パナソニックが12月に発売する電動アシスト自転車「ビビ・SL」は19.9kg。これまでの最軽量モデル「ビビ・L・20」が、21.7kgなので、「1.8kg」減となります。これは約10%の軽量化、それを1年で成し終えたことは本当にすごいこと。今回は、この最軽量電動アシスト自転車「ビビ・SL」をレポートします。

パナソニックの電動アシスト自転車「ビビ・SL」をレポート

メーカーが乗り物の軽量化に挑む理由

乗り物好きなら、その乗り物の自重が、どれほど運動性能を左右するのかは、聞いたことがあると思います。単純に、軽いと運動性能は飛躍的に上がります。レース用と言われる競技マシンを想像するとわかりやすいですね。車ならF1、バイクならMOTO GP、自転車ならツールもしくは競輪用のピスト車などが典型例となります。とにかく軽い。フランスを一周して速さを競うツール・ド・フランスの優勝車 6kg台。ツールが始まった1900年代初頭の優勝車両は20kgもあったといいますから、約1/4の軽量化です。

乗り物を自在に動かすためには、軽量化は重要なポイントになります。

これは大量の荷物を運ぶ、実用自転車でも同じです。軽い方がいい。ところが軽くするために細身のタイヤをつけるとパンクが増えたなど、かえって使いにくくなったりもします。要するに、軽量化は一点突破ではできないのです。全体のバランスを整えながら、このパーツで1g、このパーツは5gというように、粘り強く軽量化することで初めて達成できます。

2021年に発表されたパナソニックの電動アシスト自転車「ビビ・SL」は19.9kg。2020年の最軽量モデル「ビビ・L・20」が、21.7kgなので、「1.8kg」減となります。これは約10%の軽量化、それを1年で成し終えたことは本当にすごいこと。今回は、この最軽量電動アシスト自転車「ビビ・SL」をレポートします。

画像: ビビ・SL(パールピーコック) cycle.panasonic.com

ビビ・SL(パールピーコック)

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どこを「軽量化」したか?

軽薄短小が、お家芸だった日本

その昔、家電に「軽薄短小」を盛り込み、モバイル化するのは日本のお家芸でした。特に得意としたのはソニーですね。何処でも音楽を楽しめるようにした「ウォークマン」。そして、何処でも動画撮影できるようにした「パスポートサイズの8mmムービー」は、もはや伝説と言ってもいいでしょう。

軽薄短小を達成するためには、使われている技術の見直し、そして設計の見直し、そして生産設備の見直しをしなければなりません。それをやってのけた日本のエレクトロニクスが、世界最高と言われた時期でもありました。

それは、今、白物家電、バッテリーを使う白物家電に引き継がれています。例えば、日本でも売れているダイソンですが、最軽量モデルは1.5kg。しかし、1.2kgという驚異的なモデルを日本の複数のメーカーが出しています。軽薄短小をコンセプトに盛り込まれると血が騒ぐのでしょうか。まだまだ捨てたものではありません。

バッテリーは軽くするのが難しい

最初に、自転車はバランスを取りながらでないと軽量化できないと書きましたが、電動アシスト自転車の場合は、ちょっとニュアンスが異なります。すごく重いパーツが2つあるからです。モーターとバッテリーですね。

バッテリーの軽量化は、使用素材によるところが非常に大きい。現時点で実用化されている蓄電池は大きく4種類に分けられます。「鉛電池」「ニッケル水素電池」「リチウムイオン電池」「NAS電池(ナトリウムイオン電池)」。

パナソニックの電動アシスト自転車が使っているのは、リチウムイオン電池。しかし、これを軽くするのは、かなり大変です。重さが半分で、他のスペックが同じモノが発明されたらえらいことです。全世界が頭を下げて技術を買いに来るでしょうね。その位、難易度が高い。

英ダイソン社は電気自動車を作りたくて、バッテリーメーカーを買収したことがあります。電気自動車の計画は中止されたため、開発したバッテリーはスティック型掃除機に使われることになりました。クルマ用というとすごいと思われると思いますが、それによる性能アップはほとんどありませんでした。基礎発明に近いものですから、なかなかブレイクスルーが起きないのです。

2.8kgの「カルパワー ドライブユニット」

そしてバッテリーの次に重いのは「モーター」。パナソニックは、ここに開発リソースを集中します。そうして出来たのが新型ドライブユニット「カルパワー ドライブユニット」です。

画像: cycle.panasonic.com
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このようなドライブユニットは、大きく「パーツ」と「回路」から成り立ちます。「パーツ」の方が、アナログ技術の集大成です。先に書きました通り、一つだけ軽量化すると、多くの場合強度が足らなくなります。全パーツの役目を見直し、できる限り、少ないパーツで組めるように設計していきます。面白いのは、中には重くなるパーツもあることです。トータルの実用度を維持しながら、トータルの重さが軽くなれば言い訳ですから、そんなこともあります。何度も何度も、設計、実験、評価を繰り返しながら開発を進めます。

そしてもう一つ、それらを制御する基板(回路)の設計も進められます。ポイントは、アナログ回路を徹底的に少なくすること。アナログだとそれなりの重さになります。「1gでも軽く」ですから、重要です。

この「パーツ」と「回路」が上手く組み合わさり出来たのが「カルパワー ドライブユニット」。それでも2.8kg。海外のスティック型掃除機くらいの重さが有ります。

これで最軽量ですから、今までは人力だと扱いにくい重さであることが分かります。電動アシスト自転車は、アシストがないとフラフラしますが、重さを考えると当たり前ですね。

アルミフレームを採用

さて、なかなかピンと来る方が少ないのではないかと思いますが、フレームはアルミです。速く走るためロードレーサーを組むとすぐわかるのですが、フレームは3種類あります。「クロモリ」「アルミ」「カーボン」。

クロモリは鉄に、クロムとモリブデンを少々加えたもので、軽く粘りがあります。それなりに軽く耐久性に優れますので、趣味で、長く乗りたい人にはぴったりです。が、これより軽いのが、アルミフレームですね。導入は自転車よりオートバイの方が早かったと思います。特に、日本のバイクがロードレースで連戦連勝し、レーサーレプリカが大流行りした時がありますが、スズキが 2サイクルの「Γ250」に採用した時、世のバイク小僧は、私も含めてびっくりしたものです。そのうちに、速いバイクでは当たり前になり、自転車も競技用で採用されました。

クロモリは強い力がかかった時、そのしなやかさで余分な力をコントロールしようとしますが、アルミはそんなことはありません。ちょっとドライな乗り味になります。カーボンの極端なドライさに比べるとまだしもと言う感じでしょうかね。

あとアルミフレームは加工がすごく面倒なのです。極端な言い方をしますと、クロモリの場合、円柱の鋼管を長さに切り、溶接すれば出来上がりです。しかし、アルミはそれでは十分な強度を出すことができません。このため断面が単なる円ではなく、楕円にしたり、一部に角を持たせてみたりします。このため、ちゃんとした品質管理ができる工場以外の製品はお勧めできません。一時海外製のママチャリの中には溶接強度が不十分で、使っているうちに溶接部が外れたという事故が発生したこともあります。

日本工場(柏原工場)をリニューアル

さて「ビビ・SL」は、日本で生産されます。パナソニックサイクルの本拠地、大阪の柏原です。そして、新しい「ビビ・SL」を生産する前に、リニューアルされています。

リニューアルのポイントは、「品質」「価格」「社会的責任」のためです。工場は、設備も含めた小改善はしょっちゅうです。ところがニューリアルベースのことはなかなかされません。それは、それだけお金が掛かるからです。逆に言うと「ビビ・SL」は、その採算性に寄与できるポテンシャルを持っていると言えます。

今回、紹介されたのは4箇所です。「自動溶接設備」「カルパワードライブユニット生産設備」「粉体塗装設備」「節水型被膜処理設備」です。

溶接はフレーム強度に深く関わります。「品質」と「安全」のためです。特にアルムフレームを採用しているパナソニックは、自由度も含めて検討されたと思います。そして、今回の目玉、「カルパワードライブユニット生産設備」。「カルパワードライブユニット」に自信があるのだと思いますが、それ以外に、同ユニットをどんどん拡大させていこうという意思も見てとれます。

そして残る2つは「塗装」。外観色です。

ViViはどんなに大上段に振りかざしても、「ママチャリ」の部類です。今回の「ビビ・SL」は「軽い」ため、「こぎ易い」「坂道でもラクラク」「押しやすい」など、色々なシーンでも便利なのですが、それと同じように、ユーザーの「お気に入り」になって欲しいことが挙げられます。形はカスタマイズできませんので、ここで大きな意味を持つのが「色」。

ここでパナソニックは、環境に優しいとされる「粉体塗装」をセレクトしました。

粉体塗装というのは、有機溶剤や水などの溶媒を用いず、顔料や樹脂、添加剤などを細かい粉体に砕き、100%粉末の塗料だけを使用する塗装です。粉末状の塗料を被塗物に静電気を利用して付着させます。その塗料を高温で焼付乾燥を行い、耐久性を持たせます。ミソは有機溶剤を使わないことです。一気に環境負荷が下がります。ただ、色によっては、有機溶剤系でないと出せない色もあり、双方とも使うが、粉体塗装をメインにしていくそうです。

まとめ

電動アシスト自転車の課題は?

電動アシスト自転車。一度使うと、もう元には戻れません。このコロナ禍、電動アシスト自転車は、狭い乗り物を使わずに済む、密でない乗り物として大いに売りを伸ばしているそうです。20kgを切る「軽さ」が特徴の新モデル「ビビ・SL」は、今までもより大きな人気を得るでしょう。

ちなみに、数年前もパナソニックは実用モデルで20kg切りましたと言う発表をしていますが、それは装備レスでの話。今回は、フル装備で、20kgを切ったわけですから、私も推します。素晴らしいモデルです。

しかし、その一方、まだ電動アシスト自転車は、まだまだ高みを狙って欲しいと思うのですよ。特に当たり前になりつつある車道運転。アシストがないと、ロードレーサーでもない限り、そんなスピードは出せません。一方、危ないなぁと思う時も増えています。一つはライトです。前はまだしも、後が反射板で、近くでないとわからない時も。

電動アシスト自転車とは直接の関係はないが、Uberの黒バッグに、黒シャツ&パンツ、黒い自転車になるととても分かりにくい上、無灯火もかなりいます。それで30km/hに近いスピードで走るので、本人は安全なつもりなのかも知れませんが、周りから見ると事故を呼び寄せているのかように思えます。メーカーサイドも、リアライトををつけるなど、安全性アップをもっと考えてほしい。

あと防犯ですね。特にバッテリーは数万円します。盗まれたら、泣くに泣けません。また、ノーパンクタイヤの採用も考えていい時期に来ている様な気もします。誰もが使う実用車だからこそ、より「安全に」より「ユーザーの身になって」作って欲しいのです。

今回の、「ビビ・SL」は、今後の電動アシスト自転車のベース車としてもいい感じだと思います。2021年一推しのモデルです。

画像: 【軽量化】20kgを切った!パナソニックの本気が伝わる電動アシスト自転車「ビビ・SL」
パナソニック Panasonic 電動アシスト自転車 ビビ・SL ViVi・SL パールピーコック BE-FSL431 [24インチ /3段変速]【組立商品につき返品不可】【2022年モデル】 【代金引換配送不可】
ショッピングモデル 業界最軽量の19kg台!車■ショッピングモデル最軽量の19kg台←New! モーターを始め、フレームの軽量化とカーボン配合のバスケットを 採用することにより、最軽量の19kgダイを達成しました。 力の弱い方でも扱いやすいモデルです。■カルパワードライブユニット 軽量…2軸モーター国内最軽量約2.8kg こぎ出しも坂道もパワフルで軽やかな乗り心地のカルパワーアシスト。■かるらくアルムフレーム 当社最低サドル地上高67cmで足つき性を向上しました。 約7度膝曲げ負担を軽減。※身長139cmサドル高72cmで比較。・フレーム一体アルミキャリヤ(クラス18)←New!・カーボ...
¥ 122,800
2021-10-11 17:49

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。

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