投資商品としてメジャーな存在の日本株式。馴染みの企業の銘柄も多く、その会社の商品がどういうものか正確に把握しやすい、という点は取引をする上で強みになります。海外の企業の株式に投資することも可能です。日本の景気が低迷して「株を買いたい会社が日本にはない」というときでも、魅力的な外国株式はたくさんあります。また、分散投資されている投資信託でありながら通常の株式投資のように売買できる、ETFという商品もあります。それぞれの資産運用について、書籍『明日からお金を増やす方法大事典』を監修する大竹のり子さんに解説していただきました。
解説者のプロフィール
大竹のり子(おおたけ・のりこ)
(株)エフピーウーマン代表取締役 ファイナンシャルプランナー。 出版社の編集者を経て、女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」を設立。講演やメディア出演のほか「お金の教養スクール」の運営を通じて正しいお金の知識を学ぶことの大切さを発信している。『なぜかお金に困らない女性の習慣』『老後に破産しないお金の話』などお金の分野での著書は50冊以上に及ぶ。 女性FPによる、個人マネーコンサルティングを受付中。
▼エフピーウーマン(公式サイト)
本稿は『明日からお金を増やす方法大事典』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。※特に明記しない限り2020年3月1日現在の情報にもとづいています。
イラスト/フクイサチヨ
日本の企業だけに親近感が湧く!? リターンも見込める日本株式
そもそも株式投資って何?
投資商品としてメジャーな存在である、日本株式。つまり、日本企業の株式のことです。馴染みの企業の銘柄も多く、その会社の商品がどういうものかも正確に把握しやすいという点は取引をする上で強みとなります。
株式投資では、買った株式の価格が上昇することで利益を得られます。たとえば、1株=100円で購入した銘柄が110円に上昇した場合、そこで売却すれば差額を利益として得られます。これをキャピタルゲイン(売却益)と呼びます。逆に株価が下がったときは損をすることになります。
株価は株式市場での需要と供給の関係で決まります。簡単に言えば、その株式を買いたいと思う人が多ければ株価が上がり、売りたいと思う人が多ければ株価が下がるのです。
株式を売却したときだけでなく、売らなくてもお金が入ってくることがあります。決算時などに企業が株主に利益を分配することがあり、これを配当金と言います。この配当金は、保有する株式の数に比例して受け取れます。配当金以外では、株主優待も株式を持つメリットのひとつです。
銘柄を選ぶ際は、直感だけで決めるのではなく、しっかりと分析を行う必要があります。
主な分析方法としては、財務状況を分析するファンダメンタルズ分析と、過去の値動きのチャートから今後の動向を予想するテクニカル分析があります。いずれにしても、しっかりと勉強する必要があるのです。
3大メリット
▼リスクも高いがリターンも大きい
▼配当金や株主優待なども受けられる
▼日本の企業が対象なので情報を得やすい
注意点
株式投資には大きな利益が得られる可能性がある反面、損失を被ってしまう危険性もあります。確実に値上がりする銘柄を予測することは非常に難しいので、常にリスクを考えながら適切な金額で投資する必要があります。
世界の一流企業に投資できる外国株式は値上がりする期待大!
海外には魅力的な株式が多数
日本株式は国内の企業の株式ですが、海外の企業の株式に投資することも可能です。日本の景気が低迷して「株を買いたい会社が日本にはない」というときでも、魅力的な外国株式はたくさんあります。
アマゾンやマクドナルドなど、誰もが知る有名企業や強い競争力を持つ企業が多いアメリカのほか、人口が多く市場が活発な中国やインド、今後の成長が期待できるASEAN諸国なども注目されています。
海外の企業の株式を買う際には、必ずしも現地の証券会社で口座を開く必要があるわけではありません。外国株式を取り扱っている日本の証券会社で口座を開設すればよいのです。
口座を開設したら、次は外国株式の購入ですが、まず円を外貨に両替しないといけません。これも証券会社で行えます。両替できたら、いよいよ外国株式の注文ですが、ここでの手順は日本株式の購入とあまり変わりません。
外国株式を売買する上で難しいのは、日本の企業と比べて情報が圧倒的に少ないという点です。そうしたときに頼りになるのが、証券会社です。
外国株式を扱う証券会社は利用者のために海外株情報を扱ったレポートや海外株の入門講座を提供しています。これらは口座を持っていれば無料で利用できるので、ぜひ活用してください。
外国の株式だからといってあきらめる必要はありません。日本にいながら情報を得られるので、是非とも外国株式にも目を向けてみましょう。
3大メリット
▼世界的なブランドを持つ企業に投資できる
▼日本経済とは関係なく好調な企業がある
▼今後の成長が期待できる国も多い
注意点
外国株式は株価の変動だけでなく、為替の変動にも影響を受けます。たとえば1ドル=100円のときに株式を購入した後に、株価は変動しなくても1ドル=90円になると、株式を売った際に得られる日本円が減ってしまうのです。
本稿は『明日からお金を増やす方法大事典』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。※特に明記しない限り2020年3月1日現在の情報にもとづいています。
株式投資と投資信託を「いいとこ取り」したのがETF
株と投資信託のいいとこ取り?
投資信託の中には株式上場している商品があります。そうした投資信託をETF(「Exchange Traded Funds」(上場投資信託)です。つまり、分散投資されている投資信託でありながら、通常の株式投資のように売買ができるということが特徴です。
また、通常の投資信託とETFには違いがいくつかあります。投資信託では信託報酬を販売会社、受託会社、運用会社の3社に支払わなければいけませんが、ETFでは販売会社に信託報酬を払わなくていいので、信託報酬が割安です。
つまり、保有のためのコストが安くなるのです。
ETFは、通常の投資信託に比べて取引しやすいというメリットもあります。
投資信託は1日1回のみの取引ですが、ETFは証券取引所の取引時間の間であれば、いつでも売買できます。価格の面からみても、投資信託の取引では決められた基準価格でしか売買できないのに対し、ETFは、株式と同様にリアルタイムで変動する価格を見ながら価格を指定して売買できるので、自由度が高いのも特徴のひとつです。
投資信託では、取引の申し込みを締め切ったあとに基準価格が公表されるので、基準価格がわからないまま注文を出すことになります。
ETFと投資信託は最低購入金額も違います。100~1000円から購入できる投資信託に比べて、ETFは取引単位が決められているため、1~数万円と、最低の購入金額は少しだけ高めとなっています。
3大メリット
▼通常の投資信託と比べると保有コストが安い
▼リアルタイムで相場を見ながら売買できる
▼最低投資金額が2万円以下の手頃な銘柄も多い
注意点
ETFは投資信託のような月々の積み立てでの購入ができません(証券会社によっては、積み立てで購入することができる場合もあります)。また金額を指定しての購入もできず、口数(売買する単位のこと)を指定しての購入となります。
ETFと株式・投資信託の違い
ETFは分散投資ができるため株式よりもリスクが低いです。また、上場しているので相場の値動きを見ながら市場の取引時間中であれば、いつでも売買が可能です。
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なお、本稿は書籍『明日からお金を増やす方法大事典』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。本書は、お金を増やすための日々の知恵を集めた事典です。すぐにできることから、準備期間は必要だけど、やるとやらないではお金の増え方に大きな差がつくことまで、幅広い知恵を集めました。できることからひとつずつ積み重ねていくことで、お金の増え方が大きくスピードアップし、家計にも気持ちにもゆとりが生まれてくるはずです。詳しくは下記のリンクからご覧ください。
※(1)「【初心者向けの資産運用】おすすめは投資信託 プロに任せて分散投資 リスクも低い」の記事もご覧ください。