「FUJIFILM X-S10」を実際に使ってみたが、5軸手ブレ補正機構を内蔵していて、フィルム経験を生かした色再現も素晴らしい。小型・軽量設計だが、大型グリップ採用でホールド感が良好。また、ボディの質感も上質。バリアングル式モニターの採用で機動性も高い。
今回のテストアイテムはこちら富士フイルム「FUJIFILM X-S10」
実売価格例:13万2000円(ボディ)
●プロフィール
小型・軽量化されたボディに、新開発の5軸ボディ内手ブレ補正機構を搭載。最短約0・02秒の高速・高精度AFも実現している。また、小型ながらボディ剛性は高く、バリアングル式モニターを採用している点も魅力。
SPEC
●撮像素子/APS-CサイズCMOS(約23.5mm×15.6mm)●有効画素数/最大約2610万●レンズマウント/FUJIFILM Xマウント●記録画素数/最大6240ドット×4160ドット●ファインダー/0.39型有機EL(約236万ドット)●ISO感度/160~1万2800、拡張80/100/125/2万5600/5万1200●連続撮影速度/最高約30コマ/秒●液晶モニター/3.0型(約104万ドット)●記録媒体/SD/SDHC/SDXC(UHS-I対応)●電源/専用リチウムイオン●サイズ/幅126.0mm×高さ85.1mm×奥行き65.4mm●重量/465g
小ぶりなボディながらホールド感は良好
一眼レフふうのデザインながら、全体的にサイズを抑えた小ぶりなボディ。また、バッテリーとメモリーカード込みでも500グラム以下という軽さ。この小型・軽量設計が本機の大きな特徴だが、大きく張り出した大型グリップを装備したことで、通常のエントリークラス機とは違う安定性やホールド感を実現した。このグリップは、剛性の高いマグネシウム製である。
優れた操作性も、本機の持ち味。モードダイヤルには、画質やフォーカス、撮影の設定などを登録して迅速に呼び出せるカスタムポジション(C1~C4)が設けられている。また、シャッターボタン近くの動画撮影ボタンにも感心。ほかのボタンと区別しやすい位置にあり、動画撮影時の開始や終了のレスポンスも良好だ。
◾️ボタンが少なく、保持しやすい
「最高5軸6段」の補正効果は条件で異なる
機能面でポイントとなるのが、「最高5軸6段」という手ブレ補正機構である。これにより、レンズ側の補正機構の有無に関係なく、手ブレを抑えながら撮影することが可能だ。ただし、その補正効果は使用レンズで異なり、撮影条件や撮影者の練度によっても変わってくる。
ちなみに今回は、XF18~55ミリ F2.8-4 R LM OISを使用。小型モデルとしては頑張っていると思うが、6段分の補正は少し厳しいという印象を受ける。
長年のフィルム作りの経験を生かした「フィルムシミュレーション」の色再現は、相変わらず素晴らしい。また、ISO1万以上の超高感度でのノイズ処理のうまさや色再現の安定度にも感心した。
ボディの大きさや重さはエントリー機並みだが、そのボディ質感や基本性能は格上。エントリークラスとは一味違うなと感じさせてくれる、実力派小型モデルといえる。
◾️30ミリ相当で2秒の手持ち撮影
おすすめ度…A-
5軸手ブレ補正機構を内蔵。フィルム経験を生かした色再現も素晴らしい
ココが〇
小型・軽量設計だが、大型グリップ採用でホールド感が良好。ボディの質感も上質。バリアングル式モニターの採用で機動性も高い。
ココが✖️
どのレンズと組み合わせると「最大6.0段」の手ブレ補正効果が得られるのか、わかりづらい。シャッターボタンのストロークが深めな点も気になる。
※価格は記事作成時のものです。
解説/吉森信哉(フォトグラファー)