スペシャライズドの「eバイク」で富士山ヒルクライム!ロードバイクとどちらが速いか<1日2往復>酔狂レビュー

レビュー

私は、趣味でロードバイクに乗っている。ロードバイクに乗り始めて今年で5年目。ここ最近、ヒルクライムのサイクリングがとても増えた。普段の週末は筑波山に行くことが多いのだが、夏の時期になると、少しでも涼を求めて、富士山や八ヶ岳などを走行している。ということで、今年も、富士山に登る時期がやってきた。ただいつもと違って、以前からやってみたかった「e-bike」でヒルクライムにも挑戦してみた。今回は、「e-bikeでのヒルクライム」と「ロードバイクでのヒルクライム」の様子をお届けしたいと思う。

毎年恒例の富士山ヒルクライムライド

富士スバルラインを妻と2人で走行

我が家(妻と私)では、毎年富士山の5合目まで、ロードバイクでヒルクライムするイベントを行っており、今年で4年目となる。初めてヒルクライムをした時は、のんびり休憩を取りながら登ったこともあり、3時間以上かけて完走したことを記憶している。走行するルートは、富士スバルラインという、比較的初心者でも走行しやすいルートになっており、お天気が良い日には、景色を楽しむこともできる。ただ、走行距離は24.1キロにもなり、そのほとんどが、当たり前だが登りになる。初心者でも走行しやすいとはいうものの、とてもきついコースであることに変わりはない(私にとっては)。

e-bikeでのヒルクライムに初挑戦

今回は、いつもと趣向を変えて、ロードバイクでの走行に加え、e-bikeでも走ってみた。ちなみに、e-bikeとは、スポーツタイプの自転車に電動アシストユニットを取り付けた自転車のこと。

実は、2年ほど前に富士山のヒルクライムライドをしていた際に、親子連れ2台のバイクに、あっという間に追い抜かれたことがあった。それも、マウンテンバイクにだ。マウンテンバイクは、そこそこの重さもあり、いくらギア比が軽く登れる設定になっているとはいえ、追い抜かれるなんて想像もしていなかったため、キツネにつままれたようだったが、実はそのバイク、e-bikeだったのだ。アシストの力を受けて、ひょいひょい登っていくその姿は、ひたすらクールに見えた。こちらは、脚がプルプルしながら、息を切らして登っているところを、横から、涼しい顔して追い抜いていくその親子連れに、思わず「いいなぁ~」と言ってしまったほどだ。それからというもの、いつか私もe-bikeで登ってみたいという思いがあった。

今回は、その機会を得ることが出来たので、e-bikeの走行と通常のロードバイクの走行を比較しながら、併せてお伝えできればと思う。

富士スバルラインとは

富士スバルラインは、スタートとなる料金所からゴールとなる5合目まで、標高差約1250ⅿ、距離にして約24.1キロ、平均勾配は約5%と、ヒルクライム初心者でも、時間さえかければ登ることができるコースになっている。毎年6月になると、「Mt.富士ヒルクライム」(レースイベント)が開催される場所としても有名なコースだ。

超軽量のモーターを使用したスマートなe-bike

さて、今回使用する車両たちの説明をしよう。まずは、e-bikeから。今回使用するe-bikeは、米・スペシャライズドの車両で、TURBOe-bikeシリーズの「CREO SL E5 COMP」(57万2000円)というロードバイクタイプのe-bikeになる。

スペシャライズドと言えば、TarmacVengeといった、世界最高峰のロードバイクを作り出している自転車メーカーとしても有名だ。今回使用する「CREO SL E5 COMP」は、ロードバイクを長いこと作り続けてきた、スペシャライズドのテクノロジーが注ぎ込まれた車両になっている。スペシャライズドのe-bikeは、自社開発のSL1.1という超軽量のモーターを使用しており、エコ、スポーツ、ターボの3つのモードでアシストしてくれる。満充電で、最長130キロもの走行が可能だから、ロングライドにも十分対応する。ちなみに、別売のレンジエクステンダー(5万2800円)を使用すれば、航続距離を最長で65キロも伸ばすことができる。走行距離が130キロを超えるようなロングライドや、ターボモードを頻繁に使用するヒルクライムライド時用に、準備しておくと安心だ。

外観は、言われなければe-bikeとは思えないほど、とてもスマートだ。ギアは、フロントがシングルでリアが11速(11-42T)だから、かなり勾配のきつい坂道にも対応する。車両の重さは公表されていないが、持った感じ14kg弱と言ったところだ。ロードバイクと比較してしまうと重い車両になるが、e-bikeとしてはかなり軽い部類に入る。ブレーキは、前後ともディスクを採用しているので、万が一天候が急変しても安心だ(リムブレーキに比べ、ディスクは制動力に優れているため)。

今回使用するスペシャライズドTURBOe-bikeシリーズの「CREO SL E5 COMP」。

愛機のロードバイクはミドルレンジクラス

今回、比較のために走らせた私のロードバイクも、少しだけ紹介。スコットというスイスのメーカーで、主にスキー用品と自転車用品を扱っている。以前、スキーをやっていた頃にスコットのストックを使用していたこともあり、名前はよく知っていた。2017年に縁があって、今の愛機となっている。車種は「Foil2.0」という、ミドルレンジクラスのモデルだ。ちょこちょことカスマイズしてきており、車両重量は7キロ台前半と、ロードバイクとしては微妙な重さではあるが、私の場合、レースに出ることもなく、のんびりサイクリング、時々イベントに参加する、といった使用が中心なので、この車両で十分満足している。

写真手前が私の愛機「スコットFoir2.0」。ちなみに、写真奥は妻の車両で「スコットアディクト10」。

e-bikeとロードバイクの登り比べ

まずはe-bikeからスタート

早速、走行開始だ。今回は、e-bikeとロードバイクの走行を比較する企画なので、同じルートをそれぞれ1回ずつ走行する。つまり富士山5合目までの道を、1日に2往復するわけだ。我ながら酔狂。

1年ぶりの富士山という事もあり、また、久しぶりの外でのライドなので、まずは足慣らしでe-bikeからスタートしてみた。足慣らしというよりは、ただ、e-bikeで走ってみたいという、はやる気持ちを抑えきれなかっただけなのだが。何はともあれ、準備をしていざ出発。

ギアなどの操作は、普段ロードバイクに乗っているから、特に問題なく使用できる。ブレーキも安心感がある。気になるのは、バッテリーの持ちだけだ。平地や緩めの坂が少しある程度の市街地なら、そこまで心配していないのだが、ヒルクライムなので、おそらく最初からターボモード(一番バッテリーが消費するモード)一択。となると、5合目まで24キロ程度とはいえ、バッテリーが最後まで持つかが心配だ。富士スバルラインは、スタートとなる料金所までも結構登りが続く。

この料金所はクルマも利用するので、後ろからクルマが来ないことを確認したうえで、200円を支払ってゲートインする。

走り始めてすぐ感じた想像以上のアシスト力

料金所で通行料の200円を支払い、走行開始するも、1合目までが結構キツイ。そのため、1合目まではやはりターボモードで走行。距離にして約5.7キロを18分で走行できた。このタイムは、スピードにすると、平均で時速19キロにもなる計算だ。最大勾配で約8%の勾配があったことを考えると、ターボモードのアシスト力はかなりスゴイ!ただし、バッテリーの残量を表すメモリが早くも1メモリ減っていた。ということで、1合目からは、中間のモードである「スポーツ」に切り替えて走行することにした。

e-bikeとロードバイクとの疲労度の比較

ここからは、同じ地点で撮影したe-bikeとロードバイクの写真を比較してみる。左がe-bike、右がロードバイクだ。

まずは料金所から1合目まで走ったところ。写真ではわかりづらいが、ロードバイク(右)は疲労困憊している。

写真左のe-bikeはターボモードだったこともあり、汗ひとつかいていない.。(e-bikeは18分、ロードバイクは29分)

1合目から2合目の区間は、比較的勾配が緩いところが多く、ロードバイクでの走行タイムは、e-bikeに遅れること1分程度と、タイム差はほとんど生じなかった。とはいえ、この時点でロードバイクでのヒルクライムは、相当に体力を消耗していた。

相変わらずe-bike(左)は、涼しげな表情だ(わかりにくいが)。(e-bikeは13分、ロードバイクは14分)

2合目以降は、e-bikeのパワー発揮!ロードバイクとのタイム差がかなり開いた。

2合目からのロードバイクでのヒルクライムでは、体中が悲鳴を上げ始める。(e-bikeは14分、ロードバイクは18分)

4合目での写真も、相変わらず左のe-bikeの表情には余裕がある。

ロードバイク(右)では疲労がピークに。(e-bikeは20分、ロードバイクは30分)

ゴールの様子を写真で見てみよう。左のe-bikeは疲れ知らずで楽々ゴール。一方、写真右のロードバイクは、もう顔を上げる力もないほど疲弊している。

ロードバイク(写真右)で登り切ったあとは脚がプルプルなのだ。(e-bikeは23分、ロードバイクは33分)

ゴール地点での記念撮影。写真左のe-bikeは、とても涼しげな表情だ。汗もかかなかった。一方、写真右のロードバイクは疲れてはいるが、自力で登り切った達成感がにじみ出ている(正直なところ、「あとは下るだけ!」とホッとしている)。

トータルタイムでは、e-bikeは1時間29分、ロードバイクは2時間5分。

区間タイムと平均速度を比較してみる

e-bikeでのタイム表

ロードバイクでのタイム表

e-bikeでヒルクライムした感想

ターボモードのアシスト力は、「すごい」の一言に尽きる。キツイ勾配もほとんど感じることなく、走行ができてしまった。一方、スポーツモードやエコモードは、自然な感じで優しくアシストをしてくれるため、自分で自転車を漕いでいる感覚も十分味わうことができる。平均速度は落ちてしまうが、自力で登っている実感を伴った走行をしたいのであれば、スポーツモードやエコモードでヒルクライムするのもアリだと思った。

まとめ

景色を楽しめるヒルクライムは感動的

貧脚な私では、到底e-bikeにかなうわけもなく、どこの区間タイムも勝ることはできなかった。しかし、1合目から2合目までは比較的勾配が緩いこともあり、タイム差は1分程度と僅差だった。2合目以降は、体力が底をつき、タイム差が顕著に出てしまったが、4%以下の勾配であればロードバイクの方が早く走れることがわかった。これは重量の違いによるものだ。e-bikeはロードバイクの2倍ほどの重さがあるため、勾配が緩やかなところであれば、ロードバイクの方が速度の乗りがよい。もちろん、勾配がきつくなればなるほどe-bikeに有利なので、ヒルクライムでは、やはりe-bikeに軍配が上がる結果となった。

今回、これまで経験のしたことのない速度域でヒルクライムができたことは、貴重な体験だった。自走では、ただひたすら登ることに集中するのだが、e-bikeでは周りに目を向ける余裕があり、景色を楽しむことだってできてしまう。これまで、そんなヒルクライムをしたことがなかった私には、今回のe-bikeでのサイクリングはとても感動的だった。ただ、ゴールまで走り切ると、どことなく物足りなく感じたのも事実だ。通常、走行中は苦しくて、「もぉ登りたくない」「早く帰りたい」など、かなりネガティブになってしまうのだが、ゴールすると達成感があるのだ。今回のe-bikeでのヒルクライムには、苦しさがなかった代わりに達成感も少なく、物足りなさを感じたのかもしれない。とはいえ、安全に楽しく、これまで行けなかった場所にも抵抗なく行けるとしたら、e-bikeはとても頼もしい存在になる。今度は、マウンテンバイクタイプのe-bikeで林道を走って、自然を満喫してみたいものだ。

最後に

今回、e-bikeの貸し出し協力をして頂いたのは、スペシャライズド銀座店で、e-bikeをメインに販売をしている店舗になる。興味のある方は、覗いてみて欲しい。

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