最近の掃除機は、排気による二次汚染対策のフィルターが取り付けられています。もしこれが機能通り動作しているなら、密閉された部屋でも掃除機をかけても問題ないはず。ロボット掃除機は基本的に留守中に稼働させてることが多いはずですが、窓を開けっ放しで外出することはできませんよね。今回は、排気による空気の汚れがどのくらいなのか閉め切った部屋で検証してみました。
掃除中の窓開け換気は必要か?
排気による二次汚染を抑制できているのか検証
最近の掃除機は、排気による二次汚染(一度吸い込んだアレルゲン物質が掃除機の排気と共に出ること)対策のフィルターが取り付けられているモノが多いです。このフィルター多くのモノが「HEPA並」をうたっています。もし機能通り動作しているなら、雑巾と同じように密閉された部屋でも優雅に掃除機をかけることができるわけです。
しかし、締め切った留守宅で当たり前に使われるロボット掃除機にもし二次汚染が発生していたとしても気づかないはずです。掃除直後に同じ室内に居るわけではないのですから…。そこで、真夏に窓を閉め切ったまま掃除をしていいか検証してみます。
ロボット掃除機で検証
「ルンバ i3」の場合
ロボット掃除機の代表として「ルンバ i3」で検証しました。
「ルンバ i3」の単体価格は69,800円(税込)、1ヶ月以上何もしないでも部屋を掃除してくれるクリーンベース付き「ルンバ i3+」の場合で、99,800円(税込)と、価格を意識したエコノミーモデルです。このため「i7」「i9」の様にマップを記憶する機能はありませんが、掃除の実力は折り紙付き。3ヶ月近く使った私が言うのですから間違いはありません。
【無駄のない効率的な動き】無駄なく効率的に床を清掃。バッテリー残量が少なくなると、自動でホームベースに戻り充電します。充電後は中断したところから再開し、掃除を最後までやり遂げます。
【ゴミが溜まりやすい場所を感知し、障害物を回避】リアクティブセンサーテクノロジーで清掃中の立ち往生を防ぎます。ダートディテクトテクノロジーにより、掃除が特に必要なエリアを集中的に清掃します。
【あなたのライフスタイルを学習。あなたの声に反応します。】iRobot Geniusを搭載したルンバ i3 はあなたの清掃習慣を学習…
フィルターの名前は「ダストカットフィルター」。カビ、花粉、ダニなどを99%捕捉するとあります。カビ、花粉、ダニと並べられておりますが、実は、この3つはサイズがかなり違います。一番小さいのは、カビの胞子で1μm(1000nm)ほどのものもあります。よく呼吸器系で問題にされるPM2.5が、2.5μm以下のダストですから、カビが表記の中に入っていれば、まぁまぁと言う状態と言えます。
測定は、ブルーエア社の空気質測定機を使用しました。40以下はキレイ、40〜100をふつうとしています。このとき、部屋には空気清浄機を回していました。
結果は次の通りです。
ルンバ使用中、PM2.5は24〜64と倍くらいまで上がる瞬間がありますが、掃除終了後かなりのスピードで清浄できるレベルだとわかります。少なくとも、汚れたと言うレベルの排気はありません。
掃除機は床近くの空気を吸い込むことで新しい気流が生まれ、床近くのPM2.5を巻き上げた結果ではないでしょうか?もし排気から出ているなら、右肩上がりで増え続けると思います。
スティック型掃除機で検証
Dyson V12 detect slimの場合
ダイソンは、排気がキレイなことを訴え続けているメーカーです。最新の Dyson V12 detect slimは特に力が入っています。
充電時間:約3.5時間
寸法:[本体]W34.2×H23.4×D12.1cm、[スティック時]W23.4×H109.5×D25.0cm
質量:[本体]1.5kg、[ダイレクトドライブクリーナーヘッド装着時]2.2kg
付属品:収納用ブラケット、隙間ノズル、コンビネーションノズル、ツールクリップ、毛絡み防止スクリューツール、専用充電ドック
プレモーターフィルター(Technostat フィルター)が静電気を帯びるので、大きなダストはもちろん、かなり細かなダストも引き寄せることができます。さらに1.6mのePTFE繊維を112回織り込んだ多孔質膜フィルターで0.3μmもの微細な粒子を捕らえ、部屋の空気よりもキレイな空気を排出します。
こちらも同じように計測しました。ただ測定日の関係で、今回は空気清浄機は使っていません。
こちらの方は、ほぼ平坦で変化なし。ほぼ看板通りの実力と言えます。
結果
ニューノーマルな掃除とは
最近の掃除機 2つの実力からいうと、部屋を閉め切って掃除しても、全く問題ないことがわかりました。最新の掃除機のほとんどは窓開け換気をしながら掃除機を使うことはないといえます。
私の経験から言うと、調理が一番空気を汚します。電気を使うならまだしも、ガスの場合は、常に完全燃焼ではありませんの、COなども出ますし、調理時には油飛沫も飛びますし、料理の香り成分は、揮発有機化合物です。そして換気扇を使っても、全部は外に追い出すことができません。ちなみにPM2.5の値は200〜500。「とても汚れている」をマークします。こうなると窓開け換気か、空気清浄機が欲しいところです。
窓開け換気の場合、ただ窓を開けるだけでなく、窓際に扇風機などを置いて使うとCO2の濃度は、単なる窓あけの1/3以下の時間で正常になります。
今まで通りではなく、今の状況にあった使い方をする。大上段で語られる時が多い「ニューノーマル」と言う言葉ですが、ニューノーマルな掃除とは窓を開けなくても良いといえるでしょう。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。