【カセットテープの人気復活】音楽ソフトとして海外で注目!特選街の著者4人が語る「カセットの思い出」

家電・AV

レコードに続き、カセットテープが復活!特にミュージックカセットの売り上げの伸びはすごい勢いだ。ここでは、月刊誌「特選街」の著者4名が語る「カセットの思い出」を紹介する。

演歌だけじゃない!カセットでも新譜が続々登場している!

ミュージックカセットが各国で改めて注目される

聴くだけでなく、気軽に録音できるメディアとしても親しまれてきたカセットテープ。もちろんその用途でも変わらず現役だが、音楽ソフトとして、各国でまた大いに注目されている。昔から使っている世代だけでなく、カセットテープに初めて触れる若年層にも、新鮮なメディアとして受け入れられているのだ。

音楽がカセットテープに収められて販売されているミュージックカセット。海外ではその市場が非常に伸びている。イギリスでは、2020年のミュージックカセットの売り上げが前年比で約2倍だし、ここ数年、ほぼ倍々に近い勢いで伸長しているという。レコード同様、すごい勢いなのだ。

▶︎カセットで思い出がよみがえる

昔のカセットが捨てられない、という人も多いはず。今聴けば、新たな発見があるかも。

現役トップアーティストもカセットで新作発表

販売数が増えているのは、もちろんそれだけの作品がミュージックカセットとして発売されているからだ。海外では配信やCDと同様にカセットでも新作を発売するアーティストが増え、現代の歌姫、アリアナ・グランデの新作もある。日本のカセットテープといえば演歌という時代が長かったが、最近はインディーズレーベルを中心に新作のカセットが増えている。また「はっぴいえんど」の名盤がカセットで再発されるなど、バラエティ豊かになってきた。

カセットテープを聴くための再生機器や、録音するためのブランクテープは、全盛期に比べれば種類は減ったが、まだ新品で販売されている。古いテープをまだ持っているなら、デッキを買い直して今聴くのもおもしろい。まだまだアナログ回帰は続きそうだ。

▶︎新品のラジカセも入手可能!

各社からラジカセタイプを中心に発売中。写真の東芝「TY-CDW990」はカラオケ機能充実のダブルデッキ。

東芝
TY-CDW990

■解説/大坪知樹 (フリーライター)

カセットの思い出。「マイ・フェイバリットソング集」を編んだ日々。そこで、小誌のオーディオ関連の著者4人に、カセットテープの思い出を語ってもらった。

音楽CDからのダビングによく使っていた。A/B面にムダなく割り振ったのが懐かしい

解説/大坪知樹 (フリーライター)
アナログレコードは、音も、ジャケットの存在感も好き。
「最近はジャケ買いが楽しい!」

初めて触れた音楽メディアは、家族ドライブ中に車の中で聴くカセットテープだったと思う。まだ物心つく前なので、自分でミュージックカセットを買うというよりは、父が車に積んでいたカセットを選ぶ程度。大好きな祖父宅へ行くときは、石原裕次郎の曲をかけていた記憶がある。

自分で熱心にカセットを使うようになったのは、音楽を本格的に聴き始めた中学時代。市販ソフトはもうCDで買うようになっており、ミュージックカセットではなく、生テープを買ってCDからダビングしていた。CDプレーヤーが居間にしかなく、自室にはラジカセのみだったから、CDで持っているものを自室で聴くためにダビングした時期もあった。

もちろん聴きたいCD全部を買えるわけではなく、友達と貸し借りしたり、レンタルビデオ店のCDコーナーから選んだりした。アルバム全曲をA/B面にムダなく割り振れるよう、カセットの尺(分数)選びに悩んだのが懐かしい。もちろんラジオもFMを中心に日々楽しんでいたが、リアルタイム聴取ばかりで、エアチェック(録音)の記憶はあまりない。オンエア曲を必死でメモして、レンタル店で探していた気がする。

テープのブランドは、友達に影響されてマクセルのハイポジション、UDIIやXLIIをよく使っていたが、据え置きの3ヘッドのデッキを手に入れ、近所にソニーのショップが開店したこともあり、テープもソニーでそろえるようになった。音質の違いを聴き比べたというより、カセットハーフのデザインに惹かれたのだろう。カセットレーベルもなるべく機械的にまとめるため、手書きを避けてインスタントレタリングを使ったり、ワープロの差し込み印刷で苦労したりした記憶がある。

▶︎残っているのは未開封品のみ

ソニーショップが閉店するとき、セール品を買ったもの。当時としても値段が安い。

このように中学・高校を通してそれなりに増えたカセットライブラリーだが、実家を出るときに持ち出したのはCDのみで、カセットはデッキごとそのまま置いていくことに。しばらくそのままだったが、そのあと、部屋を整理するときにカセットは処分してしまい、今となっては「もったいないことをしたな」と、ときどき思い出して後悔している。

▶︎憧れの据え置きデッキを入手!

高校生には贅沢すぎるソニー据え置き型カセットデッキ、TC-K333ESG。マランツのアンプ、PM-80などと組み合わせていた。

ティアックやナカミチのデッキを使い、朝から晩までエアチェックにいそしむ

解説/麻倉怜士(デジタル・メディア評論家)
初めて聴いたEPでクラシックのとりこになり、今日に至る。
「ステレオへの驚きが評論の原点!」

1970年代の10年間は、私の「カセット時代」だった。もともとFMエアチェックが大好きで、まずは1970年初めにティアックのオープンリールデッキで毎日エアチェック。次に、ティアック「A-20」という伝説的なカセットデッキを買い、カセットの魅力にハマった。何といっても手軽なのと、初期の製品は低音質だったのが、みるみる高音質になったのだ。1972年のティアック「A-450」では、人間の検知限界を越えるワウフラッター0.07%を実現し、飛躍的に音がよくなった。

最も熱狂的に使ったのが、ナカミチ製品だ。そもそもフィリップスがメモ録用のメディアとして開発したカセットを、オーディオメディアとして育んだのが日本メーカーであり、その最先端がナカミチ。ワイドレンジで、力感があり、カラフルな音だった。最初に買ったナカミチ製品が1978年のNakamichi600II。でもすぐに3ヘッドが欲しくなり、スタイリッシュなNakamichi700II、高性能の680ZXをゲット。

当時、私は雑誌「プレジデント」の記者をしており、高収益の輸出企業だったナカミチ研究所を取材し、そのこだわりに触れ、ますますとりこになった。そのころは、朝から晩までタイマーを使ったエアチェックに没頭。愛読雑誌は「FMファン」(共同通信社)だった。堅い雑誌の編集部にいて、ほかの編集部員は「文藝春秋」などを愛読しているのに、私は「FMファン」一筋。

エアチェック音源はライブもの。レコード音源はレコードを聴けばいい。そのとき限りの演奏を録音し、永遠にコレクションすることこそ、ライフワークであった。カラヤン/ベルリン・フィルから竹内まりや、杏里まで、カセットにしたライブは数知れず。エアチェックとは、その時代に生きた証しをタイムカプセルのように積み重ねていく作業。テープの1本1本にその時代の私が記憶されている。かつて録ったテープを再生するということは、タイムカプセルを開け、その時代の風を今によみがえらせることだ。

今聴いてみると、最近のデジタルやハイレゾにはない、ピュア・アナログの音の香りが、何とも陶酔的なのである。

▶︎カセットテープにFM放送を録音

ミュージックカセットも購入したが、とにかく毎日のようにエアチェックにいそしんだ。

オープンリールのテープデッキを使うこともあったが、ラジカセとウォークマンもよく使った

解説/藤原陽祐 (AV評論家)
オーディオ歴は40年を超える。中古レコード探しも楽しい。
「今も色あせないアナログの音が最高」

レコードが高価で、なかなか購入できなかった学生のころ、頼みの綱はやはりFMラジオのエアチェックだ。FM誌の番組表とにらめっこしながら、お目当てのアーティスト/楽曲を探し出しては、赤ペンで印をつけて、タイマー予約・録音を行う。時にはリアルタイムで待ちかまえ、カセットデッキのRECボタンを押し込んだこともあった。

私の場合、在学中に大学が移転し、そこから一人暮らしが始まったが、自宅にいるころは兄が所有するオープンリール型のデッキを日常的に使っていた。確かティアック製だったと思うが、カセットに比べるとその音のよさは圧倒的で、時にはオンエアよりも生々しい音が再現できることさえあり、エアチェックに熱が入った。

当然ながら、録音用のテープ代はかなり高価で、すべての録音をオープンリールでというわけにはいかない。それでも、竹内まりやとリンダ・ロンシュタット、この二人については、必ずといっていいほど、TDKのテープを奮発していた。ところが、自宅を離れてからその所在は不明。実家はまだ残っているので、いずれ探し出してみたいと思ってはいるのだが……。

一人暮らしになってからは、ラジカセとウォークマンにどっぷりとつかり、屋内、屋外を問わず、カセットサウンドを満喫した。当時愛聴したのが、今年、発売40周年となる大瀧詠一の名アルバム「A LONG VACATION」。今でもときどき、レコードで再生してみるが、その曲のセンスのよさは抜群で、古さなどみじんもない。大瀧詠一、すごすぎる。

▶︎ウォークマンを愛用していた

ソニー・ウォークマン、初代機「TPS-L2」
全世界で売れた携帯型カセット再生機だ。

自分だけの音源を求めてハントする生録を実践。F1レースの録音にも挑んだ!

私は、メーカーのテープレコーダー部門にいたこともあり、カセットには格別思い入れが強い。当時夢中になったのが、生録(生録音)とFMエアチェック、それにLPレコードからのダビングだ。中でも自分だけの音源を求めて音をハントする生録のスリリングさ。カセット式デンスケ(生録用機器)とマイク持参だが、野鳥やSLに飽き足らず、無謀にも富士スピードウエイでF1の生録に挑んだこともある。その強烈な音圧と時速300キロ超のスピード感は生涯忘れない。メーターがピタッとマックスに貼り付き、壊れたかと思ったほどだ。

でも、生録はやはり音楽だろう。ギターやバンドなど、アマチュア仲間の発表会では録音係を担当。これもボリューム加減が肝で、我ながら気持ちのいい空気感に感激した。また、運よくベートーヴェンの交響曲「第九」のオーケストラ録音が許可されたのは夢のようだった。私の中での最優秀録音だ。

生録で使ったカセットテープは、TDKのSAや富士フイルムのAXIAが多かった。オープンリールのほうのテープはBASFやマクセルを使っていて、メーカーによる音の違いも楽しく感じられた。

FMエアチェックは、クラシックやジャズ、ロックの来日ライブものの録音に熱中した。そのときのカセットは今でも大事に保管してあり、ときどきソニーのカセットデッキで再生して楽しんでいる。レコードからのダビングでは、レベッカのNOKKOのパワフルなボーカル、井上陽水などのフォークにハマった。カセットは永遠のお宝である。

▶︎エアチェック&生録で大活躍!

カセットはFMのエアチェックのほか、生録で大いに活躍。下記の写真は録りためたカセットたち。

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