読者からiPhone用アプリがない電子マネーがあるのはなぜ?という質問が届いた。専門家に聞いたところ、電子マネーに使うシステムは、iPhoneとAndroidで異なっていると教わった。なお、iPhone 7以降には『Apple Pay』というシステムが採用されていて、そこに『Suica』『PASMO』『iD』『QUICPay』などを登録して使うことは可能ということだ。
iPhone用がないアプリがあるのはなぜ?
読者からの質問
「nanaco(ナナコ)」や「iD」など、iPhone用アプリがない電子マネーがあるのはなぜですか?もっというと、iPhoneのみ、Androidのみというアプリがけっこうありますが、なぜ片方のOS(オペレーティングシステム)でしか使えないようにしているのでしょうか?(T.Cさん 神奈川県)
編集部:
この質問は、ITライターの村元正剛さんに聞きます。
専門家の回答
専門家:
「まず、電子マネーについてお答えします。電子マネーに使うシステムは、iPhoneとAndroidで異なっています。iPhone 7以降には『Apple Pay』というシステムが採用されていて、そこに『Suica』『PASMO』『iD』『QUICPay』などを登録して使えます。このApple Payでも『nanaco』は使えません。iDは、iPhone向けの専用アプリはありませんが、Apple Payでは使えます。
Androidは『おサイフケータイ』に対応している機種であれば、多くの電子マネーを利用できます。iPhoneでは使えない『nanaco』と『WAON』も、Androidでなら使えますし、もちろん、iDやQUICPayも使えます。
なお、Androidでは『Google Pay』という決済システムも利用できますが、端末がおサイフケータイに対応していない場合、Google Payだけでは電子マネーを使えません。また、Google Payで電子マネーを使う場合、利用できるサービスに制約が生じる場合があります。
おサイフケータイは日本で生まれたシステムですが、Apple PayやGoogle Payは世界共通仕様として開発されたシステム。対応させるには、技術的にもコスト面でも負担がかかります。多くの電子マネーが、Apple Payに対応させたいけれどそれをあきらめた、もしくは検討中というのが実情です」
編集部:
アプリがなくてもApplePayで使える電子マネーもあるし、Apple Payにも対応してない電子マネーもあるんですね。では、片方のOSにしか対応しないアプリがあるのはなぜなのでしょうか?
専門家:
「iPhoneとAndroidでは、操作の基盤となるOSが異なり、スマホで使うアプリは、それぞれのOSに最適化されている必要があります。iPhoneとAndroidのどちらでも使えるアプリはありますが、実はそれぞれ異なるアプリで、開発者は、iPhone向けとAndroid向けの二つのアプリを作っているわけです。同じアプリでも、iPhone用のアプリにある機能がAndroid用のアプリになかったり、その逆もあったりします。
片方のOS向けしかないアプリがある理由は、開発者の考えや都合によるものです。技術的に両方のアプリを作ることが難しいということもありますし、アプリの内容によっては、AppleまたはGoogleの審査をパスできないということもあるでしょう。まずは、iPhone向けのアプリを作って、そのあとにAndroidアプリが作られるというケースもあるようです」
編集部:
なるほど、同一のアプリであっても、実際は、OSが異なると別のものを開発しないといけないのですね。了解しました!
◆イラスト/はやし・ひろ