高速道路は、ETCでかなり楽に通ることができます。減速は避けられないにせよ、昔のように止めて、窓を開けて、券を読み取ってもらい、支払い、発進などはないです。それを街中の駐車場、ドライブスルー、ガソリンスタンドでもやってしまおうと言うのが、新サービスの「ETCX」。「おサイフカー」とも言うべきサービスをレポートします。
ETCカードは、登場から20年
2001年に導入されたETCは、「Electronic Toll Collection System(エレクトロニック・トール・コレクション・システム)」の略称。直訳すると「電子通行料金回収システム」。交通渋滞対策の一環として、高速道路、有料道路の料金をスムーズに支払うシステムとして、導入されました。それまで料金所で、「停止」「窓を開ける」「チケットを渡す」「料金がわかる」「支払い」「発進」。と言う、面倒くさいシステムが、減速はしなければならないものの、そのまま通過できるので、すごーく便利です。そうですね、Suica、PASMOをかざすのではなく、身につけているだけで改札通過ができるシステムと言えばいいかも知れません。
始めこそ、ブツクサ言う人もいましたが、使ってみると実に便利。もう後戻りは出来ません。20年経った今、普及率は90%オーバー、使用率で言うと93%だそうです。
ま、どれほど渋滞緩和に役だったのか資料はないのですが…。
ETCの進化
さて、ETCが導入された2001年を思い返すと、携帯電話はありましたが、スマートフォンはありません。ノートPCも軽くない時代。当時のシステムは、今のSuicaのように「スマホ」でも同じことができます、交通料金だけでなくジュースも買えますといった複合的な使い方はできませんでした。
ETCなどは典型例ですね。すげーオールド。単方向通信が基本です。2016年のver.2.0から双方向通信で、その時々の、高精度渋滞回避ルート、回避最適ルート、進路上の落下物、事故規制情報、自然災害情報、画像付きの天気情報などの情報をもらえるようになりました。
15年も経ってと言う感じですが、仕方ありませんね。元締めが、国土交通省の道路公団傘下ですからね。国の仕事で、手早かったことがありませんし、また上手く有効利用しようと言う発想も基本ないですね。
新サービス「ETCX」とは
しかし、ETCはクルマを通過させるだけで支払い可能な、とてつもなく便利なシステム。これを発展させないのはもったいないと、民間6社が集まり、ETCソリューションズと言う会社を起こしました。6社のうち、出資・業務提携は、ソニーペイメントサービス、沖電気工業、メイテツコムの3社。業務提携が、オリエントコーポレーション、中日本高速道路、三菱プレシジョンの3社となります。※(株)は省略
要するに、サービスが民間におりたわけです。
これにより、いろいろなサービスが受けられるようになりました。
ユーザー側のアクションは、ETCカードとクレジットカードをETCXに登録するだけです。
これで全国津々浦々、高速道路以外でも使える「準備」が整ったわけです。しかし、今の段階ではあくまでも「準備」です。使えるようになるには、駐車場などに、ETCXシステムを取り入れる必要があります。景気が良ければ、とりあえず対応などもあるのでしょうが、コロナ禍で投資は鈍り気味であることも事実です。
まとめ
ETCXは伸びることが約束されているサービス
スマートウォッチでの支払いが便利なので、スマートウォッチを手放せない知り合いがいます。スマホでも同じことができるのですが、「楽」のレベルが違うのは事実です。
クルマも同じです。小雨降る中、場合によってはドアを開けて駐車料金を支払うのは、なんとも億劫なものです。左ハンドルなら尚更です。それくらい、クルマは乗車時、ドライバーに一体化を強います。そんな時、クルマが支払ってくれるのはとても便利。それがETCです。
ETCXはそれの拡張版ですが、面倒くさいのは、高速道路も街中も同じ。クルマに乗っている限り続きます。要するに、普及に時間差があるとしても、確実に普及する敵なしのサービスと言えます。スマートウォッチで似たことは可能かも知れませんが、使っているスマートウォッチで、差がありますから、90%以上、同じものが普及しているETCの敵にはならないでしょう。
ETCXは、普及すべきサービスと言えます。そうなれば、なるべく早く施設にも導入してもらいたいものです。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。