1月20日、ガーミンジャパンから、スマートウォッチ「fenix」シリーズのフラグシップモデルとなる「fenix 7」が発売された。「fenix」シリーズは、2012年に発売を開始して以来、この新モルで6代目になる。今回私が注目したのは「リアルタイムスタミナ」機能で、自身の潜在的なスタミナ量を可視化できる機能になる。本当に、この「リアルタイムスタミナ」機能は頼りになるのか、実際に「fenix 7」を使用できる機会を得たので、その使い勝手を含めてお伝えできればと思う。
ガーミンについて
ガーミンは、アメリカで1989年に創業されたGPS及び情報通信端末機器のメーカーだ。製造されるGPS機器の多くは、航空、船舶、自動車に使用されており、その精度の高さは折り紙付きで、空軍の戦闘機などにも使用されるほどだ。
GPSの精度の高さは、航空、船舶、車以外にも大いに役に立ち、登山用のGPSコンパスから、ランニング、自転車、ゴルフなどのアクティビティに至るまで、実に様々な用途に使用されており、多くのユーザーから絶大なる信頼を得ている。
「fenix」シリーズについて
「fenix」シリーズは、ガーミンのウェアラブルデバイスの中でもフラグシップモデルに位置付けられ、新しいモデルが登場するたびに最先端のテクノロジーを搭載して登場してくる。2012年に発表された「fenix」シリーズも今回の新モデルで6代目となる。2013年に発売された「fenix J」は、スマートウォッチというよりは、高度計、気圧計などを搭載したGPSウォッチという印象が強かったのを覚えている。ただし、初代モデルから、スマートフォンと連係し、アプリ(ガーミンコネクト)によるデータの管理ができたことを考えると、スマートウォッチと言っても間違えではなかったと思われる。その後「fenix」シリーズも「fenix 2J」「fenix 3J」「fenix 5」「fenix 6」と変遷し、今回「fenix 7」が新たに加わった。
新作の「fenix 7」について
およそ2年半ぶりとなる「fenix」シリーズの新作として「fenix 7」シリーズが発売された。今回のモデルでは、新たにタッチスクリーンが採用されるなど、より操作性が向上しており、タッチスクリーンによる直感的な操作にプラスしてボタン操作による確実な操作を可能としている。
また、ソーラー充電機能も「fenix 6」同様搭載されており、太陽電池面積の増大や、より高性能な導電性素材を使用することにより、約2倍(「fenix 6」シリーズと比べて)の稼働時間を実現。さらに、プリロードされた日本詳細地形図や世界のスキー場、ゴルフマップコースに加え、海外大陸地図を無料でダウンロードすることができるなど、さまざまな機能がアップデートされた、ハイエンドモデルに相応しい内容となっている。
GPS機能については、新モデルから、GNSS、GLONASS、Galileo、みちびきに対応しており、マルチバンドで衛星信号を受信できるので、正確な測位と、測位までのスピードが格段に向上しているのが特徴だ。
使用したモデルは「fenix 7X Sapphire Dual Power」
今回実際に使用したモデルは、新作の「fenix 7」シリーズの中から最上位モデルとなる「fenix 7X Sapphire Dual Power」(以下fenix 7X)というモデルで、機能のみならず迫力のある存在感も存分に楽しめるモデルとなっていた。「fenix 7」のシリーズ構成は3ラインアップからなり、そのラインアップは「fenix 7X」(13万7500~17万500円)、「fenix 7」(9万3500~15万4000円)、「fenix7S」(9万3500~12万1000円)となっている。「fenix 7X」が他のモデルと大きく違う点は、時計本体の大きさで、一回り大きくなっており、それに伴い使用されるソーラー充電パネルも大きく、駆動時間が、「fenix7」及び「fenix S」と比べても大幅に伸びている。
実際に使用してみる
早速、新モデルの「fenix 7 X」を使用してみる。まずは、本体を起動させ、スマホのアプリ(ガーミンコネクト)と同期させることから始めた。
実は、私、今回の「fenix 7」を試すまでは、2世代前の「fenix 5」を使用していたこともあり、使い方はある程度分かっていた。なので設定自体はとても簡単に済ますことができた。
2世代前のモデルとの比較
日常使いとして私が使用している「fenix 5」は、2世代前のモデルになり、2017年に発売されたモデルだ。「fenix 5」は、5年経過した今でも十分に使えるモデル(継続販売中)だが、それ以上に今回の「fenix 7」シリーズはあらゆる面で進化している。
パッと見たところ、外観上の違いはウォッチ面の大きさだろう。表示面積が拡大したことと、タッチスクリーンの採用により、とても見易くなっている上操作性がすこぶる快適に行える。全体的に大きくなっているのにも関わらず、「fenix 5」と比べても重さはほぼ同じ。むしろ、チタンを使用している「fenix 7X」の方が、ベルトを外した状態で計測してみると3g程度軽くなっているから、腕につけた状態では、重心位置が変わることからだいぶ軽く感じる。
ちなみに、「fenix 5」シリーズも、「fenix 5X」「fenix 5」「fenix 5S」からなり、私の使用しているモデルは「fenix 5」になる。「fenix 5X」とは時計サイズも違い、「fenix 5X」と「fenix 7X」との重さ比較であれば、およそ10g近くも差があり、チタン素材を使用している「fenix 7X」は、その恩恵をかなり受けていると思われる。
GPSの測位が早い!
まず使い始めて感じたことは、やはりGPSの測位スピードだろう。「fenix 5」のGPS測位にかかる時間は、お世辞にも早いとは言えない。ビルの谷間など、障害物があると測位までに結構時間を要する。なので、自分の位置を取得したい場合などは、可能な限り周りに障害物がない場所で測位を行なわなければならない。
一方「fenix 7X」では、測位にかかる時間が極めて短時間で済む。周囲に障害物があると、測位スピードは落ちてはしまうものの、確実に即位してくれる。周りに障害物がなければ、瞬時に測位してくれるので、地図表示で自分の位置を示すときにとても頼もしい存在だといえる。
高精細な地図表示
今回、「fenix 7」を試すにあたり、自転車で都内を軽く40キロ程テスト走行をしてみたが、GPSの測位が早いことと地図表示がわかり易いことが相まって、初めて走行する道をセレクトしても(あえて初めての道をセレクト)、迷うことなく走行することができた。これは、例えば郊外に走りに行った時など、初めての道でも大きく迷うことなく、安心して走行することに繋がるので、より充実したライドを楽しむことができるだろう。
標準で搭載される地図は、「日本詳細地形図」、「スキーマップ」「ゴルフマップ」の3つ。「日本詳細地形図」は、国土地理院承認の等高線入りの地形図データで、地形図のデータに加えて、市街地でも十分に使える詳細な道路情報も表示される。「スキーマップ」は、世界中にある2000近くのスキー場とそのゲレンデの難易度評価を確認することができる。「ゴルフマップ」は、これも世界中の4万2000ものコースを表示することができる。地図データは、Wi-Fi環境下であれば、PCを仲介することなく最新の海外大陸地図(11大陸)をダウンロードすることも可能だ。
心拍計について
スマートウォッチの多くは、心拍を計測できるように光学式の心拍計センサーが時計本体の裏側に設置されている。このセンサーで、腕に流れる血液に信号を送り反射した速度によって心拍数を計測するのだが、「fenix 5」ではこのセンサーが3つだったのに対し、「fenix 7X」では6つに増やすことで、より正確な心拍数を計測することができるようになっている。
アクティビティで使用するさい、この心拍系は重要な役割を果たす。自分のペースをコンスタントに守るためにも、心拍数によるコントロールが大事になる。ここぞという時には、どの程度まで心拍数を上げて自分を追い込むなど、ある程度体で覚えているとはいえ、数字により可視化されることで、より正確なコントローㇽが可能となる。そういう意味においても、心拍数を計るセンサーが増えたことは、使用する者にとっては、嬉しいことだと思われる。
専用のアプリを使えば
ガーミンの専用アプリ「ガーミンコネクト」を使えば、スマホやPCでアクティビティのデータや、走行ルートの確認をすることができる。また、アクティビティにはそれぞれチャレンジ項目が設定されており、チャレンジに参加すると、クリアするごとにバッジを入手することができる。単に、アクティビティで詳細なデータを得るだけでなく、いろいろなチャレンジに参加していろいろなバッジを入手するなど、ゲーム性も兼ね備えているので、トレーニングも楽しく行えそうだ。
注目の機能
「fenix 7」において、私が一番注目した機能が、「リアルタイムスタミナ」機能だ。これは、自身のスタミナを可視化することができる機能で、計測方法は、まず心拍数記録機能をオンにする。続いてVo2 Max(最大酸素摂取量)の測定(これも「fenix 7」で計測できる)が完了したら、この機能が使えるようになる。ただし、正確なスタミナの数値が表示されるまでには、何回かデータを取る必要があり、そのデータを元にして正確な数値が表示されるようになる。
この機能は、アクティビティを行う上で、とても助かる機能だ。自分自身のスタミナは自分が一番分かっているはずなのに、私の様な素人は、残りのスタミナを見誤りがちだ。それもそのはず、毎日トレーニングしているわけでもないし、ある程度の判断はできたとしても、実はまだスタミナが残っているとか、その逆に、既にスタミナを使い果たしてしまっているなど、なかなか正確にコントロールすることができない。もし、このコントロールができたのであれば、持っている力を余すことなく使い切ることもできるだろうし、無理することなく、安全にアクティビティを楽しむことだってできる。残りのスタミナが可視化できることは、ハンガーノックなどの状態になることからも救われることから、とても重要な機能の一つだと言える。
実際に今回「fenix 7」でこのスタミナ機能を試してみたのだが、天候に恵まれず外を走ることができた僅か1日で使用したため、正確な数字を確認することは出来なかったのだが、「潜在的なスタミナ」の数値だけを確認しながら都内を走行してみた。都内なので、ストップアンドゴーの繰り返しの為、僅かな距離でもそこそこ体力を消耗する。しかし、その体力の消耗度合いの表示は、なかなかリアルなもので、「潜在的なスタミナ」の数字を確認しながらの走行は、ペース配分を行う上で、とても便利に使うことができた。私の様なサンデーサイクリストやランナーの方には、是非とも使ってほしい機能の一つだ。現状では、ランニングとサイクリングのみの使用になるが、今後は、より使えるアクティビティの幅が広がるのではないかと思われる。
その他の機能として
「fenix 7X」には、フラッシュライト機能が新たに搭載されている。これは、時計の上部に埋め込まれLEDが3段階で明るさを変えることができるもので、何かを照らすなどの使用用途以外に、夜間のランニング時にも、自分の位置を示すことができるから、より安全にランニングをすることができる。また、REDモードを点灯/点滅させるSOSMode機能を搭載しており、赤色を点滅させるだけでなく、使用者や緊急連絡先に関する情報を時計に表示させることもできる。
実際に使用した感想
今回試した新モデル「fenix 7X」は、私の使用している前々モデル「fenix5」からだいぶ進化していた。GPSの測位スピードをはじめ、スクリーンタッチの操作が可能になり、心拍数のセンサーや、地図表示、「リアルタイムスタミナ」など、さまざま機能が、"この機能がほしかったんだ!"と思わせる機能ばかりで、私的には、喉から手が出るほどに欲しくなるスマートウォッチになっていた。最も使ってみたい機能は、やはり「リアルタイムスタミナ」機能で、サンデーサイクリストにとっては、自分のペース配分を理解することのできる、とても貴重なアイテムになり得ると思えた。
過去の記事でもお伝えしたことがあったかと思うが、私、自転車(ロードバイク)を趣味としている。ロードバイクでは、単に車両を走らせるだけではなく、いろいろな走行データを取るための機材を取り付けている。例えば、走行スピード、路面の傾斜角度、心拍数や、ケイデンス(ペダルを回す速さ・回転数/分)走行時間など。これらのデータを計測し表示する機器をサイクルコンピューター(サイコン)といい、サイコンにはGPSが搭載されていることから、地図表示もされる。これらの機器はガーミンのアイテムが使い勝手が良いことからだいぶ前から使用している。
今回、改めてガーミンのスマートウォッチを使ってみて感じたことは、やはりGPS機器を得意とするメーカーなのだということだった。サイコン同様、位置情報の精度は高く、また、欲しい情報が可視化されることに、とても安心感を得ることができる。スマートウォッチとサイコンをリンクさせると、心拍数もサイコンに表示することができる。いずれは、このサイコンにも、リアルタイムスタミナが表示されるようになれば、これまで以上にサイクリングが安全にそしてより楽しいモノになるだろうと確信した。新機能の「リアルタイムスタミナ」に善福の信頼を置くというわけではないものの、基準となる数値を把握する上では、とても便利な機能だと思えたし、実際のライドにおいて、残りのスタミナが可視化されることによる安心感は、想像以上にあると思えた。
まとめ
スマートウォッチの進化が止まらない。ガーミンのGPSスマートウォッチは、他のスマートウォッチとは趣が違い、どちらかというとスポーツ指向の強いモデルというイメージだが、そのイメージを踏襲しつつ、スマホとのリンクによって、メールの確認や、スケジュールの確認なども行え、さらには、交通系ICカードにも対応しているから、電車に乗るのも買い物をするのも簡単におこなうことができるなど、その機能は、多岐に渡る。
ちなみに、音楽データも保存できるうえ、音楽配信サービスにも対応するなど、この時計が一台あれば十分のようだ。
今回、新作の「fenix 7X」を試してみて、改めて、新しいモデルの魅力を実感することができた。おいそれと購入できる価格帯のアイテムではないが、自転車を増車することから考えれば、まだ現実的な価格なので、真剣に購入を考えてみたいと密かに思ってる・・・。
ソーラー充電 パワーサファイアガラス:透明度が高く、文字盤も美しいだけでなく、大きい画面でソーラー充電します。 / フラッシュライト機能:足元を照らすライトを内蔵。夜間のランニングや登山の際に重宝します。
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