テレビでも連日のように話題に上がっているアメリカ発の音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」。TwitterやInstagramの波には乗れなかった主婦が、早速10日間使ってみた。新しいアプリを使っても大丈夫?と不安でいっぱいの筆者が、ステップ0からステップ5まで、どのようにClubhouse内での参加(聞く)範囲を広げていったのか、実体験を紹介する。
ステップ0まずは紹介者探しから
「Clubhouse(クラブハウス)とは何か」を知りたい方、Clubhouseのアプリをダウンロードしたい方は、こちらの関連記事(【音声SNS】Clubhouse クラブハウスとは?アプリのダウンロード、招待してもらう方法など基本的なやり方を解説 )に詳細が載っているので、まずは読んでいただきたい。
最初に招待できる友人は2人までという制限や、登録には電話番号が必要だという点から、Clubhouseに参加するためには親しい人に招待してもらうことが欠かせないと考えた。なぜなら、登録が完了すると、自分のプロフィールには招待者の名前が必ず表示され、誰もがそれを確認することができる。
また、電話番号をわざわざ教えてまで招待してもらう必要はないと思ったからだ。まずは親しい友人グループに声をかけ、これで見つからなければ諦めようとしたところ、運よく招待してもらうことができたので、2月初めにアプリをダウンロードした。
ステップ1 親しい人と話してみる
自分のプライベートルームを作る
初めて使うアプリ。しかも英語仕様になっていると、間違って思いもよらぬボタンを押してしまうのではないかとドキドキする。知らない人が作っているroomと呼ばれるトーク部屋に入る勇気もない。そこで、親しい友人と電話のように話してみることから始めた。
(1)画面下の緑の【+Start a room】を押すと、自分のルームをつくることができる。
(2)次に、【Open】【Social】【Closed】の3つの中から、【Closed】を選択。これで、見ず知らずの人が入っていることもないし、安心してプライベートルームを持つことができる。
(3)【Choose People…】ボタンを押して、話したい相手を選べば、あとは相手が応答するのを待つだけだ。
いつもはLine電話を使用して話しているが、それと比べても変わりないほど音声はクリア。タイムラグもないように感じた。1対1だとあえてClubhouseで話すメリットは感じられなかったが、アプリを使ってみるという導入としては良かった。
ステップ2 音楽を聴く
ピアニストの清塚信也さんをフォローしてみた
ステップ1で少しだけClubhouseに抵抗がなくなったが、だからと言って、他人が話しているroomに入るのはまだ抵抗がある。そんな状態のとき、ピアニストの清塚信也さんが演奏しているだけの部屋があるとの情報をテレビで得た。清塚信也さんをフォローして(もちろん面識はない)、Clubhouseを起動していると、ある時突然、ピアノ演奏を流すroomが出現した。
勇気を出して参加してみると、本当に聞こえてくるのはピアノの演奏だけ。お昼ご飯を食べながらピアノ演奏を聴く。夕方に家事をしながら、どこかのホールで演奏されているピアノを聴く。夜、寝る前に布団の中でピアノを聴く。生活のBGMとして、ピアノの生演奏を聴けることは、生活の質が向上しているような嬉しい体験であった。清塚さんが作曲家や曲の解説をする時もあり、Clubhouseならではの楽しみ方だと感じた。いつ始まるかわからないが、現時点で清塚さんはClubhouseを高頻度で利用されているようなので、高い確率で出会えそうだ。
ステップ3 落語を聴く
初心者でも参加しやすい「Clubhouse寄席Season2」
毎晩22時から23時30分まで、Clubhouse寄席Season2が開催されている。これは、毎晩決まった時間に開催され、聴くことを目的に多くの参加者が集まるroomなので、初心者でも安心して参加しやすい。
落語家の笑福亭笑利、桂九ノ一、桂紋四郎ほかが落語を披露している。寄席という場所にはいつか行ってみたいと思っていたので、良い機会だと思って何回か聴いてみた。最後に質問タイムもあるようなので、もし勇気があれば手を挙げることもできる。
ステップ4 いよいよトークルームに入ってみる
まずは超有名人がいる部屋から
筆者の感覚では、夜の21時以降になると急にClubhouseのユーザーが増え、roomも多く開設される。また、芸能人やスポーツ界、政治家など有名人が話す部屋も毎晩多く見ることができる。有名人が話す部屋だと、筆者のような一般人の多くは聴く専門。聞いている人も数千人いるため、roomに入ったとしても、自分がその他大勢に紛れているという安心感が強い。
テレビでも生放送があるが、Clubhouseのroomで話を聞いていると、その有名人をとても近くに感じてしまうのがClubhouseの不思議なところだ。同じ時間を同じアプリ内で共有しているという今までにない感覚が、そのような気持ちにさせるのであろうか。
ステップ5 興味のあるトークルームに入ってみる
「子育て」をテーマにしたroomで情報収集
ステップ4まで進んでくると、自分もClubhouseに慣れてきたなと感じた。そこで、いよいよ全く知らない人ばかりが話をしている部屋に入ってみることにした。筆者の場合は、「子育て」に関連したroomがないか探してみたところ、朝から夜までいつ探してもだいたい子育てをテーマにしたroomが存在することを知った。
子育て支援を仕事にしている人、学習塾の講師、栄養士、保育士、保健師、子育ての先輩(お子さんがすでに成人している、4人子育てした等)など、実に様々な人が話している。コロナ禍で、児童館や子育て支援センターなどに気軽に通えない今、本来そのような場で話し合われるような話題がClubhouseで聴ける。この点は、活用の仕方次第では、今問題になっている「孤立する母親」を減らせるのではないかという希望すら感じた。
例えば、筆者が参加したroomでは、「賢い子を育てるためにはどうしたらよいか」というテーマで話し合われていた。「日常会話から、親が“てにをは”を正しく言うように心がける(例:絵が上手に描けたね、コーヒーが飲みたい)」「風がビュービュー吹いてきたねなど、自然の中で情緒を教えることを意識する」など、子育ての先輩たちの会話から、なるほど自分も意識して過ごそうと思うことを聴くことができた。
まとめ
自分なりのClubhouseとの付き合い方を
音声のみのSNSといっても真剣に聞こうと思うと疲れるし、時間はあっという間に過ぎてしまう。ラジオのように基本的に聞き流して、必要な情報だけ取り入れるという力の抜き加減でちょうどいいアプリだと感じた。roomを取り仕切る主催者のファシリテーション力によって、話の内容や密度もかなり違いがあることも理解したうえで利用したい。一生懸命話を聞いて、「私の今の30分間はなんだったのだろう」と、時間を無駄遣いしたようなすごく損した気持ちになることもあった。そのようにならないためにも、新たなアプリの出現を楽しみつつ、冷静な距離感を保って利用していきたいと感じた。
◆小嶋彩葉(編集ライター)
医療系広告代理店の勤務を経て、編集兼ライターとして独立。現在は、子育て・映画・ふるさと納税関連記事などを中心に執筆活動を行う。また、2児の母として、育児に奮闘中