ドリッパーには大きく分けると「台形」と「円すい形」の2種類がある。台形の特徴は、味や香りを安定して抽出できるので、初心者でもおいしいコーヒーが淹れられること。ここでは、ハリオ「V60 透過ドリッパー 02クリア VD-02T」1ー4杯用を例にしてわかりやすく解説していく。
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工夫して好みの味を作りたい人におすすめ
ドリッパーには大きく分けると「台形」と「円すい形」の2種類がある。
台形は味や香りを安定して抽出できるので、初心者でもおいしいコーヒーが淹れられるのが特徴。
それに対して円すい形は、ドリップする人の技量によってコーヒーの味が左右される。そのため、誰が淹れても同じ味になるということはなく、味に一貫性を持たせるのが難しい。逆にいえば、ドリップする人の個性を存分に発揮できるドリッパーだともいえる。好みのコーヒーの味がわかっている人なら、淹れ方を工夫することで好みの味のコーヒーを作ることができる。
ここで使用したハリオのV60は、そんな円すい形の特徴を備える代表的なドリッパーだ。大きく開いた一つ穴からフィルターの先端が出るので、ドリッパーによって湯の流れが制限を受けることがない。湯を注ぐスピードでドリップに要する時間を変えられるので、ゆっくりと注げば濃厚な味わいに、速く注げばスッキリとした味わいに抽出できる。コーヒー豆の特徴に合わせてカスタマイズしやすい通好みのドリッパーとして、世界的に人気の高い一品だ。
ハリオ
V60 透過ドリッパー 02クリア VD-02T 1ー4杯用
実売価格例:495円
注ぎ手のテクニック一つでコーヒーの味を変えられる自由度の高いドリッパー
大きな一つ穴が特徴の円すい形ドリッパー。コーヒー粉の層が縦に厚くなり風味をしっかり抽出。またフィルター先端が穴から出ることで、すっきりした味わいに抽出できる。
比較的ゆっくりとしたスピードで抽出する台形ドリッパーは、コクや苦みが出やすいですが、円すい形は抽出スピードが速いので、甘みや酸味が強調される特徴があります。淹れ方は一度に湯を注ぐ1投式で行い、ドリッパー内の液面を一定の高さに保ちながら抽出していきます。
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湯温 93℃
湯量 140cc
粉砕 中細挽き
豆量 10g
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(1)サーバーにドリッパーを載せたら、湯を注いで温める。温まったら湯をカップに移し、カップも温めておく。
(2)フィルターは円すい形を使用。側面の接着部分を折り、ドリッパーにすき間なくフィットするようにする。
(3)湯煎したドリッパーにフィルターをセットしたら、中細挽きに挽いたコーヒー粉をドリッパーに入れる。
(4)ハリオV60の場合、1杯分のコーヒー粉の量は約10~12g。好みで量を調節するといい。今回は10gで抽出した。
(5)ドリッパーに粉を入れると山状になるので、左右に軽く振って平らにならす。叩くと微粉でフィルターが目詰まりするので注意。
(6)コーヒー粉を濡らすように蒸らしの湯を注ぐ。粉全体に湯を置くような感覚で静かに注いでいくのがポイント。
(7)蒸らしの湯量はコーヒー粉の倍量となる約20g。蒸らし時間は20秒ほど。これでコーヒーの成分が抽出されやすくなる。
(8)蒸らしが終わったら、中心から小さな円を描くようにゆっくりと湯を注ぐ。抽出スピードが速いので、3投式ではなく1投式で行う。
(9)ドリッパー内の液面の高さが一定になるように調整しながら湯を注ぐ。この注ぐスピードで味わいが変わるのがV60の特徴。
(10)約140gの湯量で約120gのコーヒーが抽出される。スケールを使えば湯量を正確に計れるだけでなく、時間も調整しやすい。
(11)入れ終わったあとのドリッパー内を見て、コーヒー層が均一になっていれば、ムラなく抽出できている証拠だ。
抽出スピードが速いので、コクや苦みが控えめで、甘みや酸味が目立った比較的スッキリとした味わいに仕上がる。
※製品の価格は、特別に表記のないかぎり、消費税込みの総額です。
※製品の仕様や価格は制作時のもので、その後、諸事情により変更されている場合があります。
※コーヒーの抽出方法は、解説内容に合わせた使いこなしの一例であり、器具メーカーの公式な使用手順とは沿わない場合があります。
■イラスト 田村 梓(ten-bin)
※この記事は『自宅で楽しむおいしい珈琲の淹れ方』(マキノ出版)に掲載されています。