家電量販店では、展示品の下に多くの在庫が置かれています。自分で商品を決めて、その商品の在庫が棚下にあれば、もちろん自分でレジに持って行ってかまいません。しかし、棚下に在庫がない商品もあります。また、自分でレジに運ぼうとしたら店員に声をかけられることもあります。今回は、そんなことを含めて商品や販売方法の違いについて書いてみます。
家電量販店の商品は3種類に分けられる
たぶん店舗(会社)によって違いがあると思いますし、この分類が正式なものか分かりません。しかし、家電量販店で売っている商品は、棚下商品、説明商品、配送商品の3種類に分けることができます。
棚下商品について
在庫が出ている商品は、自分でレジへ運んでほしい
まず、棚下商品。これは、展示見本品の下に在庫が置かれている商品です。小さな商品だと、棚に並べられていたり、フックにかけられていたりしますが、これらも同じ扱いです。たとえば、スマホのケースやアクセサリー、パソコンやテレビの接続ケーブル、電池やLED電球などがあります。
スーパーやコンビニでは、自分で商品を選んでレジへ持っていくのが当たり前ですよね。ホームセンターでは、かなり大きな商品でも自分でカートに載せて運んでいます。家電量販店でも同じです。
本音でいうと、こうした商品は、むしろ「自分で選んで自分でレジへ運んでくれた方がありがたい」ものです。全般的に値段が安いものが多いので、接客に時間をかけたくないですし、値引きを求められても対応が難しいので。
一方で、電子レンジやプリンター(インクジェット複合機)など、けっこうサイズが大きくて値段が数万円という商品も棚下に置かれていたりします。また、小型テレビが通路に箱積みされていることもあります。
こうした商品も、買いたい商品が決まっているなら自分でレジに運んで構いません。しかし、近くにいる店員に一声かけるほうがいいケースもあります。逆に、自分で運ぼうとしたら店員に声をかけられることもあるでしょう。
たとえば、テレビならアンテナ工事は必要がないか、照明器具なら取り付けは大丈夫かといった確認が必要なことがあります。どちらも、お客様が自分でできないなら業者に依頼しますが、その場合は有料になります。
また、紙パック式のキャニスター型掃除機だと、今は紙パックが1枚しか付属していないのが普通なので、予備の紙パックをお勧めしています。プリンターのインクも、最初に付属しているインクはセットアップのため通常より早めになくなります。そのため、特に年末の年賀状作成シーズンなどは予備インクの購入をお勧めしています。
逆に、展示品の下に欲しい商品の在庫がないときは、迷わず店員を探して在庫を確認してもらってください。たまたま店頭に出していた分が売り切れただけで、倉庫には在庫があるということが少なくありません。
売り切れで在庫がないときは、注文の手続きができます。早ければ数日で入ることもありますが、普通は1~2週間くらい。長いと数ヵ月ということもあります。特に昨年から今年は、新型コロナウイルスの影響で生産が不安定になり、入荷未定となった商品が少なくありません。
説明商品について
店員が最も売りたい商品はこれ
店内に展示品が置かれていて、その前で店員と話をして、購入が決まると倉庫から在庫を出してくる商品があります。たいてい、価格もサイズも大きめの商品です。販売方法としては、デパートや専門店に近いと思います。
実は、店員が最も売りたいのは、こうした商品です。というのも、こうした商品の説明をどれだけ行って、いくら売り上げて、どのくらい利益を得たか、そうした個人成績に反映されるのが、こうした説明商品なのです。なので、こうした商品の案内には熱心に応じてくれるはずです。
とはいえ、棚下に在庫がある商品でも、聞きたいことがあれば聞いてください。店舗側が常に気にしていることのひとつが、後で「買ったけど合わなかった」と言われること。これには、「使ってみたら、自分の希望と違った、期待した性能がなかった」というケースと、「間違ったモノを買ってしまい使えなかった」というケースがあります。
前者の例としては、「トースター機能付きの電子レンジを買うつもりだったのにトースター機能がない機種を選んでしまった」とか「小型の電気ストーブを買ったけど、思ったほど暖かくならない」とか。後者の例としては、「プリンターインクの型番を間違えた」とか「HDMIケーブルを買うつもりだったのにUSBケーブルを買ってしまった」といった感じです。
このような場合、未開封あるいは未使用で再び販売が可能、かつレシートがあれば返品や他の商品と交換が可能としている店が多いです。しかし、その手続きは意外に手間がかかります。お客様にとっても対応する店舗スタッフにとっても時間を浪費することになります。
こうした事態を避けるには、購入段階でよく確認してもらうのが一番です。そして、こうした商品でも説明して販売が成立すれば、その店員の実績になることがあるので遠慮なく相談してください。
配送商品について
配送が必要な大型商品は手続きが違う
冷蔵庫や洗濯機、大型テレビなどは、ほぼ確実に店員やメーカー説明員と話をしてから購入を決めると思います。そういう意味では、これらも説明商品ですが、一般的な説明商品とは成約後の手続きが異なります。
まず、商品が大きいので、自分で持ち帰る人はほとんどいません。そもそも、店舗に在庫がありません。小型冷蔵庫や小型テレビなどは店に在庫があって持ち帰れることもありますが、大型商品の場合は各社が地域ごとに持っている配送センターに商品が置かれています。
そのため、購入が決まると配送センターに在庫があるか確認して、それから配送日の手続きとなります。また、金額が大きいので支払い方法もさまざま。そのため、売り場で案内している店員から、契約カウンターにいる担当者に手続きが引き継がれることが多いです。
特に、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、エアコンは家電リサイクル法によって処分方法が決められていて、普通は配送の際に配送業者が引き取ります。そのための手続きと、リサイクル代金の支払い(リサイクル券の購入)も必要です。
エアコンの場合は、事前にお宅を訪問して取り付け工事の見積りを行うことが多く、その分、手続きが煩雑になります。そして、工事見積りの結果、キャンセルになることもありますし、設置工事ができないため店側からお断りせざるを得ないケースもあります。
実は、大型冷蔵庫も配送に行ったら大きすぎて家に入らず持ち帰ることがあります。その場合、配送員から「店で、もっと小さい商品を選び直してください」と言われます。そうすると、またしばらく新しい冷蔵庫を使うことができません。故障による買い替えだと、つらいですね。
まとめ
以上、さまざまな商品について案内してきましたが、改めて考えると家電量販店にはいろいろな販売形態が混在しているんですね。上手に利用するには、やはり店員との円滑なコミュニケーションが大事だと思います。
家電量販店の店員は、あなたに高い商品を売りつけようとする敵ではありません。あなたの生活をより快適にするために相談にのって、協力してくれる人といえるでしょう。なので、いい関係をつくって、いい買い物をしてほしいと思います。
執筆者のプロフィール
文◆高山とほ(プロダクトライター)
長年にわたり家電量販店の店頭に立ち、いろいろなお客様に対応した経験から「それぞれのお客様にとって最適な製品を選ぶポイントを的確に伝える」ことをモットーにしているモノ派のライター。学生時代に工業デザインを学び、日本製家電の黄金期に郷愁を感じる世代。アウトドアを好み、道具にはこだわるほう。