東京五輪・パラリンピック組織委員会の森会長は「女性蔑視」発言により、国内外から多くの批判を受けて会長を辞任。新会長には橋本聖子国務大臣(男女共同参画、東京五輪・パラリンピック、女性活躍担当大臣)が就任、後任には丸川珠代さんが起用されました。今回の発言の数々は極端な例ですが、これを機に、私たちの内にある「アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込みや偏見)」に目を向けてみてはいかがでしょうか。自分自身が「多様性」を「本当に理解しているのか」診断してみませんか。

日本は過去最低

東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」といった発言に対して、国内のスポンサー企業や著名人をはじめ、海外からも「女性蔑視」「多様性に反する」と批判が相次ぎ、辞任を表明しました。この一連のニュースを観て違和感や不快感を抱いた人も多かったのではないでしょうか。

スイスの研究機関・世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表している「ジェンダー・ギャップ指数」(2019年版)では、日本は世界153カ国のうち121位で過去最低となりましたが、女性の政治進出が遅れていることなどが原因と言われています。

男女格差は日常的

では、私たちにはまったく偏見はないのでしょうか。私自身、昭和から平成に代わった1990年代に社会人デビューしましたが、男女平等は名ばかり。お茶出しや宴会の接待は女性社員の役目。結婚や出産を理由に採用や昇進などで不当な扱いをされたり、理不尽な想いをした経験を持つ人も少なくないはず。

女性の価値と結婚は「クリスマスケーキ」に例えられ、24歳(24日)まではちやほやされて25歳(25日)はぎりぎり、26歳は行き遅れ(今は年越しそば理論ワイン理論があるそうです)。20年程前まで、ビジネスの世界では男女格差は日常的なこと。時代は大きく変わりましたが、特に40代以降の方々には、そんな価値観がいまだに残っているかもしれません。

アンコンシャス・バイアスとは?

性別や国籍、年齢などに関する無意識の思い込みや偏見を「アンコンシャス・バイアス」と言います。日本労働組合総連合会では、誰もが多様性を認め合い、互いに支え合うことのできる職場・社会の実現をめざす取り組みの第一歩として、2020 年にアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み、偏見)診断を実施。5万人以上のアンケート結果を公表しました。
▼出典:アンコンシャス・バイアス診断(PDF)

画像: アンコンシャス・バイアス診断で実施された20の設問 www.jtuc-rengo.or.jp

アンコンシャス・バイアス診断で実施された20の設問

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「アンコンシャス・バイアス診断」の調査概要
【監修】一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所 代表理事 守屋 智敬 
【集計期間】2020年 6 月 10 日~11 月 11 日 
【調査方法】Googleアンケート 
【対象】連合本部、構成組織、地方連合会、単組の役職員、組合員、その他一般 
【有効回答者数】50,871名

「親が単身赴任」は父親?

20の設問の中で、アンコンシャス・バイアスの認識率が最も多かったのは「『親が単身赴任中』というと、父親を想像する(母親を想像しない)」。全体の66.3%がYESと回答しましたが、私自身、「単身赴任」と聞くと父親のイメージがあり、無意識のうちに偏見を持っていることに気づきました。次いで「介護しながら働くのは難しいと思う」の58.4%、「体力的にハードな仕事を女性に頼むのは可哀そうだと思う」の51.5%が上位を占めています。

画像: アンコンシャス・バイアスの認識率が高かった上位10の設問 www.jtuc-rengo.or.jp

アンコンシャス・バイアスの認識率が高かった上位10の設問

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男性の方が偏見が強い

みなさんは20の設問の中で「YES」がいくつありましたか?
私は「体力的にハードな仕事を女性に頼むのは可哀そうだと思う」「お茶出し、受付対応、事務職、保育士というと女性を思い浮かべる」「パートタイマーは『主婦が家計補助のために働いている』というイメージがある」は、どちらかと言えばYES。合計でYESは5つあり、過去の経験から自分の価値観が形成されていることを改めて認識しました。

ちなみに、YESが1つ以上あった人は95.5%以上。1 人当たりの平均件数は 5.7 件で男性 5.9件、女性5.0 件と男性の方がアンコンシャス・バイアスを認識した件数が多い結果となりました。

LGBTの認識率も男性は低い

男女ともに最も多かったのは「『親が単身赴任中』というと、父親を想像する(母親を想像しない)」。一方、男女差が最も大きかったのは「体力的にハードな仕事を女性に頼むのは可哀そうだと思う」で、男性 56.6%に対して女性は 32.5%と24.1 ポイントの差がありました。

画像1: www.jtuc-rengo.or.jp
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「LGBTの人は一部の職業に偏っていて、普通の職場にはいないと思う」「LGBTであると聞くと、戸惑いを感じてしまう」というLGBT に関する認識率は、男性が女性の2倍以上に。この結果から女性の方がLGBTの理解度が高く、柔軟に対応していることがわかります。また、最近では教育機関での「くん付け」禁止運動をはじめ、男女に関わらずに誰でも利用できるトイレの設置、制服でズボンまたはスカートを選べるといったニュースを耳にしますが、時代の変化についていかなければという気持ちになります。

※LGBTとは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別越境者)の頭文字をとった単語で、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称のひとつ。

画像2: www.jtuc-rengo.or.jp
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若者も意外と偏見が強い

中高年層(40代以上)は偏見を持っている人が多いと思ってしまいがちですが、一概には言い切れない結果に。認識度が高い上位10の設問のうち、若年層の方が多い回答が4つありました。最も差が大きかったのは、「年配(高齢者)の人は頭が堅く、多様な働き方への融通が利かないと思ってしまう」が9.2ポイント差。続く「お茶出し、受付対応、事務職、保育士というと、女性を思い浮かべる」(6.2ポイント差)、「育児中の社員・職員に負荷の高い業務は無理と思ってしまう」(3.7ポイント差)は性別に関わるもので、私は意外な結果だと思いました。

画像3: www.jtuc-rengo.or.jp
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自分も「当事者」だと気づくこと

今回のアンケートに関して、一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所代表理事、守屋智敬氏は以下のコメントを発表しています。

今回のアンケート結果公表にあたっては、「回答率の高い/低い」を評価したり、「あてはまる項目数が多い/少ない」の良し悪しを診断したりすることは目的としていません。一人ひとりが、「自分自身にも、無意識の思い込みや偏見がないだろうか?」と向き合うとともに、今回の20の設問項目をきっかけとして、「自分自身の他の様々な言動にアンコンシャス・バイアスがあるかもしれない」ということを意識するきっかけに繋がることを切に願います。「私は、どれもあてはまらなかったから大丈夫」ではなく、「これらの設問には、たまたまあてはまらなかったけれど、職場や日常において、もしかしたら、私にも、無意識の思い込みや偏見があるかもしれない」ということに、思いを寄せるきっかけとしていただければと思います。

また、連合総合運動推進局総合局長、山根木晴久氏も以下のようなコメントを添えています。

時代や環境の中で重ねてきた経験や見聞きしたことが、無意識のうちに自分の中で常識化されてきた。多様性の尊重は頭では理解できるものの、何をどうしたら分からないという方もいると思います。この診断で認識したアンコンシャス・バイアスの項目についての意識を変えることだけでも、職場や社会を変えることに繋がると考えます。

職場での「偏見度診断」

最後に、ダイバーシティに関する調査やコンサルティングを行う、サイコム・ブレインズ株式会社(本社:東京都)のサイトに、職場でのダイバーシティ(多様性)に関する「無意識の偏見度」診断が掲載されていたので紹介します。設問は全部で12問。1つひとつ丁寧に解説されているので、興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。

まとめ

今回の森会長の辞任は、女性の社会進出で遅れを取っている日本の大きな転機になると思いました。これまで声を上げなかった若者や女性が「おかしいことはおかしい」と発言すれば、日本の政治や世の中を大きく動かせる。そうやって社会から差別をなくし、誰もが生活や仕事のしやすい社会になってほしいと願うばかりです。さらに私自身、今回のアンケート結果を通じて、無意識のうちに偏見を持っていることに気づきました。これを機に「これは偏見かもしれない」「誰かを傷つけているかもしれない」と自分の言動を振り返っていきたいと思います。

文◆藤田美佐子
京都市在住。フリーランスの編集兼ライターとして観光、食、求人、医療、ブライダルなど幅広い取材・執筆活動を行う。座右の銘は「継続は力なり」。1児の母。趣味はマラソン、美味しいものを食べたり、つくることが好きな食いしん坊。

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