梅雨の部屋干しを快適にする「衣類乾燥除湿機」。除湿機には「デシカント方式」と「コンプレッサー方式」、そしてこの2つの方式を組み合わせた「ハイブリット方式」の3つがあります。それぞれにメリット・デメリットがあります。三菱の最新衣類乾燥除湿機「MJ-PV250SX」は、コンプレッサー方式ですが、短時間で効率良く乾かせるシステムが搭載されています。
梅雨の部屋干しを快適にする家電
都会では部屋干しが当たり前の令和の御代。海外の場合ですと乾燥機を使って、「はい、終わり」と言う感じですが、そこは「もったいない」の日本。洗濯物はなるべく自然乾燥でと考える人が多いのは事実です。その代わりと言ってはなんですが、水洗いが中心の日本では、乾きが遅い場合はニオイ菌が繁殖し、洗濯物がニオイます。そんな時、日本人はどうしても家電に頼ってしまいます。
こうして出てきたのが「衣類乾燥除湿機」です。除湿機と送風機のハイブリッド家電です。今回は、三菱電機の衣類乾燥除湿機MJ-PV250SXをレポートします。
除湿機には3種類ある
除湿機は、「デシカント方式」と「コンプレッサー方式」、そしてこの2つの方式を組み合わせた「ハイブリット方式」の3つがあります。
「デシカント方式」というのは、除湿剤に湿気を吸収させる方法です。当然湿度を吸うに連れ、除湿剤の能力は落ちます。そんな時、除湿機は除湿剤を熱し、除湿剤から水分を追い出します。その水を溜めて除去するのです。
一方、「コンプレッサー方式」はエアコンと同じ原理です。気体は圧縮すると熱を出し、膨張するとき熱を奪う性質があります。熱を奪うということは、気化している空気中の水分が水に変わるということです。その水を溜めて除去します。
「コンプレッサー方式」は夏場はいいのですが、冬は空気の温度自体が低いので、効率が落ちます。エアコンの除湿と同じです。逆に「デシカント方式」は夏でも、加熱しますので、除湿機が熱くなります。夏には嫌な状態です。
このため、その両方の良いところを取ったのが「ハイブリット方式」。確かに、効率を落とさずに済むのですが、2つのシステムを内蔵しているので、その分高価になります。このように除湿機に完全な方法ということを、お分かりいただければ、と思います。
三菱電機の衣類乾燥除湿機「MJ-PV250SX」が採用しているのは、コンプレッサー方式。これは洗濯物を乾かす場所は、そんなに温度が低くないことを考慮したためだと思います。ハイブリッド型だと、高くなってしまいますので。
構造的な問題
しかし、2つの家電を合わせたような衣類乾燥除湿機には、問題が発生する時もあります。一番は「風」を思ったところに当てられるかという問題です。衣類乾燥除湿機は、一番重くなる水タンクを一番下に配置します。タンクの上に、除湿部分、その上に送風部分を載せます。つまり、構造的に風を出す部分の位置が高いのです。
洗濯物の中の水は上から下へ移動します。洗濯物は、上から下へと乾いていきます。そのため、洗濯物の下側をいかに速く乾かすのかがポイントになります。重要なのは「風」です。下部に除湿部分があるため、風は上部からでます。そのため洗濯物の下部に風を送るのは工夫が必要なのですが、それをしないモデルが多いのです。確かに、低湿度化、上の方への風送りだけでも、通常よりは早く乾くのですが、あまりいいモデルとは言えません。ユーザーのことを考えるときっちり対応する必要があります。
三菱電機 衣類乾燥除湿機「サラリ」MJ-PV250SX
三菱は、今、なんでも製品化するメーカーから、十分吟味したモデルを出すメーカーへの変わりつつあります。また、その分、モデル数を減らさなければなりませんので、高級モデルにシフトして行っています。しかし、厳選されたモデルが揃っているとも言えます。
そんな中、上市されたモデルが、衣類乾燥除湿機「サラリ」MJ-PV250SXです。
サイズは、日本製の空気清浄機とほぼ同じ。ですが、13.5kgと実に重い。これは水を扱う家電の特徴でもあります。タンクに水が入っていない状態でも、安定していなければならないためです。このため底には車輪が付いています。が、自在ではなく横スライドのみですから、ちょっと使い勝手が悪いです。
部屋干し衣類の前に持ってきて、スイッチを入れると、モノアイ(ムーブアイ)が緑に光ります。上下左右に動きながら、洗濯物がある範囲をサーチします。実にかっこいい。ファースト・ガンダムの冒頭、モノアイを動かしながら出てくるジオン軍のザクを彷彿とさせます。かっこいい!正確には、ムーブアイは赤外線センサーなので、この光は、ムーブアイの下にある「光ガイド」によるものですが…。
言い遅れましたが、ムーブアイは三菱がエアコンに搭載している技術です。赤外線で人の位置を把握し、風を適切に送風するために生まれました。今ではかなり進化して、いろいろなことに使われています。その技術を搭載したのが、衣類乾燥除湿機「サラリ」MJ-PV250SX。今回は洗濯物が干してあるエリアのチェックです。
そして、ムーブアイが読み込んだデータを元に、「3次元広角狙えルーバー」が大活躍します。可動角度は上下方向160°、そして左右方向は100°。すごーーく広範囲です。
風は、やや温かい。クーラーをかけているとちょっとドッキリします。自動時の動作音は「シャー」という音で、少々大きいのですが、そんなに耳障りではありません。確実に洗濯物は乾いていきます。
三菱は、短時間で効率の良い、そして状況の変化に対応できるシステムを作ったわけです。
除湿機単機能ではどうか?
除湿機をして使う場合は、「部屋サラリ」モードが自動になります。こちらも、短期決戦型なので、やはり風はそれなりの暖かさとそれなりの動作音がします。単純に除湿機として使う場合も、付けっぱなしではなく、集中的に使う感じです。
湿度は40~60%の範囲にあれば良しとされています。60%を超えるとカビなどが発生しやすくなりますし、40%を切ると、インフルエンザウイルスなどの活動が活発化します。そして、この間には割と短時間で達することができます。最も水源となる人間がいるとまた上昇するのですが・・・。
湿度は、自分で確認しながら対応するのがいいと思います。また、換気で入れ替える空気の状態によっても、湿度は変わってきます。実は、加湿、除湿機はかなり使いこなしにくい家電なのです。このため、局地的に、例えば部屋干しで湿度が上がってしまう時に除湿機を、部屋全体を長時間サポートするときは、エアコンという使い分けがベターです。
ムーブアイを持ったMJ-PV250SXは、そんな局地戦の名手。上手に使えばとっても便利な家電と言えます。
室内干しサポート家電を上手に活用しよう
その他の部屋干しサポート家電というと、おすすめはサーキュレーター、もしくは扇風機です。ポイントは、洗濯物の下まできちんと風を当てられること。そして、幅全部に風を当てることがポイントです。要するに「首振り機能」はマスト条件というわけです。先日、ご紹介したアイリスオーヤマのサーキュレーター扇風機などがそれに当たりますし、お手持ちの扇風機でも、多少不備な点あったとしても、サポートしてくれます。
室内干しが乾きにくい梅雨時ですが、家電を使ったサポートで乗り切りましょう!
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。