近年、注目の高まるVR(バーチャルリアリティ)。自宅で手軽に本格的なVRコンテンツを体験できるVRヘッドセット「Meta Quest2(メタクエスト2)」でできることや、初期設定の方法、初心者におすすめのアプリなどを紹介します。
Meta Quest2とは?
「Meta Quest2」は、Meta(旧Facebook)が販売する頭に装着するゴーグル型の端末。PCと接続せずに、単体で手軽にVR映像を楽しむことができます。
「Oculus」「Meta」2つの名前がある理由
じつはこの製品のシリーズは、少し前まで「Oculus Quest(オキュラスクエスト)」という名称でした。
もともと、アメリカのOculusという会社が製品を開発していたものを、2014年にFacebook(現Meta)が買収。その後も製品にはOculusの名前が残っていましたが、今年1月に正式にブランド名の変更が発表され、「Meta Quest」になりました。
その背景には、2021年にFacebookが「Meta」に社名を変え、VRをはじめとした仮想空間「メタバース」関連の事業に注力していくこと発表したことがあります。今回のブランド名の統一にも、同社のメタバース事業に対する本気度がうかがえます。
Meta Quest2の特徴
VRヘッドセットの中には、PCと接続して使うタイプの製品も存在します。しかしそれらの場合、ヘッドセット本体に加えて、そのヘッドセットに対応するスペックを満たしたPCも用意する必要があり、導入のハードルが高くなります。
Meta Quest2は、PCと接続せずに単独で使える「スタンドアローン型」なので、本体だけで使うことができて手軽です。
また、映像の見え方についても、前後左右への体の動きや、立ったりしゃがんだりといった上下方向の動きに対応した「6DoF」とよばれるタイプなので、自由度の高い動作が可能。仮想空間内を歩いて移動したり、リアルな動きでスポーツをしたりといった多彩な楽しみ方ができます。
Meta Quest2の価格
Meta Quest2には、2種類のストレージ容量のモデルが用意されていますが、容量が少なめの128GBモデルで3万7180円という価格。ここまでに紹介してきたような性能の高さを考えると、かなりリーズナブルといえます。
Meta Quest2でできること
Meta Quest2には、さまざまな対応アプリが用意されており、専用のアプリストアから必要なアプリをヘッドセットにインストールして使うしくみになっています。
アプリの内容も、迫力のあるアクションを楽しめるゲームから、ボクシングやボーリングといったスポーツのできるもの、360°映像を視聴するもの、他のユーザーとのコミュニケーションを楽しめるものなど多岐にわたります。
無料のアプリや、有料アプリの一部を無料で体験できるものも用意されているので、気になるものを気軽に試すことができます。
Meta Quest2のはじめ方
続いて、初めてQuest2を使うときの初期設定と基本操作をご紹介します。いくつかの手順があり複雑そうに思うかもしれませんが、基本的な手順はアプリやVR空間内に表示されるので、その通りに進めていけばOKです。
初期設定の方法
Quest2の初期設定には専用のスマホアプリが必要です。まずはスマホに「Oculusモバイルアプリ」をインストールして、Facebookアカウントでログインしましょう。
続いて、ヘッドセットの電源を入れると、アプリ画面にヘッドセットとアプリの連携設定画面が表示されるので、画面表示にしたがって連携を完了させます。
初めて使うときは、ヘッドセット内部の左右のレンズの間隔と、頭に装着するストラップの長さも調整します。また、眼鏡をかけたままQuest2を使う場合は、付属の眼鏡スペーサーも取り付けておきましょう。
コントローラーの使い方
付属のコントローラーは、VR空間内でのコンテンツの選択などの操作に使います。輪が手前にくるようにして左右の手に持ち、親指と人差し指、中指でボタンを押したりスティックを操作したりします。
ヘッドセットを被った状態では、コントローラーの先から白い線が伸び、その先に白い点が表示されます。たとえばコンテンツを選ぶ場合なら、白い点を選択するものに合わせた状態で、人差し指の位置のボタンを押します。
さらに一部のアプリでは、コントローラーの代わりに自分の手を使う「ジェスチャーコントロール」にも対応しています。
たとえば、親指と人差し指をつまむように動かすことでコンテンツを選択したり、指をつまんで上下左右に動かすことでスクロールしたりといった操作が可能です。
「ガーディアン」の設定方法
「ガーディアン」とは、VRで遊ぶための空間のこと。ヘッドセットを被った状態で動きまわったときに、現実空間にある壁や家具などに衝突するのを防ぐために、何も置いていない場所を事前に指定します。
設定を開始すると、Quest2のレンズ越しに室内の映像が表示されます。画面の指示にしたがってコントローラーを使って空間に「線」を引きましょう。2m×2m以上の空間を確保することが推奨されています。
なお、映像視聴など、座った状態で利用できるアプリをだけ使う場合は、この設定は必要ありません。その場合はガーディアンの設定画面で「静止モード」を選びます。
アプリの入手方法
ヘッドセットの電源を入れたときに最初に表示される空間には、アプリの選択や各種の設定を行うためのパネルが表示されます。見つからない場合は、右コントローラーの楕円形の「Oculus」ボタンを押しましょう。
手前の横長のパネルにある「ストア」アイコンを選択すると、アプリの一覧が表示されます。
一覧から使いたいアプリを選んで選択すると、アプリの詳細画面が表示され、サンプルの動画なども見ることができます。アプリをヘッドセットにインストールする場合は、「入手する」を選択しましょう。
VR空間内の画面ではアプリを探しづらいという場合、スマホアプリの「ストア」タブから選ぶこともできます。使いたいアプリの「入手する」をタップすると、ボタンの表示が「ヘッドセットにインストール」に代わるので、再度タップしましょう。しばらく経つと、そのアプリがQuest2で利用できる状態になります。
初心者におすすめのQuest2アプリ
続いて、Quest2初心者におすすめの無料で使えるアプリをいくつか紹介します。操作が比較的シンプルなので、コントローラーの扱いなどに慣れていなくても楽しむことができるはずです。
はじめてのQuest2
名前のとおり、初めてQuest2を使う人が操作を学ぶためのアプリです。練習用の空間で実際に操作をしながら、コントローラーの使い方を身につけることができます。
YouTube VR
YouTubeに公開されている360°映像を見ることのできるアプリ。自然の風景や世界各国の名所などが、迫力のある映像で楽しめます。
Mission ISS:Quest
ISS(国際宇宙ステーション)の内部をリアルに再現したゲーム。コントローラーを使って船内を移動したり、ミッションに挑戦したりできます。実際に無重力空間にいるような感覚を体験できます。ただし、いわゆる「VR酔い」を起こしやすいので、乗り物酔いをしやすい人は注意が必要です。
エピック ローラーコースター
ジェットコースターを体験できるアプリ。一部のコースを無料で楽しめます。下降したり回転したりする場所では、本物のジェットコースターに乗ったときのような浮遊感や体に重力のかかる感覚があり、かなりリアルな体験ができます。ただしこちらもVR酔いしやすいので要注意です。
まとめ
Meta Quest2は、PCとの接続不要で手軽に使えるVRヘッドセット。高性能なのに手に取りやすい価格なので、VRに興味がある、これからVRに挑戦してみたいという方にはおすすめの製品です。
今回紹介した以外にも、他のユーザーと交流するSNSのような使い方や、運動不足解消のフィットネスツールとしての活用など、多彩な楽しみ方ができるので、自宅で過ごす時間を充実させたい方にも最適なアイテムです。
文◆酒井麻里子(ITライター)
スマホ、PC、ガジェットなどのデジタル製品レビューや、アプリ・サービスの解説記事などを執筆。Twitter(@sakaicat)では、デジタル関連の気になる話題や、ちょっと役立つ小ネタを発信。