最近、ポータブル電源がいろいろなメーカーから発売されている。JVCケンウッドやJackery、オウルテック、Anker、EcoFlow、PowerArQ、SUAOKIなどなど。多くの場合、オートキャンパーと呼ばれる車でアウトドアを楽しむ人たちが、より快適に家電製品を使用するためのものとして普及しているようだ。今回、私が試してみたのは、EcoFlowから発売されたコンパクトなポータブル電源で「RIVER mini」という製品になる。コンパクトなサイズながら、本格的なポータブル電源として使用できるというので、どれ程の能力があるのかを試してみたので、使い勝手を含めその実力の程をお伝えできればと思う。
ポータブル電源とは
そもそもポータブル電源とはどんな製品なのだろうか。ポータブル(持ち運び)できる電源ということで、簡単に言ってしまえばモバイルバッテリーを大きくしたようなものをイメージしてもらえれば分かりやすいだろうか。もう少しだけちゃんとに言うと大容量で安定的に電力を供給できるバッテリーシステムのことでいろいろな給電ポートを備えているのが特徴のようだ。
本体には、AC電源が搭載されているからコンセントに差し込んで使用する家電製品なども使用できる。大きなタイプのポータブル電源であれば、容量が1260ワットで定格出力が1600ワットというモノもあり(最も大きいサイズは、容量3600ワット、定格出力3000ワットというモノも存在する)、このサイズであれば電気自動車の緊急用電源としても使用することができてしまう。
容量にもよるが、冷蔵庫や電子レンジであれば問題なく使用できるので、アウトドアでの使用はもちろんのこと、災害対策としても一家に一台、準備しておくのもよいかもしれない、そんなアイテムだ。
RIVER miniの概要
本体の重さはわずか2.8キロの超軽量モデル
今回使用する「RIVER mini」は、ポータブル電源としてはかなりコンパクトサイズで、わずが2.8キロという超軽量モデルになっている。停電を検出すると30ミリ秒以内(0.03秒以内)に自動的に「RIVER mini」が作動して、家電製品の電源を落とすころなく、稼働し続けさせることができる。
最大8台のデバイスを同時に給電
出力ポートは、豊富で15ワットのワイヤレス充電パッドをはじめ、USB-C 100ワット、2つのAC出力コンセント、シガーソケット出力、3つのUSBポートが設置されており、最大8台のデバイスを同時に給電することが可能だ。
充電時間はわずか1.5時間、ソーラーパネルでも充電できる
本体の充電は家庭用コンセントを使用すれば、わずか1.5時間でフル充電状態にすることができる。また別売のソーラーパネルを使用して充電したり、車のシガーソケットから充電することも可能だから、アウトドアで使用するときなど、天候が良い時であればソーラーパネルで充電したり、車での移動時にはシガーソケットから充電したりすれば、数日間のキャンプ地での利用などでも十分使用することができる。
専用アプリを使えば
また、EcoFlowの専用アプリをスマホにダウンロードして、RIVER miniとペアリングすれば、RIVER miniの設定や操作をモニタリングすることもできてしまう
EcoFlowについて
EcoFlowは、正式にはEcoFlowTechnologyという中国の深圳に事業本部を構え世界45か国で事業展開をしている会社になる。「クリーンな電力へ誰でも簡単にアクセスでき社会」を実現するべく、2017年に設立された若い会社だ。製品のラインアップはDELTAシリーズという大容量モデルから今回試すRIVERシリーズという軽量性に優れながらも高性能なモデルまで、多くの製品を取りそろえているから、用途に合わせてセレクトすることができる。価格も、3万5200~40万円程度幅広くラインアップを揃えている。興味のある方は覗いてみてほしい。
実際に使用してみる
USBポートを使用して、いろいろなアイテムを充電
今回、初めてポータブル電源を使用することになったのだが、実は以前から興味はありつつ、大きなサイズがネックとなって、なかなか試す機会がなかった。しかし、今回試すRIVERminiは、とてもコンパクトなサイズなので、我が家のクルマでも大きさがネックになることもないので、実際に車で持ち運んで使用してみた。
初めに試したのは、自転車関連のアイテム
過去の記事でもお伝えしたことがあると思うが、私、趣味で自転車に乗っている。それも、ロードバイクやマウンテンバイクといったいわゆるスポーツタイプの自転車になる。自転車に乗る際は、自身の状態を可視化するため、サイクルコンピューターやスマートウォッチを取り付けたり、安全のために前後共にライトを装備したりしている。それらの多くは、充電して使用するものが多く、乗車前日にはかならず充電して、翌日の使用に備えている。
しかし、稀に、充電をし忘れてしまい、ライド途中で電源が切れてしまったりするケースも間々ある。充電タイプはバッテリーが不足してしまうと、電池で補う事ができないのが欠点で、仮にコンビニが近くにあったとしても、電池式のモバイルバッテリーを購入して対処するというその場しのぎの対処しかできないことから、何度か苦い思いを経験してきている。
そんな苦い思いを経験しないためにも、「RIVERmini」があれば、移動中のクルマの中でも、サイクルコンピューターやスマートウォッチ、ライトなどを同時に充電することが可能だから、とても重宝する。移動中の1~2時間程度でほぼ充電できてしまうので、目的地に到着してクルマから自転車を降ろしていざ走り出そうという時点では、問題なく使用できる状態になっている。もちろん、満充電された各アイテムはライド途中で電源が落ちてしまう心配はほぼ皆無に等しい。この程度の使用であれば、「RIVER mini」の電力消費も殆どなかった。
ポータブル炊飯器でお米を炊いてみる
次に試してみたのは、お米を炊くこと。今回は、家庭用の炊飯器を使用するのではなく、車のシガーソケットから給電してご飯が炊けるクルマ用のアイテムで、オートキャンプなど、車内での使用を想定して作られた炊飯器になる。
この炊飯器では、2合のお米を実際に焚いてみたのだが、使用前は結構電力を消費するだろうと予想していたのだが、実際に使用してみると思いのほか、消費電力は少なく、全体の2~3割程度のバッテリー消費に抑えることができた。RIVER miniの定格出力は300ワットで、X-Boost機能を使えば600ワットまでの出力に対応するため、今回使用した炊飯器の消費電力が110~120ワットであることを考えると、余裕を持って使用することができるのは当たり前だった。
それにしても、コンパクトなのにとても強力で頼もしい存在だ。キャンプに持っていっても、2泊3日程度なら十分に使用できるし、仮にバッテリーの残量が少なくなってきたら、車のシガーソケットから給電すればいいので、問題なく使用できるはずだ。キャンプ経験がほぼゼロの私だが、これは強い味方が現れたと感じた次第だ。来年はキャンプにもチャレンジする予定なので、その時に改めて「RIVER mini」を使ってみたいと思うほど、しっかり使用することができた。
ソーラーパネルで充電してみる
ポータブル電源の最大の特徴と言ってもいいのが、オプションとして設定されているソーラーパネルでの充電ではないだろうか。ポータブル電源の充電は、通常、自宅のコンセントに差し込むだけととても簡単に、それも1時間半もすれば満充電(RIVERminiの場合)してしまうので、通常使用時は家庭用コンセントに差し込んで充電すればよいのだが、コンセントのないような場所(屋外)では、自然の力を活用するほかない。
そんな場合でも、ソーラーパネルと太陽の光さえあれば、充電に要する時間はかかるものの、確実に充電をすることが可能だ。ただ、今回の使用では、直射日光によるソーラー充電がほぼできなかったので、充電にかかった正確な時間までは計測することができなかったが、それでも、電力消費を少し抑えることができたのではないかと思う。日差しの強いタイミングでもう一度使用してみたくなるほど、頼もしい存在であることは確かだった。
使ってみた感想
RIVER miniはコンパクトながらかなり優秀
RIVER miniを使用してみて感じたことは、給電ポートがいくつも用意されていることから、同時にいくつもの製品を充電する場合など、とても重宝(屋外などで)するということだった。自宅での使用ではもちろんのこと、予備電源として車載しておいてもいいし、アウトドアに持っていけばLEDランタンやポータブルオーディオ、炊飯器などにも給電できるから、より便利に使うことができる。
また、RIVERminiほどのコンパクトなサイズであれば、オフィスに置いておいたり、自宅のベッド脇に置いておくなどしても、邪魔になることがないうえ、いざという時にとても便利に使えそうだった。今回、徹底的に使用してみたというわけではなかったので、何とも言えない部分はあるものの、特に欠点と思われるところは感じられなかった。
オプションのソーラーパネルについては
今回、使用したソーラーパネルは、オプションのアイテムになるのだがDELTAシリーズにも使用できるサイズであることから、かなり大きい印象を受けた。おまけに結構重さもあるので、車で出かける際に一緒に持ち運ぶという使い方がちょうどよいかもしれない。
とはいえ、ソーラーパネルを併用すれば、使用電力の消費も抑えることができるから、アウトドアなど使用頻度が高い場合には必須のアイテムかもしれない。また、ポータブル電源本体の充電ができない場面でも、太陽光さえあれば充電をすることができることから、やはり持っていると安心するアイテムだ。
ちなみに価格は、85Wのチャージャーが可能なモデル3万5000から、400Wのチャージャーが可能モデル12万6500円程度と4種類ほど用意されている。
まとめ
今回、初めてポータブル電源を使用してみたが、想像以上に便利に使えることが分かった。特にクルマ用ではあったものの、炊飯器を問題なく使用できたことは驚きで、これは使える!と実感した次第だ。来年は、キャンプにも挑戦したいと思っているので、アウトドアなどには、ピッタリなアイテムになると思われる。ポータブル電源にもいろいろと種類があるので、今度は、少し大きめのサイズで、以前「減煙グリルプレート」の記事で使用したグリルプレートを使用してみたり、消費電力の大きい製品を試してみたいと思う。
今年の10月に東北地方・関東地方に震度5強となる大きな地震が発生した。東京23区で震度5強を観測したのは10年ぶりだという。10年前(2011年)の3月以来ということだろうか。あの日の恐怖は、今でも忘れることができない。まるで戒めであるかのように起きた今回の地震に改めて自然の驚異を思い知らされたように感じた。そんな地震への備えという意味でも、ポータブル電源は一家に一台、消火器を備えるように、備えておきたいアイテムの一つかもしれない。