ここでは、パソコン用のストレージ(記憶媒体)についてわかりやすく解説する。ここ数年でまたたく間に主役の座に躍り出たのが「SSD」(ソリッドステートドライブ)。特徴は、内部のフラッシュメモリーに読み書きを行うこと。物理的な駆動がないぶん、処理速度が圧倒的に高速で、静音性や耐衝撃性にも優れる。
すっかり主流になったSSD。HDDとの違いを押さえよう!
パソコン用のストレージ(記憶媒体)といえば、かつてはHDD(ハードディスクドライブ)の独壇場だったが、ここ数年でまたたく間に主役の座に躍り出たのが「SSD」(ソリッドステートドライブ)だ。
HDDは、回転する内蔵ディスク(プラッタ)に磁気ヘッドで読み書きを行うため、動作時には「カリカリ」というシーク音がする。一方、SSDは内部のフラッシュメモリーに読み書きを行うのが特徴。物理的な駆動がないぶん、処理速度が圧倒的に高速で、静音性や耐衝撃性にも優れる。
▶SSDのメリット、デメリット
転送速度や静音性ならHDDよりも圧倒的優位
ここが〇
データ転送速度が速い
▶パソコンの起動やアプリの動作が速くなる
衝撃や振動に強い
▶持ち運びや移動のときも安心
静音性が高い
▶ディスクの回転などがないため静か
小型化が容易
▶外付けではスティック型も登場
ここが×
コストが高い
▶同じ容量ではHDDより割高
大容量化が難しい
▶大容量になるほどさらに高価に
なお、SSDには端子形状や接続方式などに複数の規格があり、最大転送速度が異なる。内蔵SSDの場合、従来のSATA接続より、「NVMe」という接続方式がより高速だ。
▶M.2端子でNVMe接続ならさらに小型&高速!
内蔵SSDの端子は、幅22ミリで小型の「M.2」が最近の主流。接続規格が「NVMe」に対応していれば、従来のSATA接続よりはるかに高速に転送できる。
Crucial
MX500 1TB
1万3050円
Crucial
P5 Plus 1TB
2万4640円
このように、いいことずくめのように思えるSSDだが、いくつか注意すべき点もある。一つは容量当たりの単価が高いこと。近年は価格がこなれてきているとはいえ、まだまだHDDより割高だ。
また、書き替え寿命にも注意したい。フラッシュメモリーは書き替えのたびに徐々に劣化していき、いずれは寿命が尽きて動作に支障が出てくる。メーカーが専用のユーティリティアプリを用意していれば、SSDの健康状態を診断できる。アプリによっては、ファームウェアの更新などが利用できる場合もある。
意外な盲点としては、故障時のデータ復旧がHDDより困難であること。SSDの復旧に対応した専門業者やアプリもあるが、HDDの場合より復旧できる可能性が低いことは覚悟しておこう。
▶メーカー製ユーティリティも活用しよう
メーカー各社では自社SSD向けに、ユーティリティアプリを提供。例えば、サムスンでは「SAMSUNG Magician」でSSDの診断や最適化などが可能。
◆解説/宮下由多加(ITライター)