現在、多くの話題を集めているスマートフォンゲーム『ウマ娘(むすめ)プリティーダービー(以下「ウマ娘」)』。2月24日に公開されて以降、4ヶ月経たないうちに800万ダウンロードを超える大ヒットとなっています。特にセールス面の売上が著しく、Androidのアプリを販売するサイト「Google Play」では106日連続で1位(6月11日時点)になり、4月の売上は世界3位となるなど、様々な記録を達成しています。「ウマ娘」とは何なのか、ヒットの理由について考えてみたいと思います。

ウマ娘とは?

実は5年前から展開されている「ウマ娘」

「ウマ娘(むすめ)」は、「ウマ娘」と呼ばれる、ナリタブライアンやトウカイテイオー、オグリキャップやシンボリルドルフ、ゴールドシップなどなど、72体の名馬を擬人化した女の子達の活躍を描いた物語です。

▼ウマ娘たちのキャラクター一覧

この「ウマ娘」を育成するというコンセプトで制作され、2月24日に配信されたゲームが大ヒットとなり、現在様々なメディアでも取り上げられていますが、元々はゲーム発祥のコンテンツではなく、音楽CDや漫画、アニメなど様々な媒体で展開されている作品なのが特徴です。

音楽CDや漫画、アニメも展開

シリーズで最初期に展開されたのが漫画作品で、2016年5月にハルウララを描いた作品を皮切りに、4作品の漫画作品が存在しています。続いては、2016年11月から音楽CDが展開されており、「STARTING GATE」と呼ばれるキャラクターソングCDシリーズが2016年11月から販売されています。実は『ウマ娘』は、5年前から始まっている作品なのです。

アニメ化も2回されており、第1期が2018年4月から6月まで、第2期が2021年1月から3月にかけて放送されていました。

ウマ娘達を演じる声優達によるライブイベント展開もされており、2017年7月と2018年10月にライブが実施されています。そして、2021年8月28日と29日には、東京都江東区にある東京ガーデンシアターで3回目のライブイベント「WINNING DREAM STAGE」が開かれる予定です。

「ウマ娘」のゲーム内容

人気の理由は?

このように、ゲームが最後発に出てきて、一気に話題を集めているのが「ウマ娘」だとも言えます。とはいえ、ウマ娘のシリーズ展開は、一貫してゲームメーカーのCygames(サイゲームス)が主導しており、2月から配信されているゲームこそが「ウマ娘」の本丸であるとも言えます。そして実際に一気に知名度を獲得しており、この点ではCygamesの戦略通りと言えるでしょう。

なぜ、ゲームがここまでの人気を集めているのでしょうか。一つは、無料で1日中でも遊んでいられるゲーム性が一因ではないかと筆者は考えます。ゲームの「ウマ娘」では、プレイヤーはトレーナーになり、ウマ娘を名馬へと育てるゲームなのですが、このウマ娘を育成するのに時間がかかるのが特徴です。

ゲームでは、ウマ娘を育成するのが主な内容となるのですが、セリフやレースなどをスキップしても1人育成完了するのに約30分、スキップしないとなると2時間はかかります。さらに、同じウマ娘でも何周にもわたって育成することでさらに強くなるゲーム性となっており、ゲーム中の「デイリーミッション」としても、1日1回の育成がノルマとなっています。

画像: ゲーム【ウマ娘 プリティーダービー】PV 「ご紹介」篇 好評配信中.ver youtu.be

ゲーム【ウマ娘 プリティーダービー】PV 「ご紹介」篇 好評配信中.ver

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他のスマホゲームだと、無料だと限られた時間しか遊べないという設計をすることが少なくないのですが、「ウマ娘」の場合、遊べる時間に関しては、無料でも長時間遊べるのが特徴です。もちろん、課金する要素もゲーム内にはあるのですが、あくまで強いウマ娘を育成するために必要な素材を入手する点に重きを置いています。ここが、課金&非課金ユーザー双方にも愛されているゆえんと言えるでしょう。

ウマ娘が勝利するとライブを披露

また、育成内容もシンプルであり、「トレーニング」「お休み」「スキル」「保健室」「お出かけ」「レース」の6つの選択肢から1ターン(2週間に相当)に1回選ぶというものです。

「トレーニング」は、「スピード」「スタミナ」「パワー」「根性」「賢さ」の5項目から育成内容を選んでいくのですが、育成そのものは自動的に行われます。トレーニングはウマ娘の疲労度によって失敗してケガをする可能性があり、またランダムでイベントが発生するなど運要素もあるのが面白いところでもあり、周回要素が求められるところでもあります。

ウマ娘が主要なレースで勝利すると、「来てくれたファンへのお礼」ということで、ウマ娘達がライブを披露する、というのもゲーム内の見どころの一つになっています。コンテンツをゲーム内で完結させず、音楽展開など他の分野への動線作りができているのも特徴と言えます。

往年の名馬に会いに行くファンの姿も

名馬のファームは予約制

「ウマ娘」の影響は観光にも現れています。「ウマ娘」は、往年の名馬を擬人化したキャラクターで、ナリタブライアンシンボリルドルフなど、元ネタとなった名馬の多くは亡くなられています。一方で、中には競走馬を引退して余生を送っている名馬もいます。「ウマ娘」の影響で、こうした存命の名馬に早くも会いに行くファンの姿もあるようです。

現在はコロナ禍で、大々的な移動が難しいのが現状ですが、コロナが明ければ名馬に会いに行くファンの姿がもっと増えるかもしれません。ただし、こうした名馬がいるファームは動物園などと違って規模が大きくなく、大半が完全予約制となっているので注意が必要です。

ナイスネイチャの誕生日に…

また、「ウマ娘」にも登場する名馬「ナイスネイチャ」の33歳の誕生日に合わせて、レースを引退した競走馬を支援するNPO法人「引退馬協会」がクラウドファンディングで寄付金を募ったところ、目標額の200万円に対して18倍近くにもなる約3583万円が集まりました。

他にも、「ウマ娘」を契機に競馬を始めたとSNSで報告するファンも少なくなく、社会への影響がいい方向にも着実に現れ始めています。ちなみに、ウマ娘の展開開始からゲームのリリースまで5年かかっていますが、この原因の一つに、馬主への説得が挙げられています。もし、ゲームによってWin-Winの関係性を示せて、理解が広まるようになれば、これからも新たな「ウマ娘」が増え続けていくことでしょう。筆者もそうなればいいなと思っている一人です。

執筆者のプロフィール

画像: 執筆者のプロフィール

文◆河嶌太郎(かわしま・たろう)
1984年生まれ。千葉県市川市出身。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。「聖地巡礼」と呼ばれる、アニメなどメディアコンテンツを用いた地域振興事例の研究に携わる。Yahoo!ニュース個人では「河嶌太郎のエンタメ時報」を執筆、オーサーコメンテーターとしても活躍中。共著に「コンテンツツーリズム研究」(福村出版)など。コンテンツビジネスから地域振興、アニメ・ゲームなどのポップカルチャー、家電、ガジェット、IT、鉄道など幅広いテーマを扱う。
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