今回、Amazonから新しく発売されたストリーミングデバイス「Fire TV Stick 4K Max」を試す機会を得たので、今使用している「Fire TV Stick 4K」と同時に使用してみて両機の性能差がどれほどあるのか、検証してみた!
4K対応の「Fire TV」を長年、有線LAN接続で使っていたが……
2013年に早くも4Kテレビを買っていたこの私にとって、Amazon Fire TVは、スティック型のものではなく、4Kに対応した据え置き型の「Fire TV(第2世代)」というイメージが強かった。この「Fire TV」にはLAN端子が標準搭載されており、AmazonプライムビデオやYouTubeの4K動画を4Kテレビで見るとき、安定した有線LAN接続環境で行えるというのが、自分の中では大きな安心感につながっていた。
ところが今年になって、「某動画サイト」の4Kコンテンツを、手持ちの「Fire TV」で視聴できないと判明したこともあり、5年以上使っていた「Fire TV」から「Fire TV Stick 4K」(以下「Stick 4K」)に買い替えることを決意。2021年6月に、プライム会員向けのセールを利用して「Stick 4K」を購入した。
無線LANで「Stick 4K」をネットにつなぐことには、速度面などで若干不安もあったが、速度が遅ければ別売のイーサネットアダプターを購入して有線で接続すれば解決するだろうと考え、とりあえず無線でつないでみた。
その結果、無線LANであっても「Stick 4K」のネット接続速度は十分で、その「某動画サイト」の4Kコンテンツもきっちり4Kの高画質で表示できた(これには、正直けっこう感激した)。
ところが、そのあと10月に新製品の「Fire TV Stick 4K Max」(以下「Max」)が発売された。「最大の売りはWi-Fi6への対応」というが、我が家の無線LANルーターはWi-Fi6に対応していない。「うーん、ウチには必要ないかな」とも感じたが、CPUが変更されており速度も向上しているということもあり、メリットはそこ(Wi-Fi6対応)だけではないと考え、思い切って「Max」を使ってみることにした。
「Stick 4K」と「Max」を併用してわかったこと
普通なら、新製品が登場したら旧製品は取り外し、使わなくなってしまうもの。しかし、我が家の「Stick 4K」はまだ購入してから日が浅く、このまま死蔵するのはもったいない。また、私には、「Max」と「Stick 4K」を併用すべき特殊な事情も存在していた。
その特殊な事情というのを手短に説明しよう
この記事の冒頭で「4Kテレビを2013年に買った」旨を書いたが、そのテレビの製品名は「58Z8X」(当時の東芝製)。私が今も使っているこの製品には、その後発売された4Kテレビ製品群にはほとんど搭載されていないスペシャルな機能がある。
それが、「ミニ画面」機能だ。
これは、4K(解像度3840ドット×2160ドット)のうち、フルHD(解像度1920ドット×1080ドット)の画素数の分だけ映像を表示するもの。全体の1/4の面積で映像を表示するので「ミニ画面」という名称になっているわけだ。
この機能を、私は2013年の購入直後から、ごく頻繁に使っている。
まず、「消費電力がフル画面の半分になる」というメリットがある。次に、「ミニ画面だと、SD画質などの低画質な動画も、その粗さをあまり気にせずに視聴できる」という点も、心理的にかなりのアドバンテージがあると考えている。「YouTube」などで、SD画質よりもさらに低解像度の動画があったりするが、「ミニ画面」機能を使って画面全体の1/4の面積にして見ると、その低解像度もさほど気にならないということだ。
また、「Stick 4K」でも「Max」でも見られる「某動画サイト」にはSD画質のコンテンツも多いので、「Max」では映像出力の解像度設定を普通に「オート」にし、「Stick 4K」では「1080p 60Hz」に固定しておけば、両者を併用し、低画質コンテンツを見るときに「Stick 4K」を遣うようにすれば、いちいち「Max」の「ビデオ解像度」設定を変える必要がなくなるというわけだ。
さて、ここで、両機のスペックを簡単に紹介しておこう(ベンチマークテストを行うわけではないので、数値的なことを表記しておいたほうがいいと思う)。
「Max」
価格:6980円
CPU:MT8696(クアッドコア 1.8GHz)
メモリー:2GB
ストレージ:8GB
Wi-Fi:Wi-Fi6
サイズ:103mm×30mm×14mm
重量:48.4g
「Stick 4K」
価格:6980円
CPU:MTK8695 + MT7668(クアッドコア 1.7GHz)
メモリー:2GB
ストレージ:8GB
Wi-Fi:Wi-Fi5
サイズ:103mm×30mm×14mm
重量:53.6g
このように、本体の性能はアップしたが、サイズは前の機種と変わらず、重量は約5グラム軽くなっている(性能アップによるレスポンス速度などの向上については後述する)。
新リモコンは、メリットもあればデメリットもある
リモコンも、サイズ感は変わらないのだが、ネットサービスのダイレクトボタンが下部に4個装備されているのが新しい。
ボタンのあるネットサービスは、「プライム・ビデオ」「Netflix」「DAZN」「Amazon Music」である。これらのダイレクトボタンは確かに便利だが、できれば「YouTube」を入れてほしかったというのが本音である。
ただ、「Amazon Music」のダイレクトボタンがあるせいか、個人的には以前より「Amazon Music」を頻繁に使うようになったことは事実である。ただし、「Amazon Music」のUI(ユーザーインターフェース)はかなりよくないレベルだと思うし、このUIだと音声認識機能(いわゆる「アレクサ、〇〇して」の機能)が全然生かされていないと感じる。なので、いつもブツブツ文句をいいながら使っているというのが実態だ。
もう一つ、「Max」のリモコンについての改善してほしい点。音量の「+」ボタンの右に「番組表」ボタンがあるのだが、ここは、従来の「Stick 4K」では「早送り」ボタンの位置(厳密にいうとピッタリその位置ではないのだが、「リモコンの右端近くのいちばん下のボタン」という意味においては同じ位置)。これを押すと、「Abema」などの番組表が表示されるが、私は「Abema」をほとんど見ないので、この押し間違いが起きると、かなりムスッとしてしまう。特に「Stick 4K」のリモコンと併用しているので、この押し間違いの発生頻度はかなり高く、弊害は小さくない(まあ、無理やり併用しているのは私なので、あまり文句はいえないが……)。
性能差のほか、ネット接続速度の違いも如実に感じられた
単純に、「Stick 4K」との性能比較でいうと、CPUやGPUのおかげか、明らかに「Max」のほうがリモコン操作に対するレスポンスが速く、また、画質が上である。「画質が上」というのは、「Stick 4Kで十分にキレイだった4K動画が、Maxだとさらに高画質になる」ということではない。「Stick 4Kで画質に難があった場面が、Maxだとけっこう見られる画質になっている」ということである。
具体的には、人物の肌などで、繊細なグラデーション描写が必要な場面が挙げられる。「Stick 4K」では人物の肌にいわゆる「等高線」が出ていた場面も、「Max」だと等高線の見え方がかなり薄い(「等高線が出なくなった」とまではいかない)。しかし、少しの違いでも「等高線が気にならないレベルになった」といえるので、見え方の印象としてはだいぶ違う。
さらに数日間、「Max」と「Stick 4K」を併用していたら、そのうちなぜか自宅のWi-Fiの速度が低下してきてしまった(100Mbps近くまであったのが、どうしたことか40Mbpsくらいに下がった)。そうすると、「Stick 4K」では、動画サイトの視聴時に再生が一時停止してしまい、プログレスインジケーター(静止画面上でぐるぐるまわっている円形)が頻繁に現れるようになってしまった。
ところが「Max」だと、そうはならない。何なら、4K動画を見ても大丈夫だった(プログレスインジケーターは現れない)。
この現象は、接続している無線LANルーターが同一のもので、Wi-Fiの速度が同じであるにもかかわらず発生している。これは、簡単にいうと「Max」のほうがスペック的に高性能であることが起因していると思われる。「Maxのほうが新しいから」という可能性もあるが、「Stick 4K」も今年購入したばかりのものであるから、その内蔵アンテナが経年劣化でヘタっているなどのことは考えられない。
まとめ
このように、「Stick 4K」と「Max」を自宅の同じ環境下で併用していたら、両者にはけっこう性能差があることを感じた。今、2Kテレビしか持っていない人も、また、Wi-Fi5以下のルーターしか持っていない人でも、「Max」を買うほうがいいだろうと私は考えている。