毎年のように家電は新製品が出てきます。多くのものは1年でモデルチェンジ。しかし、「どこが変わった!」と言いたいモデルもあります。しかし、そんな中、2019年2月に主要モデルを市場導入された象印マホービンの「STAN.」シリーズは、今だに売りが好調と聞きます。今回は、売れ続ける「STAN.」の魅力をレポートします。

ターゲットは30代の核家族

STAN.のターゲットは30代の核家族です。幼い頃よりPCは当たり前のようにありました。ポケットにはゲームボーイ。中学、高校の頃にスマートフォン。以降、手放したことはないでしょう。一方、物欲はそんなに高くありません。ただSNS時代ですから、自分がしていることを挙げて、「いいね」が欲しい気持ちがある。

つまり、トップは要らないけれど、それなりの評価は欲しい。それは、シンプルながらもオシャレな感じです。

そんな空間にふさわしい家電が「STAN.」です。STANDARD(標準)で、STANDBY(側にある)。その生活を支えるSTANCE(姿勢)が象印にはあるという意味で、「STAN.」と名付けられました。

初期の構成は、IH炊飯ジャー(NW-SA10型)、マイコン沸とう電動ポット(CP-CA12型)、コーヒーメーカー(EC-XA30型)、ホットプレート(EA-FA10型)の4機種。横から見ると逆さ台形のシルエット、色は「黒」です。

画像: www.zojirushi.co.jp
www.zojirushi.co.jp

今ドキのシンプルさをデザイン

STAN.は「デザイン」に重きを置いた「デザイン家電」に属します。が、目指したデザインは、「目立つ」ことではありません。「生活に溶け込む=STANDBY」ことを目指しました。つまり「シンプル」かつ「悪目立ち」しないデザインです。

ポイントは、料理よりインスタ映えしないことです。家電は「道具」ですので、その結果「料理」より目立ってはいけないわけです。

逆にいうと、STAN.は、店頭では、それなりにしかデザインパワーがないです。それを目立たせているのは色、黒と茶の組み合わせです。基本は黒で、下に茶を木のプレートをあしらっています。とてもいい感じです。

そしてコレだけでは足りませんので、子育て時に役に立つ機能をアピールします。例えば、炊飯器。象印の十八番ですが、「ベビーごはん」メニューを搭載しています。ホットプレートなら、深さ4cmの「深型プレート」。「焼く」だけでなく「煮る」も可能ですから、常に使えます。ホットプレートを出して置けるというのは、子どもが帰ってきた時、ホットケーキなどをすぐ作ることができます。あったらお得というのを「機能」で示したわけです。

コロナ禍で変わったユーザーの目

STAN. が好調なことを考えるとき、もう一つのポイントは、時期です。2019年2月というと、日本でコロナ禍が始まった時期です。巣篭もり、ホームステイが始まりました。当然、家財道具を見直します。当時も流行っていた色は、2021年とあまり変わっていません。黒です。

黒は落ち着いた色ではあるのですが、完全に黒はかなり重いです。木の色をアクセントにしたSTAN.はいい意味での軽さもあるので、他の黒色家電とも相性がいい。理屈で書くと、こんな感じですが、長時間、そのデザインに触れていると、それがイメージとして入ってきます。

やや地味目のいいデザインは、大いに助けられた期間だと思います。

タイミングの良い追手

そして象印は、STAM.シリーズの強化を、じわじわ行っていきます。

2020年2月1日 IH炊飯ジャー、電動ポットに白色を追加。

2021年10月21日 自動調理なべ(EL-KA23)を追加。

1〜1.5年にのサイクルで、話題を重ねていきます。追手としても、いい感じです。

まとめ

このようなデザイン家電は、どんなメーカーも発想することですが、あまり成功事例はないです。STAN.の様にいい感じになりにくいのです。

今回、コロナ禍の中、象印は上手く花開かせることに成功しました。ストーブの上の薬缶の湯がゆっくり沸くような、じっくりとした商品の売り方もあると思います。爆発的なヒットを良しとする傾向がありますが、このような家電、売り方が、今の日本にはふさわしいのではと思います。

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京散歩とラーメンの食べ歩き。



This article is a sponsored article by
''.