【試乗レビュー】パナソニックの最新e-bikeで本格的なトレイルコースを走行してみた!

レビュー

パナソニックの自転車製造販売をしている、パナソニックサイクルテックから、2022年4月8日に、新ブランド「XEALT(ゼオルト)」の最新e-bike(スポーツタイプの電動アシスト自転車)として「M5」を発売した。今回、発売前に試乗する機会を得たのて、その感想をお伝えできればと思う。

新ブランド「XEALT」について

パナソニックの自転車製造販売をしているパナソニックサイクルテックが、新たなe-bikeブランドとして「XEALT(ゼオルト)」を立ち上げた。「XEALT」は、「Experience by E-BIKE Actualize Lively Time」の略で、「あなたの生活の中に、ココロ踊る時間を創る」という造語とのこと。つまり、「XEALT」のe-bikeを通して、生活の中にも、ワクワクするような時間を楽しもう、というそんな意味あいのブランド名になるようだ。

「XEALT」ブランド第一弾製品となる「M5」について

「XEALT M5」は、2018年に発売された「XM2」の後継モデルで、日本人の体型に合うサイズとして27.5インチのホイールサイズをセレクトしたe-MTB(マウンテンバイク)だ。欧州市場で評価を受けたアシストユニット「GXドライブユニット」を日本の規制に合わせた仕様にチューニングして搭載。1充電当たりで約3割程度、走行距離が延びるなど、さまざまな部分がブラッシュアップされたモデルになっている。

XEALT M5(写真提供:パナソニックサイクルテック)

大きく変わった見た目

今回、目を引くのが、何と言ってもバッテリーをフレーム(ダウンチューブ)と一体化させたデザインを採用したことだろう。海外のe-bikeは、多くのモデルが、フレームとバッテリーを一体化させたデザインを採用しており、見た目がe-bikeとは思えないスタイリッシュなデザインとなっている車両が多い。しかし日本のモデルは、いかにも、「バッテリーを取り付けた電動アシスト自転車」、といった作りのe-bikeが多く、どうにも受け入れ難いところがあった。しかし、ここにきて今回発売された「XEALT M5」を目の当たりにした瞬間、「これは格好いい!」と思えるほど、スタイリッシュに生まれ変わっていた。

写真左「XM2」のダウンチューブに乗っかっているような形状から、写真右「XEALT M5」のようにダウンチューブと一体化させたことで、かなりスタイリッシュな形状に変更されている。(写真提供:パナソニックサイクルテック)

見た目だけではなく実用面も向上

バッテリーとフレームを一体化させたスタイリッシュなフレーム以外にも、使いやすくするために独特なフレーム形状を採用している。具体的には、トップチューブの形状がヘッドチューブからからシートチューブ側に向かって、スローピング形状を強めたデザインになっており、このフレーム形状にすることで、身長の低い人でも、乗り降りがし易くなっている。また、今回からフレームサイズも2種類(360mm、420mm)展開となり、小柄な方から大柄な方まで、幅広く対応する設定となっているあたりも嬉しい。

フレームサイズは、360mmと420mmと用意しており、小柄な方から大柄な方まで幅広く対応する。(図の提供:パナソニックサイクルテック)

4種類の走行モード

搭載する走行モードは、「HIGHモード」「AUTOモード」「ECOモード」「OFFモード」の4種類。「HIGHモード」は、最もアシスト力が強いパワフルなモードとなっており、圧倒されるような急勾配の坂道でも、グイグイ走行できるモードとなっている。また、「AUTO モード」は、ペダルを踏みこむ力に応じて、最適なアシストでサポートしてくれるモードで、コーナリングやコントロールが必要な踏み込みが弱い場面では、アシスト力も弱く、急な坂道など強い踏み込みが必要な場面では、力強いアシストパワーを発揮してくれる。このモードで走行すれば、オフロードでのコントロール性が重視されているので、スポーツ走行に慣れていない人でも乗りやすいようにアシスト制御をしてくれる。ECOモードに至っては、1回の充電で長距離の走行が可能なモードで、最大で135kmもの走行が可能となっている。最後に、OFFモードは、アシストを完全にOFFにするモードで、体力に自信がある人、バッテリーの消費量を減らしたい人向けのモードとなっている。ちなみに、アシストOFFのモードでも、ライトの点灯や液晶表示をONの状態にすることができる。

日本仕様にチューニングが施された「GXドライブユニット」(写真提供:パナソニックサイクルテック)

搭載するバッテリー容量

搭載するバッテリーは、36V-13Ahの高容量リチウムイオンバッテリーを採用しており、最大で135kmのアシスト走行が可能だ。これは、前モデル「XM2」に搭載されていたバッテリー(36V-12Ah)での走行可能距離(最大で約107km)を28kmも上回っており、かなり効率の良いアシスト走行ができるようになったと言えるだろう。ちなみに、それぞれのモードでの走行可能距離は、HIGHモードで約73km、AUTOモードで約96km、ECOモードで約135kmとなっている。バッテリーを外すことなく充電することも可能だ。

バッテリーを装着したままでも充電することができる。

搭載するコンポーネント

搭載するコンポーネントはシマノ製で、外装12段の変速装置を備えている。また、ブレーキもシマノ製の油圧ディスクブレーキを採用しているから、軽いタッチでもしっかりした制動をかけることが可能だ。価格は、44万2000円と決して安くはないが、車では、なかなか行けない場所や、大自然を気軽に満喫できるアイテムだと思えば、なかなかお買い得!?かもしれない。

搭載するコンポーネントやブレーキは信頼のシマノ製を採用している。ブレーキは、油圧式となっており、タッチフィールも軽いから、操作性がとてもいい。

ドロッパーシートポストも装備
トレイルでの乗り降りや、ダウンヒル走行でのサドル高の調整がワンタッチでできるドロッパーシートポストも装備。これは、乗車したままでもハンドルに設置されているレバーを操作するだけで、サドル高の調節ができるシステムで、急な下り坂や、上り坂が現れた際に便利なシステムだ。

パナソニックサイクルテック「XEALT M5」

youtube.com

試乗会で訪れた場所

今回試乗の為に訪れた場所は、Smaile Bike Park(スマイルバイクパーク)という施設だ。この施設は、本格的なオフロードのコースを備えながらも、初心者でも十分楽しめるコースを用意するなど、だれでもが自然とアクティビティを存分に楽しめる施設となっている。場所は、東京都の西側・稲城市に位置し、最寄りの駅は小田急線の新百合ヶ丘駅になる。駅からは、タクシーで約15分程と、アクセスのよい場所にある。

試乗会場となった「スマイルパーク」(稲城市)。

試乗するバイク

試乗の前に、新車両(XEALT M5)の説明を受けたが、e-bikeやMTBに乗車するのが初めてではないので、何となくわかりつつも、なるほどと思いながら、説明員の方の話を聞いていた。ちなみに、今回の試乗会で、いろいろとコースのガイドや走り方など、基本的なことを説明してくれた方は、サイクリングインストラクターで、株式会社オレンジフィット代表の平野 由香里さんだった。この方、YouTubeやサイクルモード(日本最大のんスポーツバイクうイベント)などでもよく見かける方で、今ではe-bikeのサイクリングツアーなどを企画する「Viaggio E-Bikes」という会社の代表でもある、この業界では有名な方だ。

Viaggio E-Bikes代表の平野由香里さん。笑顔がとても素敵な方だった。

最初に試乗したバイクは「XM2」

私が最初に試乗したのは「XM2」先代モルのバイクだった。「XM2」は、操作パネルの位置や、アシストの味付けが新型とは違うらしく、その辺りを気に掛けながら試乗をスタートさせた。実際に乗り始めてみると、4年前に発売されたモデルとはいえ、2020年にマイナーチェンジを済ませているだけあって、オフロード走行も十分楽しめる仕様になっている。搭載するアシストモードは3種類の、HIGH、AUTO、ECOで、それぞれ61/75/107kmのアシスト走行が可能となっている。大きな違いは、バッテリーの設置位置と、操作パネルの位置ぐらいだろうか。ホイールのサイズやフレームのサイズには大きな違いはない。とはいえ、新車両の「M5」と比べると、サイズ展開が1サイズのみだったり、リアのギアが11速だったりと、ドロッパーシートポストを採用していないなど、この数年間の時の流れを感じずにはいられなかった。

XM2

とはいえ、先にも書いたが、実際に乗ってみると、十分に楽しめるバイクになっていた。いずれのモードも試してみたが、HIGHモードに至っては、パワー感がかなりあり、急勾配な坂道(未舗装路)でも、グイグイと後ろから押されているかのような走りを体感することができる。このパワー感は、e-bikeに乗り慣れている方であれば、堪らないパワー感で、個人的には好みの味付けだった。

操作スイッチと表示パネルが別体となっているが、操作性、視認性ともに良好だ。

次に試乗したのは「XEALT M5」

次に試乗したのは「XEALT M5」(新型車両)だ。間近で見ると、ダウンチューブとバッテリーが一体化したスッキリとした見た目から、「これ、本当にe-bikeなの?」と思うほどスタイリッシュな外観になっていた。また、「M5」から操作パネルも、ハンドルの左部分に設置されているため、操作性がとても良くなっている。

XEALT M5

実はこの操作パネル、なかなかの優れもので、カラー液晶ディスプレイを採用したことにより、視認性がとてもよくなっている。どのモードで走行していているのか、残りの走行距離はどのくらいなのかなど、情報確認がとてもし易い。また、Bluetoth機能を搭載しているから、スマホとの連動も可能で、スマホ用のアプリ「komoot」と連動させれば、簡易ナビゲーションとしても使用することができる。

カラーの液晶パネルを採用しているため、視認性が格段に向上している。

乗り味(アシストモード)については、アシストをしてくれる3モードのいずれもが、走り出しがとても滑らかだ。前モデル「XM2」のように、ペダルを踏んだ瞬間からグイッと押し出されるパワー感でアシストしてくれるのではなく、ペダルの踏み始めがとてもスムーズだから、e-bikeが初めての人でも、焦ることなく発進させることができる。

「スムーズで」とか「滑らかで」などの表現だと、パワー感がないのかな?と思われるかもしれないが、パワー感は、踏んだ後からモリモリと出てくる仕様なので、急勾配の坂道でも不安なく走行が可能だ。むしろ、急勾配で立ち止まってしまった際の再発進時などは、走り出しが滑らかだから、初心者だけでなく、どのレベルのライダーでもありがたいと感じる味付けだと思われる。

最後に試乗したモデルは「XM-D2V」

このモデルは、前後にサスペンションを搭載したモデルで、2019年に発売された「XM-D2」のマイナーチェンジモデルだ。価格も70万1800円とかなり高額なモデルとなっているが、アシストの味付けは「XM2」と同じようだ。ただし、リアにもサスペンションを装備しているから、全体的な乗り味はとてもソフトな印象。とはいえ、この前後のサスペンションは減衰力調整を3段階で設定できるから、走行シーンに合わせてソフトにもハードにもすることができる。今回は、標準仕様にして試乗してみたが、どんな凸凹な道でも、難なくいなしてくれる感じがとても頼もしかった。また、ギャップのある場面でも前後のサスペンションが振動を吸収してくれるから、体への負担も最小限に抑えられるようなそんな印象を受けた。

XM-D2

試乗した感想

今回、3モデルに試乗することができたのだが、いずれのモデルも、e-bike(スポーツタイプの電動アシスト自転車)ということだけあって、一般的な電動アシスト自転車とは、パワーの出た方が明らかに違っていた。HIGHモードに至っては、どのモデルでも、急勾配がまるで平地であるかのようなパワフルさでアシストしてくれるから、走行時もだいぶ余裕をもって走行を楽しめた。また、周りにも目を向けることもできるので、より大自然を満喫することができた。

今回試乗したe-bike。左から「XEOLT M5」「XM2」「XM-D2V」

アシスト機能が搭載されていないMTBでは、それこそ必死に漕がないと登れないような坂道でも、スイスイと鼻歌交じりで走行することができてしまう。ただし、ペダルを踏みこまないとアシストはしてくれないので、ペダルを踏み続ける必要はあるが、これ自体、結構な運動に繋がり、走行後は、程良く疲れを感じることができる。

e-bikeは、ラクするためのバイクという感じではなく、これまで走ったことのない林道や急勾配な坂道でも、頼りになるアシストがあることで、安全にそして周りの風景を楽しむ余裕をもって、しかしながら、ペダルを回すという運動も兼ね備えた、バランスの良い乗り物だと、改めて実感することができた。

まとめ

e-bikeに久しぶりに試乗したが、試乗した場所が本格的なオフロードコースを備えた施設なだけあって、アシスト力を存分に試すことができた。しかし、これは、舗装路でも十分に楽しめるモデルで、それこそ、いままで車でしか行ったことのない峠道などでも、自身の力+αで、風景の見え方がかなり違って見えることだろう。

もちろん、アシスト機能のついていない自転車でも、楽しむことはできるが、e-bikeの最大の魅力は、初心者から上級者までレベルに関係なく、一緒に走行することができる、という事ではないかと思う。アシスト自転車だからといっても、漕がない限り前には進まないことから、程良い運動量も得られ、自分の足で走ったという達成感も得ることができることから、体力に自信がない人でも十分に楽しめる、そんなアイテムだと言えるだろう。

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「生活の中に、ココロ踊る時間を創る」をコンセプトに企画・設計しましたパナソニックのE-BIKEライン「XELAT(ゼオルト)シリーズ」XEALT M5はオフロード走行に対応したマウンテンバイクタイプ(e-MTB)。日本人の体格や日本国内のフィールドに適したサイズ感とされたのが大きな特徴。ホイール径は27.5インチを採用し、日本人でもまたぎやすく扱いやすい設計となっています。ドライブユニット「GXドライブユニット」は欧州向けに輸出されているドライブユニットで、当地ではハイエンドなe-MTBに採用されているものだが、パナソニックの日本国内モデルに搭載されるのは初。ハイエンドなドライブユニットらしく最大トルクは90Nmと強力で、国産メーカー製の多くのドライブユニットに勝るスペックだ。アシスト走行が可能な最大距離は約135kmとなっています。フロントのサスペンションフォークは150mmストロークを採用。必要のない場面では動きを制限するロックアウト機構も搭載。ブレーキは前後とも油圧ディスクで安心の制動能力を持ち合わせています。変速はリアのみの12段を採用。さらに、シートポストもドロッパータイプを採用。文句ないスペックに仕上がっております。

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