今、目の前に置かれたコップには、水が半分入っています。「もう半分しかない」と「まだ半分ある」と言われたときでは、印象がちがいませんか? このように、同じ内容の情報であるのに、表現を変えることで与える印象が変わることを「フレーミング効果」といいます。フレーミング効果について、著者で多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫さんに解説していただきました。

解説者のプロフィール

真壁昭夫(まかべ・あきお)

多摩大学特別招聘教授。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授、法政大学大学院政策創造研究科教授などを経て、2022年から現職。「行動経済学会」創設メンバー。『ディープインパクト不況』(講談社+α新書)、『2050年世界経済の未来史: 経済、産業、技術、構造の変化を読む!』(徳間書店)、『MMT(現代貨幣理論)の教科書』(ビジネス教育出版社)、『仮想通貨で銀行が消える日』(祥伝社新書)など著書多数。

本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 行動経済学のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

イラスト/桔川シン、栗生ゑゐこ、フクイサチヨ、北嶋京輔

不安を感じている人を安心させる話し方は?

ヒトはさまざまなことで不安を抱いていますが、確率の伝え方で、少し安心させられることができます。

あなたが手術を受けることになり、2人の医師のうち、どちらかを選べるとします。
ひとりの医師は「確率90%で成功します」と説明し、もうひとりの医師は「確率10%で失敗します」と説明しました。
どちらの医師を選びますか? おそらく、「確率90%で成功します」と説明した医師ですよね。

これは「フレーミング効果」の例で、2人の医師の説明内容は同じで、客観的な確率は変わりません。
しかし、多くの人は、「確率90%で成功します」と、ポジティブな面を強調して説明してくれる医師の方に安心感を抱くのです。

画像: 不安を感じている人を安心させる話し方は?

フレーミング効果の実験では、カーネマンとトヴェルスキーが考案した「アジア病問題」が有名です。

アジア病問題

アメリカで架空の感染症「アジア病」が流行し、600人が死亡するとされています。その対策に2つの案が提案されました。

あなたは対策Aと対策Bのどちらを選びますか?

▼対策A
200人が助かる

▼対策B
確率1/3で600人が助かり、確率2/3で誰も助からない

では、対策Cと対策Dなら、どちらを選びますか?

▼対策C
400人が死亡する

▼対策D
確率1/3で誰も死なず、確率2/3で600人が死ぬ

実験の結果、最初の質問では、回答者の72%が対策Aを選び、次の質問では、回答者の78%が対策Dを選びました。
これも、よく読めば、対策AとC、BとDは、同じ内容です。
つまり、「助かる」というポジティブなフレーミング を選んでしまうのです。

不安を感じている人をはげますとき、ポジティブな側面の強調が重要であることは、行動経済学からも明らかなのです。

本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 行動経済学のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。



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