コロナ禍で換気のために365日扇風機を出しっぱなしにしてる人も多いのではないでしょうか?空気清浄機も365日出ているわけで、これも床置き。気密性の高い現代の住宅ではサーキュレーターも必要。このまま行くと空調家電で家が覆われてしまいそうです。扇風機とサーキュレーターは同じだと思われる方も多いでしょうが、目的が違うため「風」に違いがあります。今回は扇風機とサーキュレーターの機能を備えた微風モード付きのサーキュレーターをご紹介します。
コロナ禍で重要な役割を担う扇風機とサーキュレーター
五月から梅雨、初夏にかけて活躍する扇風機。当然、涼しくなるためにも使いますが、特に換気が叫ばれるコロナ禍においては大活躍でしょう。風で室内の空気を追い出すと、ものの2〜3分位で、空気の入れ替えが可能です。(CO2計測器を使った筆者実験結果による)。これって、通常の窓開け換気の1/2以下どころの騒ぎでないですよね。
また、都会では室内干しが当たり前。乾きが遅いとニオイ菌が繁殖してしまい、洗濯物が臭うこともあります。そうなると、昔は季節家電と呼ばれていた「扇風機」ですが、365日出しっぱなしになってきます。出しっぱなしにしておくのは、広い家ならともかく、都内ではきついのではないでしょうか?コロナ禍の今、空気清浄機も365日出ているわけで、これも床置き。このまま行くと空調家電で家が覆われてしまいそうです。
それなりの強さの風を出せる家電は、2つあります。1つは「扇風機」。もう1つは「サーキュレーター」です。狭い部屋を想定した場合、小さいサーキュレーターの方が便利です。そこで、今回は扇風機としても使えるサーキュレーターをレポートします。
扇風機の風とサーキュレーターの風の違い
扇風機は人への涼、サーキュレーターは室内の空気の撹拌が目的
送風機に「扇風機」と「サーキュレーター」の2種類があるのは、目的が異なるからです。
扇風機の目的は、人を涼しくすること。このため、なるべく広く、体全体に、やんわりと当たる風を作ります。到達距離は遠くなくてもいい、必要に応じて近距離で使えばいいという感じです。このため風源は、人の肩の高さ、そこで大きなファンをゆっくり回転させます。これが扇風機です。
それに対し、サーキュレーターは、室内の空気を撹拌するのが目的です。スポットを定め、そこに風を当て、そして四方八方に空気を押し出したり、速い風で周りの空気を巻き込んで気流を作り出したりします。このためサーキュレーターの風は、拡散せず、直進します。自然にはない人工的な風と言えます。
日本家屋は風の流れを考慮して作られていたため、サーキュレーターは不要でした。しかし、エアコンの普及で考え方が一変。密閉度が高く、風通しの悪い家が当たり前になりました。こうなるとサーキュレーターはないとダメでしょう。そうでないと換気も悪いです。
しかし、日本人にはまだ馴染みのない家電であることも本当です。欧米ではないのが考えられないほど、ポピュラーな家電なのですが…。
サーキュレーターは扇風機の代用となるか
サーキュレーターで人に優しい風を作るには
バルミューダが、The GreenFanを出して以降、日本の扇風機は変わりました。明確に「微風」を狙うようになりました。微風、ふんわりした風を作り出すのに必要なのは、より正確にコントロールできる直流モーターと、拡散性を重視した多枚数の大きな羽です。
一方、サーキュレーターはパワーを重視したモーターと枚数が少ない羽数の小径ファンで対応します。整合性が取れないようにも感じますが、羽もしくはモーターを扇風機に寄せるとどうでしょうか。完全ではありませんが、弱い風を作ることはできます。拡散性は、首振りでサポートします。疑似ですが、考えてみると、ずっと風を浴び続けるわけではないので、使い方によってはありです。
逆に、ハイブリットのサーキュレーターとして譲れないところはどこでしょうか?それは「高さ」です。サーキュレーターが活躍する場に、室内干しの洗濯物を素早く乾かすと言うものがあります。風があると乾きがいいのは皆さんもご存知のことと思います。外の場合、部分的に風が当たると言うことはありませんので、外だと全体が乾きます。
しかし、それをもう少し詳しく見るとどうでしょうか?洗濯物は上から下へ乾いていきます。と言うのは、水は重さがあります。吊り下げた洗濯物の中で、水分は上から下へどんどん移動するのです。このため、風で洗濯物を乾かすなら、下から上への風がベストといえます。
これは一例ですが、どこにでも風を送るためのサーキュレーターは「点」である必要があるのです。また、高さがないということは、棚、棚上にも置くことが出来るということです。このことから、サーキュレーターは、便利に365日使える家電に必要な特徴を持っているといえます。
アイリスオーヤマコンパクトサーキュレーター扇風機KSF-DC151TC-W
上述した扇風機とサーキュレーターの機能を併せ持つ製品として、アイリスオーヤマの2021年モデルからKSF-DC151TC-Wをセレクトしました。
最大の特徴は、高くできる「繋ぎポール」を持っていることです。そして、そのポール使わない時は、台座に立てておくことができます。基本はサーキュレーターですが、扇風機の高さを持たせることができます。
モーターはDCですが、羽は3枚。風量は10段階調整ができ、下 1、2が微風レベルです。ただ3枚羽ですから拡散はしません。それをサポートするのが、大きな電動首振り。上:90° & 下15°、左右は、60°、90°、120°から選択できます。
近いと少しモーター音がしますが、数m離せば、気にならなくなります。しかし一番の魅力は、このような高機能に関わらず、デザインがコロンとしていて、とても可愛らしいのです。部屋の小さな頑張り屋さんと言う感じです。
これに、音声操作を付け加えたモデルもあります。(サーキュレーター扇風機 音声操作 ~24畳 KSF-DCV151T ホワイト)ただウェイクアップ・ワードは、「おい、せんぷうき」と、なんか言いにくいのですが・・・。これは「OK、グーグル」とかと同じ。スマート家電の課題です。
電源:AC100V、50/60Hz 消費電力:25W 適用床面積:24畳
風力切替/連続モード:10段階、リズムモード:3段階 送風モード:連続・リズム・強制撹拌
首振り:上下、左右(60°・90°・120°) タイマー:入/切
電源コード長さ:約1.7m
バルミューダポータブルサーキュレーターGreenFan C2
名前でもわかるように、バルミューダの名前を一気にメジャーにした扇風機「GreenFan」のテクノロジーが注がれています。
微風にこだわりを持つバルミューダーだけに当然の選択。そうでないとサイクロンシステムを持たないダイソン掃除機のようなものです。むしろ心配なのは、扇風機ではなく、「サーキュレーターの機能はしっかりしているのか」ということです。実機テストをしてみましたが杞憂でした。扇風機ほどではないものの、そよそよとした風が、体に当たります。そして、20m先で風を感じることもできました。サーキュレーターとしても十分使えるのです。
また脱臭フィルターを持っています。空気中にあるだろう人間の害となる「揮発性有機化合物」をトラップします。かなりの高性能。で、バルミューダですから、デザインもいいです。ただ残念なのは、自動首振り機能はありません。
最後に
エアコンが当たり前の、密閉度の高い日本の建物では、今後は扇風機ではなくサーキュレーターが活躍していくと思います。換気を確実に短時間で済ませられる、エアコンの効率をあげることができる、室内干しを短時間で済ませられるなど、使いこなせば、これほど便利な家電も珍しいです。それに扇風機として使えるなら、より有用性が高いです。注目の家電です。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。