家電量販店を上手に利用するための豆知識、「家電量販店の取説」シリーズの2回目です。今回のテーマは、メーカー説明員。売り場ごとに、メーカー名が入ったウェアを着た人がいますよね。この人たちも店員なのでしょうか。そして、普通に何でも聞いていいの? そんな疑問にお答えします。

メーカー説明員は店員ではないけど店舗スタッフ

家電量販店には、当然その会社の店員がいます。その店舗のウェアを着ている人たちですね。業界では一般に「社員」と呼んでいます。この人たちの中にも役割分担があるということを、前回紹介しました。

今回の話は、PanasonicやHITACHI、SONY、SHARPなどメーカー名が入ったウェアを着ている人たちです。業界では一般に「ヘルパー」と呼んでいますが、正式にはメーカー説明員といいます。

メーカー説明員は、それぞれのメーカーから店舗に派遣されている人たちです。といっても、大手家電メーカーの本社や工場で働いている人が来ているわけではありません。

大手家電メーカーは、それぞれ家電販売のための子会社を持っています。そして、工場で作った製品を「家電販売会社」を通して家電量販店の本部に卸します。そして、家電量販店の本部から各店舗に商品が搬入されます。実際に、この通りに商品が動くとは限りませんが、手続き上はこうした流れになっています。

そして、店頭でメーカー名が入ったウェアを着ている人の多くは、この「大手家電メーカーの家電販売会社」から来ている販売支援スタッフです。たまに「販売員」となっていることがありますが、本来は「お客様が商品を選ぶために商品の説明をする人」です。

メーカー説明員には、以下のような3パターンがあります。

①販売会社の営業担当者

販売会社の営業担当者は、店舗スタッフと情報交換したり良い関係を築くために定期的に店舗を訪問しています。その際に、説明員として店頭に立つことがあります。営業職なので接客も得意ですし、製品知識も豊富です。上手な接客で売り上げが増えれば、メーカーにとっても店舗にとっても良いことです。

販売会社の営業担当者は平日に店舗を訪問することが多いので、平日にやたら商品知識のあるメーカー説明員がいたら、この営業担当者の可能性が高いです。あるいは、土日に「〇〇フェア」と称して説明員が増員されているときも、たいてい営業担当者が混ざっています。

②販売会社の登録スタッフ

営業担当者のほかに、販売会社に契約社員などのかたちで登録して、そこから店舗に派遣されている説明員がいます。ただ、この方式をとっているメーカーはあまり多くありません。

役割は、次に説明する派遣会社から来ている説明員とほぼ同じです。ただ、このような販売会社直属の説明員の方が、派遣会社から来ている人より実績が高いことが多いですね。

③派遣会社から来ている説明員

一番多いのは、派遣会社から来ている説明員です。派遣会社には、それぞれ得意な分野があって、店頭販売員がたくさん登録している会社もあります。そうした会社が、メーカーの販売会社から「〇〇デンキの□□店に、テレビ担当で1名」といった感じで依頼を受けて契約スタッフを派遣します。

なので、メーカー名入りのウェアを着ていても、そのメーカーに直接所属していないケースが多いです。とはいえ、今は市役所や郵便局の窓口にも臨時採用や非常勤(事実上のパート)の人がいますし、病院や薬局の受付にいる人も派遣スタッフだったりするので、特に気にすることではないと思います。

もちろん、派遣会社から来ている説明員も、入店前に担当製品に関する講習を受けています。とはいえ、経験値はさまざま。この道30年というベテランもいれば、大学生のアルバイトもいます。家電とは無縁の会社を定年退職したり、中途退職してメーカー説明員になっている人もいます。

逆に、元は家電量販店の正社員だったとか、メーカー販売会社の営業担当者だったという人もいます。そのため、製品知識や接客スキルもまちまちです。

また、その店舗の勤務期間にも差があります。長い人だと、同じ店舗に10年くらい居たりします。こういう人は、細かいことまでよく分かっています。

一方で、1日だけ入店という人もいます。たとえば、普段来ている人が欠勤のため代理とか、イベントの応援スタッフといったケースです。こうした人は、店内の様子が分からないので「〇〇売り場はどこですか?」と聞かれても即答できません。

さらに、個人的に思うのは接客態度にも差があります。なかには、強引に自分が担当しているメーカーの製品を勧める人もいます。もちろん、そのメーカーの販売会社からの依頼で来ているので、できるだけ担当メーカーの製品を売りたいと思うのは自然なことでしょう。とはいえ、露骨に担当メーカーの製品だけを勧めるとお客様も引いてしまうので、そこが接客の巧拙が出るところです。

一方、ベテランになると、お客様のニーズや希望を聞いて複数のメーカーを比較しながら説明していきます。それでも最終的に、その人が担当しているメーカーの製品が売れる流れになって、お客様も満足して喜んでいる。これがベテランのスキルです。

ただ、経験が浅いうちは販売会社や派遣会社から、お客様に必ず声がけするように、そして他社から客を奪ってでも担当メーカーの製品を売るようにプレッシャーをかけられていることがあります。こういう人に当たってしまったら、「他社の製品も検討したい」といって離れるのが得策でしょう。

メーカー説明員は「対応できる商品」が決められている。

メーカー説明員は、原則として説明できる商品が決まっています。パナソニックや日立、シャープといった大手だと幅広い製品がありますが、たとえばテレビ担当として入店した場合、お客様に求められたとしても冷蔵庫やエアコンの説明に行くことはできません。これは、店舗と販売会社との契約でそうなっています。

ただ、冷蔵庫担当の説明員が冷蔵庫の説明をしていたら、お客様に「電子レンジも見たい」といわれて、そのまま案内するようなことはあります。エアコン担当の人も、空気清浄機の説明を求められるとそのまま対応したりします。これは製品ジャンルが近いこともあってグレーゾーンといった感じです。

一方、たとえばテレビ担当の説明員なら、どのメーカーのテレビも説明できます。売り場に三菱とシャープの説明員しかいなくても、パナソニックや東芝のテレビについて聞くのはまったく問題ありません。ただ、どの説明員も本音では自分が担当しているメーカーの製品を買ってほしいので、他社製品の説明の間に自社製品の説明もすると思います。

しかし、いろいろ検討した結果、今回はパナソニックするということなら、そこは遠慮しないでハッキリそう言いましょう。そこで「ダメです」などという説明員はいないと思いますが、もしそんなことがあったら、その人から離れて店員(その店舗の社員)を呼ぶほうがいいと思います。

メーカー説明員には値引きの権限がない。

ときどき「メーカーの人なら、あなたの力で安くして!」なんて言う人がいますが、これもできません。というのも、店内にある在庫は、すでにメーカーから家電量販店に納入されたもので、その会社の持ち物(棚卸資産)です。そして、メーカーが販売店に対して売価を指示することは法律で禁止されています。

なので、どの商品をいくらで売るか、これを決められるのは店舗の社員だけ。会社によっては、一定以上の権限を持つ役職者でないと値引き額を決められないルールになっています。そのため、メーカー説明員が値引きを求められると、権限を持つ人に相談に行くか、権限を持つ人に引き継ぐかたちになります。

例外として、店舗全体で一定の値引きキャンペーンがかかっていたり、一部の商品に対して「値引きを求められたら、1000円以内でまとめて」といった指示が出ていることがあります。その場合は、メーカー説明員も、その範囲で値引き交渉に応じることがあります。ただし、これはレアケースです。

まとめ

メーカー説明員は、その店の社員ではありませんが、一緒に店舗を運営しているスタッフです。特に、担当している製品に関する知識は社員より豊富だったりします。ただし、担当外の商品を案内することはできない決まりになっています。

ときどき、別の売り場から説明員を呼んで、いきなり質問を始めるお客様がいます。こんなとき、ベテランの説明員だと分かる範囲で受け答えをすることもありますが、普通はタイミングを見て担当の社員に引き継ぎます。逆に、ウェアのロゴを見て「あ、日立の人なの。じゃあ、パナソニックのことは分からないね」という人もいますが、その説明員の担当製品ならそのまま質問して大丈夫です。

まずは、遠慮なく聞いてみてください。自分で説明できないことを聞かれたときは対応できる人を呼んでくれます。ただ、配送料や支払い方法、アフターサービス等に関しては、分からないことが多いです。そういったことは、なるべくその店の社員に聞く方がいいと思います。

執筆者のプロフィール

文◆高山とほ(プロダクトライター)
長年にわたり家電量販店の店頭に立ち、いろいろなお客様に対応した経験から「それぞれのお客様にとって最適な製品を選ぶポイントを的確に伝える」ことをモットーにしているモノ派のライター。学生時代に工業デザインを学び、日本製家電の黄金期に郷愁を感じる世代。アウトドアを好み、道具にはこだわるほう。

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