Wi-Fi接続に欠かせないのがWi-Fiルーター。ここでは製品選びのポイントを解説するとともに、おすすめのWi-Fi 6ルーターをクラス別に紹介する。
Wi-Fiルーター選びのポイントはズバリこれ!
Wi-Fiは、規格が新しいほど最大通信速度が向上し、最新の「Wi-Fi6」では、最大通信速度は理論値で9608Mbps(=約9.6Gbps)を誇り、一つ前の世代の規格「Wi-Fi5」の約1.4倍に達する。
ポイント(1)
Wi-Fi規格
「Wi-Fi 6」対応モデルが第一の選択肢。「Wi-Fi 5」はコストを抑えたいとき
現在、市場に出回っているWi-Fi規格は新しい順に「6・5・4」の3種類がある。基本的にWi-Fi規格が新しいほど最大通信速度が速くなるほか、動作の安定性や機能性も向上。長い目で見れば性能面に優れるWi-Fi 6ルーターを選んだほうが無難だ。また、同じWi-Fi 6でも最大通信速度は異なっており、ハイエンド機とエントリー機では4倍もの差がある。
●Wi-Fi 6ルーターの通信速度は3種類
NECのWi-Fi 6ルーターのラインアップは、最大通信速度で3タイプに分かれる。他社もほぼ同様の構成が多い。
ただし、これはあくまで理論値であり、現状、製品化されたWi-Fi6ルーターでは最大通信速度は4804Mbpsにとどまるほか、アンテナの数などによっても速度は異なってくる。それゆえ、規格としては古いはずのWi-Fi5ルーターのハイエンドモデルが、Wi-Fi6ルーターのエントリーモデルの速度を上回るケースも多い。そこで、割安感のあるWi-Fi5のハイエンドルーターをねらう手もあるが、Wi-Fi6では安定性や機能性など、通信速度以外にもさまざまなアドバンテージがある。予算に余裕があるのなら、Wi-Fi6ルーターを購入するのが鉄板だろう。
ポイント(2)
最大通信速度
同じ規格でも機種により速度は異なる。アンテナ本数や帯域幅にも注意
Wi-Fi規格には最大通信速度が設定されているが、実際の製品では速度はまちまち。というのも、規格が同じでもアンテナの搭載数などによってクラス分けがなされているからだ。例えば、Wi-Fi 6ルーターの最大4803Mbpsのハイエンドモデルはアンテナ8本、1201Mbpsのエントリーはアンテナ2本といった具合にアンテナの本数も違いがある。
●アンテナを8本搭載の製品もある!
TP-Linkの「Archer AX90」は、8本の外部アンテナを備えたハイエンドWi-Fi 6ルーターで、最大通信速度は4804Mbps。
TP-Link
Archer AX90
最大通信速度とアンテナの本数に関係がある
ポイント(3)
つながりやすさ
子機の数、家の作りや広さに注目。カバーしきれない場合はトライバンドやメッシュを検討
Wi-Fiの電波は、電波干渉や部屋の構造などに影響を受けやすい。しかし、二つの5Gヘルツ帯と2.4Gヘルツ帯に対応した「トライバンド」ルーターなら、こうした影響を抑えられる。また、2階建て家屋など広範囲をカバーしたいなら、複数機器の連係で隅々まで電波を届けるメッシュWi-Fi対応ルーターもおすすめだ。
また、使い勝手を重視するなら、アンテナが外付けか内蔵かや、有線LAN端子の最大通信速度、機能性などもしっかりとチェックしておきたい。
●メッシュやトライバンドに注目
電波のつながりやすさを重視するなら、メッシュWi-Fiやトライバンドに対応したルーターを検討するといい。
ポイント(4)
設置性・デザイン
本体サイズの違いやアンテナが「外付け」か「内蔵」かで設置性は大きく異なる
Wi-Fiルーターはサイズの差が意外に大きいので注意したい。また、アンテナは大別すると「外付け」「内蔵」の2種類があり、外付けタイプはアンテナの角度で電波を飛ばす方向をある程度は調節可能。ただし、アンテナが出っ張るぶん、場所を取る点には注意。内蔵タイプは電波の向きは調節できないが、そのぶん筐体がコンパクトで設置がしやすい。
●意外にサイズの差が大きい
バッファローの例では、「WSR-1500AX2S」に比べ、「WXR-6000AX12S」は横幅が本体だけで倍以上あり、アンテナを広げるとさらに設置スペースが必要となる。
ポイント(5)
有線LAN・WAN
WAN(インターネット接続)端子が10Gbpsの超高速に対応するモデルが増加中
Wi-Fiルーターには有線LAN端子も備えられている。エントリー機では通信速度が1Gbpsの場合がほとんどだが、一部のハイエンドモデルでは2.5~10Gbpsの高速通信に対応。その場合も現状では、ONUなどとつなぐためのWAN(機種によってはINTERNET)端子のみの対応が多いが、2Gbps以上の光回線を利用しているのなら、要チェックだ。
●10Gbpsの超高速端子に注目!
10Gbpsや2.5Gbpsといった超高速の有線LANは、あっても1基の場合がほとんど。そのほかは一般的な1Gbpsとなる。
ポイント(6)
機能性
高速化が期待できるIPv6 IPoE対応やセキュリティ性能など機能性にも注目
最新ルーターでチェックしておきたいのが、「IPv6 IPoE」。インターネットの通信方式を従来の「IPv6 PPPoE」から切り替えることで、さらなる高速化を期待できる。さらに、Wi-Fi搭載家電をサイバー攻撃から守ったり、家族のネット利用を管理したりできるセキュリティ機能を搭載したモデルも増えている。こうした機能性にも注目したい。
●ネットワーク全体を守る機能も
バッファローの「ネット脅威ブロッカー」など、ルーターにつながっている機器全体を守る機能の搭載が増えている。
■解説/篠原義夫(ガジェットライター)
※この記事は『今すぐつながる!Wi-Fi完全マスター塾』(マキノ出版)に掲載されています。