家電量販店に並んでいる商品の中には、「現品限り」や「展示品限り」、あるいは「展示・在庫品限り」といった札が付いているものがあります。みなさん、何となく意味が分かると思いますが、実はよく理解されていないこともあります。また、展示品を買うとお得な商品と、慎重に考えるべき商品があります。今回は、そういったお話です。

展示品を売るケースと売らないケースがある

展示品には3種類ある

最初に知ってほしいのは、最後に展示品を売れるケースと売れないケースがあること。実は、展示品には3種類あります。

まず、店舗に入荷した商品を開梱して展示している場合。これは、展示品も在庫なので、最終的に売り切る必要があります。ただし後述しますが、展示品を売るのは最後の最後です。

次に、メーカー貸し出し品の場合。こちらは、メーカーが展示用として店舗に貸しているもので、その機種の販売が終わるとメーカーが回収または処分します。店舗の在庫ではないので、この展示品を販売することはできません。

このほか、モックアップが展示されていることがあります。モックアップは、中身が入っていない外側だけの見本です。持ってみると明らかに軽いのですが、意外に気がつかない人がいます。当然、売ることはできません。

エアコンはほぼすべてモックアップで、空気清浄機などもモックアップが多いです。また、白物家電や黒物家電の中にも小物を中心にけっこうモックアップがあります。

意外に知られていない「展示・在庫品限り」の正しい意味

改めて書くまでもないとは思いますが、「展示品限り」とか「展示・在庫品限り」となっている商品は販売が終了するということです。メーカーが製造を終了したので、もう入荷しません。通常、店舗に在庫がない商品は注文できますが、「展示・在庫品限り」の商品はそれもできません。

ただ、そうした商品を案内していて感じるのが、意味を正しく理解していない意外に人が多いということです。順に説明しましょう。

まず、生産終了になると、その旨、メーカー側から店舗の本部に連絡が来ます。ただし、その連絡が来た時点で、普通は店舗に一定数の在庫が残っています。この場合、まず店舗にある在庫品を売ります。もちろん、未開梱の新品です。

そして、このとき「展示・在庫品限り」という札が付けられます。つまり、「展示品と在庫品があって、まだ販売できます。ただし、もう入荷しないので、なくなったら販売終了」という意味です。

しかし、この札を見て「この、展示されている現品しかないの?」と聞いてくる人が少なくありません。そうではなく、この段階では未開封の在庫品を買って頂きます。そして、在庫がなくなると、最後に展示品を売ります。このとき、表示が「現品限り」や「展示品限り」になります。

展示品は見本として使ってきたものなので、処分価格よりさらに値引きする店もあります。また以前は、展示品の箱を保管していて、その箱に入れ直してお渡ししていたのですが、今は箱がないことが多いです。もちろん、取扱説明書や付属品は付きます。

イレギュラーケースもある

店舗としては、展示品を販売するは最後の最後です。その理由も含めて、イレギュラーが発生するケースを紹介しましょう。

まず、まだ販売終了ではなく、単に店舗の在庫が切れている場合。お客様によっては、「だったら、この展示品でいいよ。これを売って」という方がいますが、これはできません。ご注文の手続きをして頂き、入荷を待ってもらいます。

前述のように、その展示品がメーカー貸出品やモックアップの場合は、そもそも販売することができません。店舗在庫の場合も、最後に処分価格で販売するものです。この段階で展示品を売ってしまうと、次に入荷したとき、また開梱して処分価格で販売する商品を増やすことになります。さらに、次の入荷まで展示品がなくなってしまいます。

次に、「展示・処分品限り」となっているときに、「展示品の方が安いなら、展示品を売ってほしい」というお客様。これも、同じ理由でお断りしています。あくまでも、在庫品の販売が優先されます。

最後に、店舗の事情でイレギュラーが発生することがあります。たとえば、駅前店では順調に在庫が減って、あとは展示品を売って終わりという状況。しかし、郊外店には在庫が10台以上あって、売り切るのが難しいといったことがあります。

こうしたときは、郊外店から駅前店に在庫を移します。そのため、駅前店で「展示品限り」となっていた商品が、「展示・在庫品限り」に戻ることがあります。在庫を移動している間に、駅前店で展示品が売れてしまうと、展示品がないのに在庫品がある状況になることもあります。こうなると、見本なしで販売することになるので苦労します。

展示品を買ってお得な商品、慎重に考えたい商品

販売可能な展示品も、実は2種類に分けることができます。使用したものと、店頭に出ていたけど使用していないものです。

では、ここでクイズです。冷蔵庫の展示品とテレビの展示品、同じくらいの値引き率だったら、お買い得感が高いのはどっちでしょう?

冷蔵庫は食品を入れるもの。展示品を購入した場合、もちろん清掃して配送しますが、不特定多数の人が触ったり扉を開け閉めしたことは確か。一方、テレビは画面をベタベタ触ることは考えにくいですね。触ってもリモコンくらいでしょう。

店頭で使用されていない家電はお得

しかし実は、同じくらいの値引き率なら冷蔵庫の方がお得です。店頭にある冷蔵庫は、基本的に電源を入れていません。一部の店舗では、野菜が長持ちすることを証明するために電源を入れて野菜室に野菜を保存しているという話を聞いたことがありますが、これはレアケース。

冷蔵庫の展示品は、店頭に置かれていただけで未使用です。なので実際、よく売れています。

店頭で使用されほぼ「中古品」に近いものも

一方、テレビの場合、店が開いている時間、ずっと映像が表示されています。たとえば、営業時間が午前10時から夜8時までなら1日あたり10時間。家電量販店は原則として年中無休、休んでも元日くらい。そのため、1年間展示されていたテレビは、すでに3600時間以上使われていた計算になります。

一般の家庭で、テレビを3600時間以上使うには何年もかかるのが普通ではないでしょうか。ということで、テレビの展示品は中古品と考えたほうがいいと思います。特に液晶画面は、使用時間が長くなるとドット抜けやライン抜けのリスクが上がります。

店頭でどのように展示されているかは要チェック

考え方は同じですが、意外なのが季節家電です。つまり、扇風機や電気ストーブ、石油ファンヒーターといったもの。

扇風機や電気ストーブは、たいてい電源を入れて試せるようになっています。なかには、扇風機をずっと回している店もあります。現在、扇風機の使用目安は、機種にもよりますが6年から12年。夏場、店頭でずっと回っていた扇風機は、耐用年数を消費している可能性があります。

同様に、電気ストーブも、何度も点けたり切ったりしているわけで、それだけ電熱線やスイッチ回りが使われていると思われます。

一方、石油ファンヒーターは灯油を入れると販売できなくなるので、まったく使用されていません。電源コードすら差していません。つまり、展示品であっても実質的に新品です。

同じように見ていくと、洗濯機や電子レンジは冷蔵庫と同じで新品同様です。掃除機は、店内で動かしてみるとが多いので、かなり汚れています。完全に中古品の状態ですね。

パソコンは、テレビほどではないですが使用品と思った方がいいでしょう。プリンターは、インクをセットすると販売できなくなるので新品同様です。石油ファンヒーターと同じです。

ハードディスクやWi-Fiルーターはモックアップが多いですが、販売可能な展示品が置かれていることもあります。これらは、展示品でも未使用だと思います。

まとめ

最近は、リサイクルショップの人気が高いと聞きます。家電量販店でも、「安く買えるなら展示品でいい」という人が増えているような気もしますし、まだまだ「他人が触ったものはイヤ」という人も多いように感じます。

個人の価値観なのでどちらでもいいのですが、前半で書いたように「展示品限り」と「展示・在庫品限り」では意味が異なり、販売順に決まりがあることを知っておくと、お客様にとってもスムーズな買い物ができるのではないでしょうか。

それと、後半で書いたように、同じ展示品でも実質的に新品同様のものと、実質的に中古品に相当するものがあります。これ、意識している人は少ないですが、かなり大事だと思います。

執筆者のプロフィール

文◆高山とほ(プロダクトライター)
長年にわたり家電量販店の店頭に立ち、いろいろなお客様に対応した経験から「それぞれのお客様にとって最適な製品を選ぶポイントを的確に伝える」ことをモットーにしているモノ派のライター。学生時代に工業デザインを学び、日本製家電の黄金期に郷愁を感じる世代。アウトドアを好み、道具にはこだわるほう。

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