【コーヒーの器具別抽出ガイド(1)】定番の「台形ドリッパー」の特徴と使い方 カリタ式とメリタ式の違いは?

暮らし・生活・ペット

台形ドリッパーは、湯とコーヒー粉が触れている時間が長いことから、誰が淹れても安定した味に仕上げられ、初心者でも気軽においしく淹れられる。「カリタ式」と「メリタ式」の違いは、まずコーヒーが落ちる穴の数。一見大きな違いはないように思えるが、それぞれに利点があるのだ。

[別記事:【コーヒー豆の挽き方】直前にミルで挽くのがベスト!電動ミルと手挽きミルの違い→]

誰でもおいしく淹れられる定番のドリッパー

ドリッパーの中でも最もポピュラーなタイプが、この「台形ドリッパー」。

底辺があるのでドリッパー内に湯が留まりやすく、湯とコーヒー粉が触れている時間が長いことから、誰が淹れても安定した味に仕上げられるのが特徴だ。淹れる人の技術の差が出にくいので、ハンドドリップに慣れていない初心者でも、気軽においしく淹れられる。

台形ドリッパーはさまざまなメーカーから販売されているが、それぞれに特徴が異なる。コーヒーが落ちる穴の数が「一つ穴」のものや「三つ穴」のものがあるだけでなく、リブ(※)の高さがあるものや低いもの、中央付近で終わっているものなどさまざまだ。

※リブ……ドリッパーの内壁に設けられている線状の突起。この突起の長さやパターンがフィルターとドリッパーとの間に隙間を作り、抽出に影響を与える。

今回使用したのは、ボンマックの陶器製台形ドリッパー。一つ穴でリブの位置が低いのが特徴だ。陶器製で蓄熱性が高いため、一度湯煎して温まったら冷めにくく、一定の味わいで抽出することができる。

ドリッパー下部には、のぞき窓がある。サーバーが透明なものなら、抽出されたコーヒーの量がわかるが、マグカップなどに載せて抽出する場合、液面を見ることができない。そんなときのぞき窓があれば、どのくらい淹れられているのかがわかるので便利だ。

ボンマック
扇型コーヒードリッパー 1~2杯用 CD-1

初めてでも味がブレずに淹れられるオーソドックスなスタイルの台形ドリッパー
実売価格例:1210円

一度温めると冷めにくい素材で作られた扇型磁器製の一つ穴ドリッパー。のぞき窓付きで、上から液面が見える作りなので、マグカップなどで淹れるときに便利。

小山勝宝 講師

ボンマックのドリッパーは、一つ穴でリブが上までないことが特徴です。コーヒーの落ちるスピードが比較的遅めなので、3投式でじっくりと淹れます。湯を注いだときにドリッパー内の液面が上がりすぎないように湯量を調整し、一定の高さをキープするのが、おいしく淹れるポイントです。

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湯温 93℃
湯量 160cc
粉砕 中細挽き
豆量 12g
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今回は1杯分のコーヒーを抽出する。必要な器具をそろえたら、まずドリッパーをサーバーの上にセットする。

ドリッパーに湯を注ぎ、ドリッパーとサーバーを温める。温まったらお湯をカップに移し、カップも温めておく。

フィルター底側の接着部分を折り、次に側面の接着部分を底側と反対側に折る。側面はドリッパーの傾斜に合わせる。

ドリッパーをセットしたサーバーをスケールに置き、ドリッパーにフィルターをセット。コーヒー粉が12gになるように入れる。

入れたコーヒー粉が山状になっているので、ドリッパーを左右に振って平らにならす。山状のまま注ぐと抽出にムラが出る。

コーヒー粉に少量の湯を注ぎ、粉全体に湯を含ませて蒸らしていく。湯がフィルターに触れないよう円を描くのがポイント。

蒸らしの湯量は約20g。スケールを確認しながら20秒ほど蒸らすと、コーヒーの成分が抽出されやすくなる。湯の温度は約93℃。

蒸らし終えたら、1湯目を約80g注ぐ。湯は中心から小さい円を描くようにゆっくり注ぐのがポイント。

1投目で膨らんだコーヒー粉の高さが1/3ほど減ったら2湯目を注ぐ。2投目に注ぐ湯量は約40g。

2投目で膨らんだコーヒー粉の高さが1/3ほど減ったら3投目を約20g注ぐ。注ぎ終えたらコーヒーが落ちきるまで置く。

蒸らしから3投目まで、合計で約160gの湯を注ぐ。湯はコーヒー粉に吸収されるので、出来上がりのコーヒーは約140g。

3投式でコーヒーの成分がしっかり出る抽出方法なので、コクをしっかりと感じる濃厚な味わいのコーヒーが出来上がる。

超定番ドリッパー、カリタ式とメリタ式のドリップ方法は?

台形ドリッパーといえば「カリタ式」と「メリタ式」を忘れてはならない。

1958年に日本で創業したカリタのドリッパーの特徴は、コーヒーを抽出する穴に「三つ穴」方式を採用していること。そのことから総じて三つ穴式のドリッパーは「カリタ式」とも呼ばれている。リブの高さが上まであり、スムーズに抽出されるのが特徴だ。

一方、1908年にドイツで創業されたメリタのドリッパーは、世界初のペーパードリップ方式として知られている。その特徴は「一つ穴」方式で、湯量と時間はドリッパーがコントロールしてくれること。湯を注ぐだけで、誰でも安定してコーヒーを抽出できるのが「メリタ式」の特徴だ。

一見すると同じ台形のデザインで、大きな違いはないように思えるが、それぞれに抽出方法が異なる。その違いを抽出の手順を追って紹介していくことにしよう。

カリタ
102ーD 2〜4人用

実売価格例:440円

プラスチック製のドリッパー。安価なので初心者でも気軽に購入でき、落としても割れないため手軽に扱えるのがポイント。また透明なので、外側から湯の回りぐあいも観察できる。

コーヒーを抽出する底辺の穴が「三つ穴」なのがカリタ式の特徴。コーヒーの雑味が出る前に、おいしさだけを抽出する。

メリタ
アロマフィルター AF-M 1×2 2~4人用

実売価格例:616円

一つ穴のプラスチック製ドリッパー。穴が底部より少し高い位置に開いているのが特徴。しっかりと蒸らしができるため、深いアロマを引き出すことができる。

メリタのドリッパーは、底辺に開いた穴が「一つ穴」なのが特徴。これにより、一定の湯量と時間をコントロールすることができる。

蒸らし後に数回に分けて湯を「の」の字に回し入れるカリタ式

フィルターに淹れたい杯数分のコーヒー粉を入れる。カリタの場合、1杯分はコーヒー粉が約10gで、抽出量が120g。

コーヒー粉を平らにならしたら、粉と同量の湯をゆっくりと注ぐ。粉全体に行きわたるよう均一に注いだら約30秒蒸らす。

30秒たったら、ドリッパーの中心から「の」の字を書くように3周ほど、湯を載せるように丁寧に注いでいく。

コーヒー粉の膨らみが徐々にへこんでいったら2投目を注ぐ。注ぐ湯量は中心から「の」の字を書くようにゆっくりと2周ほど。

2投目と同様に、膨らみがへこんでいったら3投目を丁寧に注ぐ。必要であれば4投目も同様に行う。

杯数分の抽出量に達したら、ドリッパー内に湯が残っていてもドリッパーを外す。これでコーヒー抽出が完了。

蒸らし後に一定量まで一度にムラなくお湯を投入するメリタ式

ドリッパーに、淹れたい杯数分のコーヒー粉を入れる。メリタの場合、1杯分はコーヒー粉約8gで、抽出量は125gが目安。

コーヒー粉を平らにならしたら、粉全体を濡らす程度に湯を丁寧に注いで蒸らす。コーヒー粉が膨らんだら蒸らし完了。

メリタ式はこの蒸らしの時間によって、成分抽出に必要な時間をコントロールできる。好みによって蒸らし時間を調整しよう。

蒸らしが終わったら、ドリッパーの杯数分の目盛りまで一度にムラなく湯を注ぐ。中心から注ぎ入れればOKだ。

目盛りまで湯を注いだら、あとはドリッパーが一定の時間でコーヒーを抽出するので、何もする必要はない。

コーヒーがサーバーに落ちたら抽出完了だが、サーバーに目的の分量がたまった時点でドリッパーを外してもかまわない。

メリタのクリアフィルターとアロマフィルターの違いは?

クリアフィルターは、メリタの伝統的な一つ穴。対してアロマフィルターは底より少し高い位置に穴があるため湯が底にたまり、しっかりと蒸らしができる。また抽出後は最後の湯が底に残るので、雑味が抽出されずに済む。

メリタ
クリアフィルター CF-T 1×2
実売価格例:616円

メリタの110年以上の歴史が作り上げた伝統的な一つ穴タイプ。一度に定量の湯を注ぐだけでおいしいコーヒーが淹れられるので、ハンドドリップ初心者でも簡単にドリップを楽しめる。

※製品の価格は、特別に表記のないかぎり、消費税込みの総額です。
※製品の仕様や価格は制作時のもので、その後、諸事情により変更されている場合があります。
※コーヒーの抽出方法は、解説内容に合わせた使いこなしの一例であり、器具メーカーの公式な使用手順とは沿わない場合があります。

■イラスト 田村 梓(ten-bin)
※この記事は『自宅で楽しむおいしい珈琲の淹れ方』(マキノ出版)に掲載されています。

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