく、「道の駅 みそぎの郷 きこない」に向かいます。海沿いを走る気持ちのよいドライブコースで、函館市内から約1時間ですが、天気は悪く、日没後です。
筆者が「道の駅 みそぎの郷 きこない」まで来た理由は、大きく2つ。1つは、評判がよいのにまだ車中泊をしたことがなかったこと。もう1つは、JR木古内駅に隣接する町の中心部にあることです。
町の中心部にある道の駅だと、近くにスーパーがある可能性が高いのです。そして、木古内町は海沿いの町なので、スーパーの刺身すらハイレベルである可能性が高いといえます。実際、北海道のスーパーはほぼどこでも、ウニ折り詰めやカニがそのまま売っているのが一般的です。そして、夕方以降の閉店間際なら、大きく割り引きされていることもあります。
「道の駅 みそぎの郷 きこない」に到着する前に、近くのスーパーに寄って半額のお刺身を入手。運がよければ、ウニやカニが半額になっていることも珍しくないのが、北海道のスーパーのよいところです。
温かいご飯で海鮮丼を堪能
翌日は日の出前から撮影を始める予定なので、道の駅にクルマを止めて、寝る準備などを進めます。また、筆者のキャンピングカーには、車載用の炊飯器を用意しているので、夕ご飯用に温かいご飯が炊けています。
この温かいご飯の上に、先ほど買ってきたお刺身を盛り付けると「半額海鮮丼」の完成です。
海鮮丼だけでは、食べきれないので、お刺身としても堪能し、キャンピングカーのなかで夕食を済ませると、あとは寝るだけです。「道の駅 みそぎの郷 きこない」は、トイレなども非常にきれいで気持ちよく利用できます。
北海道では11月を過ぎると雪が降ることもあり、普通のクルマで車中泊をするには寒さが厳しくなります。これに対して、エンジンをアイドリングしなくても暖房装備を利用できるキャンピングカーは、外がマイナス20度以下になるような真冬でも快適に車中泊が楽しめます。筆者はある意味、FFファンヒーターがほしくてキャンピングカーを買ったといえるかもしれません。
高性能な中望遠レンズとして楽しむSIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Art
日の出をねらうため早朝から動く
2020年11月10日の函館の日の出は、6時20分でした。撮影旅行において、日の出と日没は大きな撮影チャンスなので、多少天気が悪くても日の出前には撮影場所に到着しておくのが鉄則です。この日は日の出を撮影したあと、函館の観光名所である西部地域をスナップするために、近くの住吉漁港付近で日の出をねらいました。残念ながら、この日も快晴とはいきませんでした。
せっかくなので、朝日といっしょにキャンピングカーを撮影しました。
平日早めの時間帯に函館西部地区をスナップ散歩
日の出の撮影が終わったところで、早々に函館観光の目玉である西部地区に移動します。金森赤レンガ倉庫、函館山ロープウェイ、旧函館区公会堂、函館ハリストス正教会、函館聖ヨハネ教会、東本願寺函館別院などなど、古くからの街並みや建物が残る西部地区の撮影は、平日の、しかも早めの時間帯がおすすめです。
理由は2つ。1つは、この地域は多くの観光客が訪れるスポットなので、店や施設の開業時間前のほうが観光客が写真に入るのを避けられるからです。もう1つは、函館は古い街並みの残っており、キャンピングカーで回るには道や駐車場が狭いため、混み合う時間帯を避けたいのです。
午後から天候が崩れる予報だったので、朝日を撮影した後、そのまま金森赤レンガ倉庫付近の駐車場にキャンピングカーを止めて、函館西部地区をスナップしました。
早朝なので人も少なく、気持ちよく散歩ができます。
SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Artで町をスナップするなら、100mmのマクロレンズであることは忘れ、高性能な中望遠レンズだと思い、景色を切り抜いていくのがおすすめです。
ラッキーピエロ(ラッピ)のラッキーガラナ自動販売機を、アップで撮影しました。マクロレンズなので、気になるものに思い切り寄れるのも楽しいところです。
保存修理工事中の旧函館区公会堂。手前の紅葉などを入れることで、保存修理工事中の部分を隠すことを意識して撮影しています。発色も美しいです。
さまざまな場所に配置された彫像などを、ポートレートっぽく撮影するのも楽しいです。開放F2.8からの圧倒的な解像力とぼけの美しさは、近接撮影以外でも発揮されます。
こんなシーンでは、SIGMA 105mm F2.8 DG DNMACRO | Artはマクロレンズというよりも、解像力が高く、ぼけの美しい中望遠レンズとして活躍してくれます。マクロレンズなので当たり前ですが、中望遠の単焦点レンズに比べると、最短撮影距離が短く、気になったものに思い切り近づき、アップで撮影できるのもいいところ。AFも素早く動作してくれるので、ストレスもありません。
帰り道はラッピと大沼だんご、そしてホタテ
ラッキーピエロに寄らずして函館からは帰れない
道民にとって、函館といえば、すでに紹介した「ハセガワストア(ハセスト)のやきとり弁当」と「ラッキーピエロ(ラッピ)のチャイニーズチキンバーガー」です。ラッキーピエロは、函館市を中心にした道南地域で展開するハンバーガーチェーン。道南地域では、世界規模の大手ハンバーガーチェーンよりも店舗数が多いといわれていますが、「札幌にすらない」という高い地域性が特徴でもあります。つまり、道民にとっても、「道南に行かないと食べられないハンバーガー」ということです。函館行くというと、「買ってきて」と頼まれることもあります。
ハンバーガーチェーンと言いましたが、のり弁もあります。こちらは「チャイニーズチキン二段のり弁当 S」(450円税抜)です。
ラッキーピエロは道南では店舗数も多いので、見かけた店舗に寄るのがおすすめです。店舗によって扱っているメニューが異なるのもよいところ、気になる方はWEBなどで調べてから行くのもよいでしょう。
千歳方面から函館に行くときも、帰るときも通ることになる国道5号線沿いにも数店舗があります。函館から離れる時に寄るなら、ラッキーピエロ峠下総本店か、ラッキーピエロ森町赤井川店が便利です。筆者の好みで甘辛だれのチャイニーズ系のメニューばかり紹介しましたが、カレーやオムライス、カツ丼などもあり、ボリュームもあり人気があります。函館に行ったら忘れずに寄っておきましょう。
函館観光のシメは「大沼だんご」でほっこり
昼過ぎには千歳方面の帰路についたのですが、寄るべきところがもう1つ。大沼国定公園です。天気がよければ当然風景を撮影するのですが、天気が悪くても筆者には寄る理由があります。「沼の家」で「大沼だんご」を購入するのです。
大沼だんごは100年以上の歴史があり、うるち米100%のシンプルな味が特徴です。写真のあんことしょうゆのほかに、ごまとしょうゆがあります。価格は小で390円。筆者は子どものとき、函館に住んでいたことがありまして、その頃から我が家はあんことしょうゆ派です。時間が経つと硬くなるので、賞味期限は当日中。やわらかな団子の食感と優しい甘さが口いっぱいに広がります。ほっこりとする味です。
大沼湖畔からの駒ヶ岳を撮影して、函館を中心とした撮影旅行はだいたい終了です。写真から、すでに駒ヶ岳に雪が積もっているのがわかるでしょうか。山頂部分には雲もかかっています。11月の北海道は十分に寒いので、しっかりと防寒対策することをおすすめします。
最後に、筆者は函館から千歳に戻る際、「道の駅 とようら」には絶対寄ります。季節や天候などにもよりますが、活ホタテが格安で売られていることがあるのです。1,000円で10枚以上入っていることも珍しくありません。これは道民である筆者にとっても激安です。手に入らないことも多いですが、トイレなどもありますから、寄って損はありません。
まとめ
パーフェクトな100mmマクロレンズ
今回、電子書籍「SIGMA 105mm F2.8 DG DNMACRO | Artレンズデータベース」を制作するために、函館周辺をいっしょに巡ったSIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Artは、2020年10月23日に発売された、最新のいわゆる100mmマクロと呼ばれるカテゴリーのレンズです。
焦点距離がだいたい90mm〜105mm程度、開放F値が2.8前後で等倍撮影(35mm判フルサイズで36mm×24mmの範囲を画面いっぱいに撮影)できるレンズを一般的に、100mmマクロと呼びます。多くのプロカメラマンが商品撮影などに愛用しているため、多くのレンズがあり、基本的に性能の高いレンズの多いカテゴリーでもあります。
SIGMA105mm F2.8 DG DN MACRO | Artは、ミラーレス一眼専用に設計され、ソニーEとライカ Lマウント用が用意されています。レンズ構成は12群17枚で絞り羽根枚数は9枚。大きさはソニーEマウント用で最大径が74mm、長さが135.6mm、質量が約710gです。実勢価格は85,000円前後になっています。
実を言うと、今までのかなり数のマクロレンズで実写チャートを撮影してきた筆者としては、「けっこう平凡なスペック(数値)だな」という印象でした。しかし、実際にチャートを撮影してみると、印象は一変。絞り開放から画面周辺まで驚くような解像力、しかもなめらかで色付きもない美しいぼけ、キビキビとしたAF動作、色収差もほぼゼロです。あまりのパーフェクトさにほれぼれしてしまいました。
100mmマクロ自体がかなり完成度の高いレンズカテゴリーなので、チャートを撮影して比較すると、AよりもBの方が解像力は高いけど、Bのほうがぼけはきれいとか、解像力はCがピカイチだけど色収差が気になるとか、「一長一短があるレンズカテゴリー」というのが筆者の印象でした。しかし、SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Artは、ほぼ完璧といえます。
このパーフェクトさには秘密があり、ミラーレス一眼専用に設計することで、従来の一眼レフ用レンズよりも、積極的にカメラボディによるデジタル補正を活用した結果です。ただし、いまどきデジタル補正を活用していないレンズのほうが少数派なので、この点を気にする必要はないでしょう。
今回のSIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO | Artと巡る函館撮影旅行も、本レンズのほれぼれするような、高い解像力と美しいぼけを実写で確認する結果となりました。なにを撮影しても、気持ちのよい中望遠マクロレンズといえるでしょう。特に食べ物を撮影すると、実際以上においしそうに仕上がるのは素晴らしいところです。
せっかくのマクロレンズなので、食べ物の写真を多めにと思い撮影しましたが、実際のところ撮影旅行は、撮影、移動、食事、睡眠くらいしかありません。しかも、夜明け前から、状況によっては深夜の星まで撮影するので、楽しみは食事くらい。数百円で楽しめる地元グルメは、非常にありがたいのです。道南・函館を訪れたらハセスト、ラッピ、大沼だんごはぜひお試しください。