基本レシピは食品学専門家の直伝
今回もレシピを教えてくださったのは、私の恩師で食品学専門家の青山佐喜子先生です。博士(学術)・管理栄養士・製菓衛生師・食生活アドバイザーとして多方面でご活躍中です。青山先生直伝レシピ第2弾は、ピザ生地とトマトソースです。
【青山先生直伝レシピ第1弾】→【焼き肉たれの作り方】肉が柔らかくジューシーになる甘口と辛口の2種類
今回の自家製トマトソースとピザ生地は、子ども向けの食文化体験講座のために考案されたもの。小学1年生から中学1年生までの参加者一人ひとりが小麦粉から生地をこね、トマトソースを作り、トッピングも楽しんだそう。

「ピーマン嫌いの子どもがトッピングで使った3色のパプリカをパクパクと食べて、親もびっくり。食育の面白いところですね」と青山佐喜子先生。
今回のレシピは卒業後に伝授していただいたので、私自身も初チャレンジです。小学1年生でも楽しんで作れるレシピなら、私にもできるはず。さっそく作ってみましょう!トマトが服につくとシミ抜きに苦労するので、エプロン必須です。
まずはピザのトマトソース作り
【材料】(できあがり約300g)
トマトの水煮(ホールトマト)…400g(1缶分)
タマネギ…中1/4個(約50g)
ニンニク…1片(約10g)
オリーブオイル…大さじ2(24g)
ローリエ(ローレル)…2枚くらい
塩、コショウ…少々

材料はきわめてシンプル。
【作り方】(調理時間 約20分)
①トマトの水煮をザルで漉す。優しくトマトを潰しながら、ザルに擦りつけるようにするとよい。

少し手間がかかりますが、ここを丁寧にすると、なめらかなトマトソースになります。

タネや皮が取り除けました。ザルの裏面にも漉したトマトが付着しているので、キレイにこそげ取りましょう。
②タマネギはみじん切り、ニンニクは包丁で押さえて潰す。

みじん切りは細かいと舌触りが良くなります。粗いみじん切りで食感を楽しむのもアリです。
③深めの鍋にオリーブオイルとニンニクを入れ、火にかける。低い温度からニンニクをゆっくり炒めて香りを油に移す(2〜3分が目安)。次にタマネギとローリエを入れ、色がつくまでじっくりと炒める(5分くらい)。

ニンニクとローリエの香りが立ち上ってきます。後で加えるトマトが意外にハネるので、鍋は少し深めがオススメ。
④③の鍋に①の漉したトマトを加え、10〜15分ほど弱火で煮込む。ぽってりとしたら、塩、コショウで味を整える。

煮込み始めは水分が多く、サラッとしています。焦げ付かないように、木べらなどで混ぜながら弱火で煮込みましょう。

目指すのは、これくらいのポテッとした煮詰まり具合。
⑤粗熱がとれたら、容器に入れる。

出来上がり約300g。直径20cmくらいのピザ3枚+後ほど紹介するアレンジレシピにも活用し、あっという間になくなりました。
調理時間20分といっても、ほぼトマトを漉す時間と煮込む時間だけ。最初のトマトを漉す手間さえ惜しまなければ、想像以上に簡単です。完成したトマトソースは、冷蔵保存して1週間以内に使い切りましょう。ジッパー付きフリーザーバックに入れて平らにして冷凍すればポキポキ割って活用できます(冷凍保存は2ヵ月程度までを目安にしてください)。
次に、ピザ生地にチャレンジ!
青山先生直伝レシピをベースに、身近なボウル1つで発酵までできる作り方にアレンジしました。ボウルを大きめのタッパーに変えて作ることも可能ですが(実際に試してみました)、タッパの四隅に粉が残りやすく、やや粗い生地の仕上がりになります(それでも焼いたらピザっぽくはなりました)。
【ピザ生地】(できあがり約350g・ピザ 2〜3枚分)
強力粉…200g(カップ2弱)小麦粉 カップ1=110g
砂糖…8g(大さじ1弱)砂糖 大さじ1=9g
食塩…4g(小さじ2/3)食塩 小さじ1=6g
ドライイースト…6g(小さじ2弱)ドライイースト 小さじ1=3.3g
ぬるま湯(25〜38℃)…130ml(カップ2/3弱)水 カップ1=200g
植物油…8g(小さじ2)油 小さじ1=4g
*重量後ろの( )は計量器がない場合の目安量ですが、きちんと計量することをおすすめします。

植物油はオリーブオイルを使用。米油、太白ごま油でも試しましたが、どれも美味しくできました。
【作り方】(調理時間 約25分 *発酵時間除く)
①ボウルにふるった強力粉を入れ、その上に砂糖、塩、ドライイーストを置く。

ズボラな私は、ボウルに粉を入れて泡立て器で軽く混ぜて「ふるったつもり」作戦。これでも問題ありません。

砂糖、塩、ドライイーストを加えます。ドライイーストは3gずつ個包装されたタイプが計量いらずで便利です。
②ぬるま湯を①のボウルに入れ、まんべんなく行き渡るように混ぜる。さらに、手に生地が付かなくなるまで、しっかりこねる。

慣れてきたらデジタルスケールで計りながら材料を加えるズボラ技もできるように。ただし、慎重に加えないとオーバーするので要注意!

水を入れてしばらくは、手に生地がひっついて扱いにくいですが、数分のガマンです。

2〜3分こねると、粉っぽさの残る生地が手から離れ、ひと塊になってくれます。
③ひと塊にまとまってから、50回以上ボウルの中で打ち付けるようにしてこねる。
*パンこねマットや消毒済みのまな板などに生地を移してこねてもOK。

下に濡れフキンやタオルを敷くとボウルが安定します。このボウルは24cm径。これくらい大きめのボウルだとこねやすいです。

家族みんなで「1人25回ずつ」など協力しあって交代でこねると楽しいです。
④油を手につけながら、よくこねる。オイルが生地の中へ入り、べとつかず、なめらかになじむようになるまでこねる。ピザのもっちりとした弾力のもとになるグルテンをしっかり作るため、油はこのように、あとから加えるのがポイント。

油を生地に塗り込むようにして、こねます。餅つきみたいで楽しいです。

ひと塊だった生地が油でゆるみ、ベチャベチャして一瞬不安になりますが、大丈夫です!

10〜15分程度こね続けると、生地が弾力のある柔らかさになり、キレイにまとめられるようになります。

これくらいなめらかな生地になればOK!
⑤生地を丸め、表面に油(分量外)を薄くぬる。生地を入れたままのボウルにラップをし、冷蔵庫で一晩おいて、もとの2倍の大きさになるまで発酵させる(一次発酵)。大きめのフタ付き容器に移し替えたり、Lサイズのジッパー付き保存袋に入れて冷蔵発酵させることも可能。
※オーブンで発酵させる場合は25〜38℃設定で20〜40分が目安、ぬるま湯を張った大きな鍋や発泡スチロール箱に、ラップしたボウルを入れて発酵させることもできます(夏場は室温でも発酵可能)。この場合、室温にもよりますが、生地が2倍の大きさに膨らむまで1時間から数時間かかると思います。ホームベーカリーで生地だけ作れる場合は、文明の力に頼ってください。

こねた直後(左)→発酵後(右)。冷蔵庫で放置のズボラ発酵でも、翌朝ちゃんと生地が膨らんでいます!
発酵した生地を伸ばし、いざトッピング!
発酵後の生地伸ばしと成形に必要な基本道具は、クッキングシート、めん棒、包丁です。めん棒がない!という場合は、堅めのラップの芯でも代用できます(私も今回ラップの芯でやってみました)。

生地伸ばしに使った主な道具。クッキングシートは100均ショップで調達しました。
ピザの成形
①冷蔵発酵した生地を使う30分以上前に冷蔵庫から出し、室温で戻しておく(その間に具材を準備)。生地に手でパンチするようにガス抜きし、包丁で2〜3つに分割する(3分割で約20cmサイズのピザが3枚焼けます)。我が家は、オーブントースターで焼けるサイズが直径22cm程度なので、3分割しました。広めのオーブンで焼く場合は、2分割にして大きいサイズのピザを焼いてもOK。

ガス抜きすると、膨らんだ生地が、たちまちしぼんでしまい、少しせつないです・・・。

作りたい枚数や各家庭のオーブン事情に合わせて、いくつに分けるか調整してください。
②分割した生地を丸めて、生地の閉じ目を下にして置き、乾燥しないようラップなどをかけて10〜20分休ませる(ベンチタイム)。

私は発酵に使ったボウルをかぶせました。濡らして絞った清潔なフキンなどをかぶせてもOK。
③クッキングシートの上で生地をめん棒で丸く伸ばし、好みの大きさの円形にする。フォークで穴を開け(ピケ)、表面にオリーブオイル(分量外)を薄く塗る。ピザ生地の耳までオイルを塗るのが美しい焼き上がりのポイント!

直径約20cm。生地の中心は少し薄めに伸ばし、円の端は厚めに。指を使って土手のように耳を作ると、ピザっぽさが増します。

オリーブオイルは料理用のハケで塗ると便利ですが、スプーンや手で塗ってもOK。
「マルゲリータ」のトッピングから焼き上がりまで
ピザの基本、モッツアレラチーズとバジルだけで作れるシンプルな「マルゲリータ」に挑戦!
④トマトソースとモッツアレラチーズをのせ、オリーブオイル(分量外)を回しかける。

自家製トマトソースを大さじ3杯くらい、たっぷりめに使います。

赤色のトマトソースがまるで太陽みたい!なんだか気持ちも明るくなります。

具材は、モッツァレラチーズ(50g)、バジル(5枚くらい)のみ。バジルは焼き上がってから飾ります。
⑤ピザを焼く。オーブンの場合は220℃で10〜12分、オーブントースターの場合は高温(900〜1200Wくらい) で7〜9分が目安。
*ご家庭のオーブンやオーブントースターによって性能が異なるので、調整して好みの焼き加減と食感を探してください。なお、オーブンもオーブントースターもない場合は、魚焼きグリルやフライパンでも焼けます(フライパンの場合は表面がこんがりと焼き上がりにくいです)。

オーブントースターで焼きました。私の実感では、オーブントースターで焼くとピザ生地がカリッと仕上がり、オーブンで焼くとふっくらモッチリと焼ける印象です。
⑥焼き上がったら、仕上げのバジルを飾って完成!

思わず「美味しそう!」と声が出ます。耳の部分のふっくら感も、いい感じ!

切り分けて(キッチンバサミを使うと便利です)、いただきまーす!
目指した窯焼き風ピザに近い(やや自画自賛)、香ばしい焼き上がりと生地のもっちり感に、家族みんな感動!自家製トマトソースとチーズが絶妙に溶け合い、文句なしに美味しい!バジルの香りにも癒やされます。生地をもっと薄く伸ばしたり、強力粉の一部を薄力粉にしたりすると、歯ざわりがサクッとしたクリスピータイプのピザになり、違う美味しさを楽しめます。試してみてください。