サボテンはサボテン科の植物の総称です。非常に多くの種類がありますが、すべての種に短枝が変化した刺座があるのが特徴です。【解説】長田 研(カクタス長田)

著者のプロフィール

画像: 著者のプロフィール

長田 研(おさだ・けん)

1975年静岡県生まれ。多肉植物の生産・出荷・輸出入を行うナーセリー「カクタス長田」経営。アメリカ・バージニア大学で生物と化学を学び、交配種の作出や海外品種の日本導入などを積極的に行っており、新しい種にもくわしい。国内外の多肉植物の研究者や関係者との交流も深く、自身も日本の多肉植物業界を牽引するひとり。おもな著書に、『NHK趣味の園芸 12か月栽培ナビNEOコーデックス』、『NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月 多肉植物』(ともにNHK出版)、『特徴がよくわかる おもしろい多肉植物350』(家の光協会)などがある。

本稿は『はじめてでもうまくいく! わかりやすい多肉植物の育て方』(永岡書店)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

サボテンの仲間

サボテンはサボテン科の植物の総称です。非常に多くの種類がありますが、すべての種に短枝が変化した刺座があるのが特徴です。刺座から伸びるトゲは葉や托葉が変化したものといわれ、なかにはトゲが退化して刺座だけが残る種もあります。球形、柱、うちわ形などを形づくる肉厚の部分は茎です。霜に当てない管理を基本とします。

ギムノカリキウム属

科 名 サボテン科
原産地 アルゼンチンやボリビアなど南アメリカ東部、ブラジル

色、形状などが変化に富んでいて、昔から人気のある種類です。春〜夏に花をつけ、花つきがよく、鮮やかな花色が多いのも特徴のひとつ。丈夫な性質なので育てやすいですが、冬は10℃以下にならない場所で管理しましょう。日照不足になると株が間伸びし、花つきも悪くなります。夏の直射日光は避けますが、明るい半日陰で日照を確保するのが上手に育てるポイントです。

新天地錦

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:普通
難易度: ★★★☆☆

「新天地」の斑入り品種。暗緑色の肌に黄色の斑が美しい。新しいトゲは暗褐色~黒で弧状。通風がよく、日当たりのよい場所を好む。

画像: ▼ 新天地錦

海王丸

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:強い
難易度: ★★★☆☆

球形の株に白いかぎ爪状のトゲが株に張りつくように生える。トゲの太さや色、形に個体差がある。

画像: ▼ 海王丸

子吹き翠晃冠

夏型
耐寒性:強い
耐暑性:強い
難易度: ★★☆☆☆

「翠晃冠」の子吹き品種。球形・低球形の暗緑色の株に白い大輪の花を咲かせる。比較的栽培が容易なタイプ。

画像: ▼ 子吹き翠晃冠

瑞昌玉

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:強い
難易度: ★★☆☆☆

暗緑色~青緑色の球形の株に、下向きに湾曲したかぎ爪状のトゲが特徴。花は白く大輪。終日の直射日光は避け、湿気にも注意する。

画像: ▼ 瑞昌玉

ペンタカンサ

夏型
耐寒性:強い
耐暑性:強い
難易度: ★★☆☆☆

「5本のトゲ」を意味する名の通り、5本の黄色のトゲをもつ。株は艶のある深緑色。非常に栽培しやすく、生育も比較的早い。

画像: ▼ ペンタカンサ

翠晃冠錦

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:普通
難易度: ★★★☆☆

「翠晃冠」の斑入り品種。暗緑色に淡黄色のグラデーションの入った肌が美しい。生長期は水やりを多めに。遮光下で長時間の日照を。

画像: ▼ 翠晃冠錦

‘麗蛇丸’

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:強い
難易度: ★★☆☆☆

褐色で短球形から球形の株が特徴。生長期には深緑色になる。ピンク〜白の大輪の花を咲かせ、育ちが早い種でもある。

画像: ▼ ‘麗蛇丸’

LB2178

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:普通
難易度: ★★★☆☆

2000年にパラグアイ北部で発見された新産地の系統。鋭角な縦稜に、くっきりとした横稜が入るのが特徴。直射日光と多湿が苦手。

画像: ▼ LB2178

牡丹玉

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:普通
難易度: ★★☆☆☆

暗緑色に白い横縞が入った肌が特徴。球形で稜は赤紫色を帯びている。花は春~初夏咲きでピンク色。遮光は強めに。

画像: ▼ 牡丹玉

ギムノカリキウム属の栽培カレンダー

画像: ギムノカリキウム属の栽培カレンダー

うちわ型のサボテン

科 名 サボテン科
原産地 北アメリカ、南アメリカ

球形や円筒形、平らな茎を重ねるように生長する種類で、ウサギの耳のような姿のオプンチア属が代表種です。丈夫で管理の楽なものが多いので、初心者でも育てやすいでしょう。生育が早いので、1年に1回定期的に植え替えをすると大きく育ちます。関東より西の地域であれば屋外での冬越しも可能な種類もありますが、冬の雨には当てないように管理しましょう。

アトロビリディス

夏型
耐寒性:強い
耐暑性:普通
難易度: ★★☆☆☆

アウストロキリンドロプンチア属。子株をたくさん吹いて群生する。トゲは黄色で2〜3本が放射状に伸びる。非常に強健で育てやすい。

画像: ▼ アトロビリディス

‘ホワイトバニー’

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:強い
難易度: ★☆☆☆☆

オプンチア属。子株がウサギの耳に見えることが名の由来。トゲはよく刺さり抜けにくいため作業の際は注意が必要。

画像: ▼ ‘ホワイトバニー’

‘ゴールデンバニー’

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:強い
難易度: ★☆☆☆☆

オプンチア属。ホワイトバニーの枝変わり。トゲが金色で生長が早い。春先に黄色の花を咲かせる。

画像: ▼ ‘ゴールデンバニー’

墨こけし

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:強い
難易度: ★☆☆☆☆

オプンチア属。鮮緑色の株に墨がにじんだような黒ずみがあるのが特徴。トゲは少なく、黄色いトゲが1、2本生える。強健種。

画像: ▼ 墨こけし

スブラタ

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:強い
難易度: ★★☆☆☆

アウストロキリンドロプンチア属。鮮やかな緑にひし形の結節(隆起)が特徴。柱から出る小さな葉のつけ根に白トゲがある。別名「将軍」。

画像: ▼ スブラタ

スピノシオール

夏型
耐寒性:強い
耐暑性:普通
難易度: ★★☆☆☆

キリンドロプンチア属。自生地では2m近く生長する。トゲは黄色でよく分岐してねじれる。蕾と果実は食用になる。非常に強健。

画像: ▼ スピノシオール

サブテラネア

夏型
耐寒性:強い
耐暑性:弱い
難易度: ★★★☆☆

マイフエニオプシス属。アンデス高地原産の希少種。根が深いため深鉢がよい。花は咲きにくいが、きれいな淡ピンク〜紅色の花弁。

画像: ▼ サブテラネア

長刺武蔵野

夏型
耐寒性:強い
耐暑性:弱い
難易度: ★★☆☆☆

テフロカクタス属。薄い半透明の紙状のトゲが特徴。痛くはないが、刺座に綿毛状のトゲもあり刺さると抜けにくい。夏は半日陰で管理。

画像: ▼ 長刺武蔵野

黒竜

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:普通
難易度: ★★★☆☆

プテロカクタス属。名の通り黒い竜がうねっているかのような塊根サボテン。取れやすい枝は挿し木できる。多湿状態が苦手。

画像: ▼ 黒竜

うちわ型サボテンの栽培カレンダー

画像: うちわ型サボテンの栽培カレンダー

柱型のサボテン

科 名 サボテン科
原産地 メキシコ、北アメリカ南部、南アメリカ、西インド諸島

上に向かって細長く伸びる柱状のサボテンは、一般に「柱サボテン」と呼ばれます。柱状のサボテンを有する属は多岐に渡りますが、ラテン語でロウソクを意味する「セレウス」の名がつく属に多く見られる傾向があります。枝が分岐するものと単幹で伸びるものがあり、太さはさまざまです。多くの種類は周年、十分に日を当てると丈夫に育ちます。

近衛柱

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:強い
難易度: ★★★☆☆

ステトソニア属。針は黄色で長く、幹は粉を吹いたような青緑。花は薄桃色で夏咲き。人気種だがサボテンの中では難易度は高め。

画像: ▼ 近衛柱

グエンテリー

夏型
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
難易度: ★★★☆☆

エスポストア属。鮮緑色の株に黄色のトゲが鮮やか。自生地では2mほどの高さにもなる。非常に強健だが冬は室内で管理を。

画像: ▼ グエンテリー

金獅子(柱獅子)

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:強い
難易度: ★★☆☆☆

セレウス属。「柱獅子」が石化したもの。不規則なフォルムが魅力で人気がある。非常に丈夫で育てやすい。

画像: ▼ 金獅子(柱獅子)

残雪獅子

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:強い
難易度: ★★☆☆☆

セレウス属。石化品種。金獅子よりも塊状でトゲ色が黄色味を帯びている。株姿に個体差がある。かなり強健で育てやすい。

画像: ▼ 残雪獅子

白雲錦

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:強い
難易度: ★★★☆☆

オレオセレウス属。球形から円筒形で、白い体毛に赤みのある黄色のトゲが特徴。柱サボテンの中でもかなり生長が遅く、湿気に敏感。

画像: ▼ 白雲錦

ライオン錦

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:強い
難易度: ★★★☆☆

オレオセレウス属。円柱形で赤みのあるトゲと長い白毛が特徴。日照と通風をよくし、白毛を汚さぬように注意する。

画像: ▼ ライオン錦

プルイノーサス

夏型
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
難易度: ★★☆☆☆

ステノセレウス属。鮮緑色の株に褐色の5〜8本のトゲを放射状に広げる大型種。生長が早いが寒さに弱いので室内管理がおすすめ。

画像: ▼ プルイノーサス

フェアリーキャッスル

夏型
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
難易度: ★☆☆☆☆

アカントセレウス属。「妖精の城」という名の石化サボテン。原種は諸説あるが正確なものは不明。大量に子吹きして群生する。

画像: ▼ フェアリーキャッスル

柱型サボテンの栽培カレンダー

画像: 柱型サボテンの栽培カレンダー

球形のサボテン

科 名 サボテン科
原産地 チリ、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、北アメリカ、南アメリカ

丸い形が人気の球形のサボテンは「玉サボテン」とも呼ばれます。特定の属が決まっているわけではなく、球形のサボテンはさまざまな属で見ることができます。生長するとやや細長く伸びて樽型になるものもありますし、子株がよくついて群生するものもあります。日照不足になると間のびしやすくなります。

青王丸

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:強い
難易度: ★★☆☆☆

パロディア属。青みがかった深緑の株に渋みがある。トゲが黄、茶、黒、白、赤とカラフルで美しい。真夏以外は直射日光を好む。

画像: ▼ 青王丸

雪晃

夏型
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
難易度: ★★☆☆☆

パロディア属。密生した白いトゲは雪が降り積もったよう。朱色の花とのコントラストも美しい。生長は早い。冬は室内で越冬。

画像: ▼ 雪晃

白閃小町

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:普通
難易度: ★★☆☆☆

パロディア属。白い閃光のような純白のトゲと刺座は、暗緑色の株によく映え魅力的。鉢内部が湿った状態が続かないよう注意。

画像: ▼ 白閃小町

ワラシー

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:普通
難易度: ★★☆☆☆

パロディア属。深緑の株に黄金のトゲ。冬~春先にかけてはカイガラムシに注意。

画像: ▼ ワラシー

レーイ

夏型
耐寒性:強い
耐暑性:強い
難易度: ★★☆☆☆

エスコバリア属。基部周辺から子株が吹き、塚を形成する。花は茶色がかったピンク色。比較的寒さには強いが蒸れに弱い。

画像: ▼ レーイ

分類の変動について

植物の分類方法はさまざまですが、本書では「分類階級」という生物学上の分類法を基にして、科名や属名ごとに仲間分けをしています。
もともと、科や属は見た目の形状や性質などを基に「似ているもの同士」として分類されていました。しかし新しい研究で遺伝子レベルの分類体系が確立され、同じ植物でも科名や属名の変更が起きています。多肉植物も科名、属名の変動がよくあるため、本書では現状とは異なる、より一般的な科名や属名で紹介している種類もあります。

ミズクエンシス

夏型
耐寒性:強い
耐暑性:強い
難易度: ★★☆☆☆

スルコレブチア属。鮮やかなピンクの花を咲かせる。乾燥していれば耐寒性は-5℃まであるが、最低5℃程度の環境で育てるほうがよい。

画像: ▼ ミズクエンシス

テヌイッシマ

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:普通
難易度: ★★★☆☆

コピアポア属。黄色の大輪の花をつける小型種。生長は遅い。日光にしっかりと当てることで鮮やかな緑褐色を保つ。

画像: ▼ テヌイッシマ

ラウシー

夏型
耐寒性:強い
耐暑性:普通
難易度: ★★☆☆☆

スルコレブチア属。直径2〜3cmの球体の小型種。子株が根元から吹き出るように群生する。トゲは小さく触っても痛くない。

画像: ▼ ラウシー

竜王丸錦

夏型
耐寒性:普通
耐暑性:強い
難易度: ★★★☆☆

ハマトカクタス属。やや長めの茶色と黄白色のトゲをもち、青緑の株には黄色の斑が入る。キクに似た花弁の大輪の花を咲かせる。

画像: ▼ 竜王丸錦

球形サボテンの栽培カレンダー

画像: 球形サボテンの栽培カレンダー

なお、本稿は『はじめてでもうまくいく! わかりやすい多肉植物の育て方』(永岡書店)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

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※③「「エケベリアの仲間」」の記事もご覧ください。

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