クレジットカードの世界では、支払いにカードが利用可能な店舗を『(カード)加盟店』と呼んでいる。この加盟店の開拓やカードの取り次ぎを行うのが『加盟店契約会社』、カードを発行するのが『カード会社』。この三者で成り立つ仕組みがクレジットカードにおける基本的な処理の流れと覚えておこう。
クレジットカード会社とVISAなどの関係は?
読者からの質問
イオンカード、楽天カード、セブンカード・プラス、ヤフーカードなどのクレジットカードを所持しておりますが、どのカードもVISAやJCBなどの国際ブランドのマークがあります。これらの会社は、お金の流れを含め、どのような関係になっているのでしょうか?(I.Tさん 宮城県 75歳)
編集部:
この質問は、ITジャーナリストの鈴木淳也さんに聞きます。これらの会社の関係は?
専門家の回答
専門家:
「クレジットカードの世界では、支払いにカードが利用可能な店舗を『(カード)加盟店』と呼んでいます。この加盟店の開拓やカードの取り次ぎを行うのが『加盟店契約会社』、カードを発行するのが『カード会社』です。カード会社が発行するクレジットカードを加盟店で支払いに利用する際は、まず、加盟店契約会社を経由してカード会社に問い合わせが行われ、有効期限や支払い可能枠などに問題がなければ決済を許可します。後日、利用した分の金額はカード会社からカード利用者に対して請求が行われ、カード会社や加盟店契約会社が『手数料』を差し引いた後、加盟店に売上金として振り込まれます。
では、VISAやJCBなどの国際ブランドはどのような役割を果たしているのでしょうか。イオンカードや楽天カードはそれぞれイオンと楽天のカード会社が発行していますが、日本国内だけでなく、世界には数多くのカード会社が存在します。加盟店契約会社が、数多あるカード会社の発行するすべてのクレジットカードに対応していれば問題ないですが、そうもいきません。そこで、VISAなどの国際ブランドの決済ネットワークを利用することで、世界中どこでもVISAのロゴが付いた加盟店であれば、VISAブランドのカードで支払いが可能になります。そのため、一般的には加盟店契約会社とカード会社は国際ブランドを経由してやり取りを行う形になり、この三者で成り立つ仕組みがクレジットカードにおける基本的な処理の流れになります」
編集部:
具体的なお金の流れはどうなっているんでしょう?
専門家:
「実際、どのようなお金の流れになるかは『手数料』で決まります。店舗がカード加盟店になる場合、加盟店契約会社などを通じてカード利用手数料が決定されます。例えば3%の手数料であれば、1万円の買い物に対して300円の手数料となり、差額の9700円が売上金として店舗へと振り込まれます。300円の手数料はカード会社、国際ブランド、加盟店契約会社で分配されますが、難しいのは、手数料は一律ではなく、店舗ごとの契約内容によって異なる点です。
例えば、大手で売上高も大きい加盟店ほど手数料が低めで、中小や個人商店などは手数料が高めに設定されやすくなります。多くの場合、手数料は外部公開されませんが、近年は諸外国に比べて日本の手数料の高さが議論の的になる機会が増えており、見直しの機運が高まっています」
編集部:
三者で手数料を分配、ということですね。了解しました。
◆イラスト/はやし・ひろ
※価格は記事作成時のものです。