オウルテックが2019年5月に発売した1カメラ型ドラレコ「OWL-DR701G」は、画角135度の超広角レンズを備えつつ、ガラスの映り込みも防止できる偏光フィルター(C-PLフィルター)を付属したモデルとして高い評価を得ている。そこで、著者が実際にその実力を改めて検証した。
著者のプロフィール
会田 肇(あいだ・はじめ)
1956年茨城県生まれ。大学卒業後、自動車系出版社の勤務を経てフリージャーナリストとして独立。カーAVやカーナビなど、カーエレクトロニクスの分野を中心にレポート活動を展開しつつ、カメラ系の評論も行う。日本自動車ジャーナリスト協会会員。
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オウルテック”激安ドラレコ”の実力は
オウルテックが2019年5月に発売した1カメラ型ドラレコ「OWL-DR701G」は、画角135度の超広角レンズを備えつつ、ガラスの映り込みも防止できる偏光フィルター(C-PLフィルター)を付属したモデルとして高い評価を得ていた。ただ、最近は前後を撮影できる2カメラ型に人気が集まり、1カメラ型は本機も含めて少々影が薄くなってしまっていた。
そうした中でオウルテックは自社のダイレクトショップで1カメラ型のOWL-DR701Gを4378円(税込)という破格の価格でこの販売中だ。2月16日までの期間限定価格ということもあり、筆者も速攻で購入。その実力を改めて検証した。
ドラレコ=煽り運転対策ではない
自分の運転を顧みることが一番の煽り運転対策
最近は煽り運転対策として2カメラ型に注目が集まり、「ドラレコは1カメラ型で不足はないのか?」との質問をよく受ける。確かに1カメラ型では前方しか捉えないから、後方から迫ってくるクルマの様子は捉えられない。その意味では役不足となるだろう。
しかし、勘違いしないで欲しいのは、ドラレコの装備によって煽り運転に遭わなくなるという保証はないということだ。よく“ドラレコで身を守る方法”とか、いかにもドラレコがすべてを守ってくれるような記事を見かけるが、それは誤り。ドラレコはあくまで映像を記録するだけで、発生した事故は基本的に自己責任。あえて言わせてもらえば、煽る人はドラレコがあってもなくても煽ってくると思った方がいい。
実は、本当の意味での煽り運転対策は「自分の運転」にあることも知っておいて欲しいのだ。交通は互いのコミュニケーションによって成り立っていることを自覚していれば、煽られる可能性はグンと低くなる。クルマの流れを自ら乱していないか。周囲に自車の動きをきちんと知らせているか。それでも後方から急に迫ってくる、怪しそうなクルマがいれば先へ行かせればいい。
ドラレコが持つ本来の役割は、万が一発生してしまった事故の状況を記録することだ。その多くは前方視界の中で発生する。最近のドラレコは前方を捉える画角も広めに取ってあり、横方向から近づいて来るクルマや歩行者もしっかりと捉えられる。独りよがりにならない運転を心掛けていれば、実用上は1カメラ型ドラレコの対応で十分なのだ。
基本性能の高さが光るDR701G
フルHD記録とLED信号対応など
さて、そうした中でのOWL-DR701Gはかなりの部分で十分な役割を果たすことになる。このモデルは1カメラ型が主流だった頃に登場したモデルでレンズはF値1.8と明るく、撮像素子は画素数2304×1296ピクセルの1/3インチのCMOSを採用する。
記録した映像を見れば鮮明そのもので、先行車や対向車の様子を克明に記録できている。まさに基本機能に優れたドラレコであると言っていいだろう。
動画記録はフレームレートをLED信号のフリッカーにも同期しない27.5fpsに設定。チラツキは見られるものの、信号と同期して無信号状態となることはほとんどない。さらに逆光状態でもきちんと補正して撮影できるWDR(ワイド・ダイナミックレンジ)機能も備え、輝度差があるシーンでも対応力は高いと言えるだろう。
ただ、最近増えている夜間撮影に強いセンサーを採用したドラレコと比較すると、特に夜間のヘッドライトが当たらない部分での黒つぶれの発生は感じてしまう。
動画映像は「Event」、「Normal」「Parking」の3つのフォルダに分けて記録される。このうち「Event」は走行中で、「Parking」は駐車中で衝撃を受けたときに上書きされない映像として保存される。また、本機には静止画を記録する機能も備えられており、気になるポイントを静止画として残しておくこともできる。
安いながらもこだわりを感じる一品
偏光フィルター、マウント側給電など気遣いが細かい
見逃せないのが偏光フィルター(C-PLフィルター)を付属したことだ。これは光の入射角によって発生するガラス反射を抑えられるもので、ドラレコの能力を安定して引き出すには欠かせないものなのだ。特にフロントガラスからぶら下げる本機のようなタイプのドラレコには有効性が高い。一部のドラレコではこれをオプションとして用意していたが、本機は標準で付属した。その意味では映像の鮮明さにこだわった企画者の意気込みが感じ取れる使用とも言える。
個人的には本機が電源の取り込み口として、ミニUSBをマウント部に用意したのも気に入っている。本体から電源ケーブルが出ていない形となるので、見た目にもスッキリと取り付けられるからだ。本体にはバッテリーも内蔵され、エンジンを切った後で衝撃を検知すると上書きされないモードで最大15分間の記録を行う。このバッテリーが残っている間はずっとスタンバイとなり、その時間はなんと最大5日間。いざという時の防犯用としても役立ちそうだ。
加えて、このマウント部にはGPSレシーバーも備わる。GPS機能は撮影した場所を記録するだけでなく、正確な時刻までも合わせて記録。今や記録した映像を証拠として利用するには欠かせない機能となった。また、Windows用アプリ「GVPlayer」も用意されており、このアプリ上で撮影した映像を再生すると走行記録をPCのGoogleマップ上で確認できる。ドライブの思い出としても活用すると重宝するだろう。
走行中は画面をOFFにできる他、普段は音声記録を行わず衝撃を受けた時のみ記録させる設定も可能だ。OWL-DR701Gは最新センサーこそ使っていないが、細かな気遣いが隅々まで行き届いたドラレコに仕上がっていると言っていいだろう。
取材・文/会田 肇