【デジタル終活のやり方】パソコン・スマホで遺すべきデータは?保存は「無料」のクラウドへ

暮らし・生活・ペット

デジタル終活では、データを整理し、不要なものは捨て、重要なものをわかりやすい場所へ置いておくことが大切だ。遺したいデータは、OS標準の目的別フォルダーに「移動」しておくのが無難だし、確実だ。

■取材協力
伊勢田篤史(いせだ・あつし)さん
日本デジタル終活協会 代表理事。「相続で苦しめられる人を0に」という理念を掲げ、終活弁護士として活動している。近著に「社長が突然死んだら?」。

[別記事:【デジタル終活とは】デジタル遺品・遺産になりうるものは?パソコンやスマホ内の情報を整理する方法→]

あなたが遺すべきデータは何?自分で作ったものを優先しよう!

優先度が高いのは自分しか持っていないデータ。写真やメモなども、遺族には大切かも!

パソコンを使い続けていると、たくさんのデータがあちこちに分散して保存された状態になる。スマホはそこまで分散されないが、デジタル終活では、データを整理し、不要なものは捨て、重要なものをわかりやすい場所へ置いておくことが大切だ。

重要なデータとは、基本的に自分が作成したオリジナルデータとなるだろう。たいそうなものはないと思うかもしれないが、デジカメやスマホで撮った写真、それをパソコンに取り込んだものは、まさに自分だけのもので、遺しておきたいという人も多いだろう。

オリジナルのデータは、写真・動画のほか、文書などのドキュメントファイルもある。パソコンの場合、設定を変えていなければ、基本的にはWindowsなら「ドキュメント」「ピクチャ」「ビデオ」の各フォルダーに保存されるので、確認して整理しよう。

また、USBメモリーやSDカードなどの中身も同様に確認しておく。もちろんそのすべてを遺す必要はなく、もういらない、または見てほしくないといったデータは別の場所へ移動しておこう。

なお、ネットの金融機関の情報や進行中の仕事のファイルなど、引き継いで活用してもらうものについては、別記事で説明する。

「ダウンロード」フォルダーにはネットで入手した音楽や動画なども保存される。だが、Apple MusicやNetflixといったサブスクのネットサービスでダウンロードしたファイルは、死亡後に退会すると再生不可になるので、わざわざ遺す必要はない。

サブスク動画/音楽は遺せない

NetflixやApple TV+はオフライン再生のためにダウンロードできるが、解約後は再生不可に。

不要なデータは整理し、自分で作成したものを中心にわかりやすい場所へ移しておこう。

パソコンまわりのデータは、標準の保存フォルダーをうまく使う

遺したいデータは、OS標準の目的別フォルダーに「移動」しておくのが無難だし、確実。

まず、パソコンそのものや、Googleなどのサービスへ確実にログインできるよう、アカウント名とパスワードをノートの冒頭で伝えておこう。これは、スマホでも同様だ。

たくさん保存されているパソコン内のデータから、何を遺すかが見えてきたら、順番に整理していこう。基本的な概念として、遺したいデータは種類ごとに1ヵ所へまとめておくことが大切。ノートで伝えるにしても、保存場所が点在していては、書き残す自分も、チェックする遺族も大変だ。

保存場所は、特別な理由がない限り、標準の「ピクチャ」や「ドキュメント」フォルダーにしておいたほうが、家族がパソコンに不慣れであっても理解しやすいだろう。

ファイル数が多すぎてわかりづらくなってしまう場合は、「ピクチャ」内に、例えば「家族写真」「旅行」「食べ歩き」などサブフォルダーを作って整頓するといい。もちろん「ピクチャ」の中に「家族に遺したい写真」などの伝わりやすい名前のフォルダーを作り、その中をサブフォルダーでさらに分ければ、よりわかりやすくなる。

見られたくないファイルは、別のフォルダーを作り、移動させておこう。別記事でも触れるが、「ピクチャ」や「ドキュメント」フォルダーではない場所にフォルダーを作るといい。

以上、写真を例に挙げたが、動画や文書も同様だ。また、「ドキュメント」フォルダーには多彩なデータが入っているので、フォルダーに分けてうまく整理しよう。

USB HDDやNAS(LAN接続のHDD)、USBメモリー、SDカードも同様に整理し、重要なデータが入っている場合はノートに記載し、パソコンの近くに置いておく。すぐにチェックしてほしいファイルなどは、パソコン内に「移動」しておくのもシンプルでわかりやすい。

なお、内蔵HDDと外付けドライブ間でデータをドラッグ&ドロップすると「コピー」操作になってしまうので、重要なファイルを移動する場合は、右クリックでドラッグ&ドロップして「ここに移動」を実行すれば確実だ。

パソコンまわりで遺すべきもの

パソコンへログインするためのアカウント/パスワード
Google、Microsoftアカウント、Apple IDなどのパスワード
Googleドライブ、iCloudなどのパスワード
メールのデータ
自分で撮った写真
自分で撮った動画
日記やメモなどの日常的なテキストデータ
イラストや小説などの創作物
仕事に関連するファイル
カセットやホームビデオ、プリント写真などデジタル化したデータ

OS標準の保存先を活用する

Windowsでは写真は「ピクチャ」、Officeファイルは「ドキュメント」に入れるのがわかりやすい。

サブフォルダーも作って整理

どういう中身なのかわかるようなサブフォルダーを作っておくと、よりスムーズに託せる。

スマホまわりのデータは、ロックの解除法を確実に伝えるのが第一歩

スマホで重要なのは、ロック解除法をメモなどで確実に伝えること。特にiPhoneでは、端末の強制初期化機能があるので、少しでも不安なら、今すぐこの機能をオフにしておこう。

Android端末の場合、microSDカードを使用していることも多いが、データを遺す基本的なやり方は、パソコンと共通だ。

あらかじめ整理しておき、遺したいものはノートを活用して意思をはっきりと伝える。ただし、スマホではパソコンほど保存場所を柔軟に変更できないので、標準の写真アプリでアルバム機能を使って「遺してほしい写真」「大切な写真」などに分類するといい。

また、スマホとパソコンのデータは同期していて基本的に同じ、という人もいるだろう。その場合は「中身は同じだからパソコンだけ引き継いで」と伝えること。

iCloudやGoogleフォトに同期しているなら、端末側で写真削除するとクラウド側からも消えてしまうので、それも注意するように伝えておこう。

スマホまわりで残すべきもの

スマホのロックを解除するパスコード
Apple ID、GoogleアカウントのID/パスワード
スマホ内、microSD内の写真(自分で撮ったもの)
スマホ内、microSD内の動画(自分で撮ったもの)

iPhoneの自動消去機能はオフに!

パスコードを10回誤入力すると端末を初期化する機能は危険。よほど信頼できない場合以外はオフにする。

遺すデータは無料のクラウドで。SNSは勝手に消えることはない

Googleドライブやicloudなど、クラウドに保存したデータは基本的には本人が死亡した後も残るが、課金して大容量を使っている場合はクレジットカードが止まれば、いずれは削除されてしまう。

その膨大な中身を第三者が確認・整理することは非現実的なので、遺したいなら無料分に収まる程度にしておこう。ただしいくら大手サービスであっても、10年後のことはわからないので、期待しすぎないほうがいい。

これは、ホームページやブログも同様だ。必要なデータを遺族が引き出せるよう、アカウントとパスワードは確実に伝えておこう。

SNSは基本的に「一身専属」だが、あえてアカウント削除を行わない限り、勝手に消えるケースは少ない。ただし、電話番号にひもづいたLINEは、電話の解約に伴い、いずれは消えてしまうものと考えよう。

プロバイダーや接続回線業者など、ネット契約に関しては、家族が不要なら解約することになる。そのためにも、基本情報はメモして伝えよう。

ネット関連で残すべきもの

オンラインストレージのID/パスワード(GoogleDrive、iCloud、OneDrive、Amazon Photo、Dropbox、Evernoteなど)
LINE、ツイッター、インスタグラム、フェイスブックなどのアカウント/パスワード
サブスクサービスの登録情報
インターネットプロバイダー、接続回線業者の情報
自分で作ったブログやホームページの情報

クラウドストレージは容量オーバーに注意

無料ストレージなら、基本的にデータが残るが、無料分を超えて課金があると、いつ消えるかわからない。

■解説/大坪知樹(フリーライター)

スポンサーリンク
暮らし・生活・ペット
シェアする
特選街web編集部

1979年に創刊された老舗商品情報誌「特選街」(マキノ出版)を起源とし、のちにウェブマガジン「特選街web」として生活に役立つ商品情報を発信。2023年6月よりブティック社が運営を引き継ぎ、同年7月に新編集部でリスタート。

特選街web編集部をフォローする
特選街web

PR

【ドライブ中に純正ナビでテレビ視聴!】データシステム・テレビキットシリーズから最新車種対応のカー用品『TTV443』が登場!
長時間のドライブで同乗者に快適な時間を過ごしてもらうには、車内でテレビや動画を視聴できるエンタメ機能が欠かせない。しかし、純正のカーナビは、走行中にテレビの視聴やナビ操作ができないように機能制限がかけられているのがデフォルト……。そんな純正...

PRガジェット