今回は、パイオニアから今年の3月2日に発売されたドライビングパーソナル音声AIを搭載した全く新しいタイプのコネクテッドデバイスを実際に体験してきたので、その体験した際の感想と、その後実際に使ってみたので、その使い心地を併せてお伝えしたいと思う。
NP1とは
パイオニアが今年の3月2日に発売した新しいタイプのコネクテッドデバイス「NP1」は、新開発のモビリティAIプラットフォーム「Piomatix(パイオマティクス)」を初めて採用した、音声だけで機器の操作や検索ができる製品。通信の常時接続が可能で、常に最新の地図や機能で音声によるルート案内や情報の提供を受けることができる。米・Cerence社の自然対話型音声認識エンジンを採用しており、ドライビングパーソナル音声AIと組み合わせることで、車に最適化した音声コミュニケーションを実現している。
「NP1」の特徴
モビリティAIプラットフォーム「Piomatix」により、音声だけで操作及び案内することが可能な「スマート音声ナビ」機能と、万が一の時にも安心な通信型ドライブレコーダーを搭載している。また、NP1本体がWi-Fiスポット機能にも対応しているので、スマホやタブレットがあれば、退屈しがちな車内でも、楽しく過ごすことができる。さらに、年に4回、新機能の追加やアップデートにより、常に最新の地図情報や便利で快適なドライブサポート機能を提供してくれる。
それぞれの機能について
ここからは、特徴となっているそれぞれの機能について、少しだけ説明したいと思う。
この項目で説明するのは、本製品のメイン機能と言っても過言ではない「スマート音声ナビ」と、もしもの時に安心なドライブレコーダーについてと、車内のエンタメには欠かせない「クルマWi-Fi」についてになる。
まずは、慣れると使いやすい「スマート音声ナビ」について
前述した通り、「NP1」は、画面を持たない音声のみでナビゲーションをしてくれる製品で、行先や周辺施設などの様々な情報を本機に話しかけるだけで検索することができ、ルート情報や検索結果を音声で案内してくれるというモノになる。スマートスピーカーをお持ちの方なら想像がつくかと思うが、スマートスピーカーに話しかけるように「NP1」に話しかければ、しっかりと応答をしてくれ、すかさず、案内を開始してくれる。
画面を見る必要がないから、より、運転に集中することができるため、安全でスムーズな運転が可能になる。音声案内は、ルート誘導から信号、一時停止標識に至るまで、わかりやすい目印を伝えながら、どのレーンを進み、どの方車線を走行するかまでを具体的に案内してくれる。
録った映像がクラウドにアップされる通信型ドライブレコーダー
搭載するドライブレコーダーは、前方用、車内/後方用の2つのカメラを、この一台に搭載しており、録画映像は、ほかのドライブレコーダー同様microSDカードに記録するほか、衝撃検知時や、ユーザーの音声や手動による操作時にはクラウドに自動保存を行う(クラウド上には、5GB分のデータを保存)。万が一の時でも録り逃しの心配がなく、スマホでも簡単に録画映像を確認することができる。
撮影画角は、フロントカメラが130度、車内/後方が124度だから、死角になりやすい斜め後方もしっかりと捉えることができる。また、駐車中に衝撃を検知すると録画を開始する「駐車異常通知」機能や、景色や車内の様子を取りたい場合は、音声だけで撮影・録画できる機能のほか、急な後方車の接近を通知する「後続車異常接近通知」機能も搭載している。
Wi-Fiスポット機能搭載で、スマホやタブレットを気にせず使える
車内向けインターネット接続サービス「docomo in Car Connect」を別途契約すれば、LTEデータ通信を定額で制限なく使うことができる。スマホやタブレット端末を最大で5台まで同時に接続でき、動画や音楽のストリーミング再生やオンラインゲームなどのコンテンツを楽しめる。1日・30日・365日と利用用途・期間に合わせて3つの料金プランから選択できる。
その他にも
NP1のカメラとマイクを使って、車外の人のスマホを介して道案内を受けたり、運転が心配な家族の運転を見守るなど、同乗しているかのようなコミュニケーションをとることができる「ドライブコール」機能や、時間・自車位置・地図・センサーデータの情報を組み合わせ、その時々にドライバーが興味を持ちそうなトピックを案内してくれる「ドライブトピック」機能も搭載。5月には「Amazon Alexa」が利用可能になり、自宅で「Amazon Alexa」に話しかけるように「NP1」にも話しかければ、Amazon Musicや最新ニュースの確認の他、スマートホーム家電の操作などもできる。
パイオニアのデモ車に乗って体験
さて、ここまでは製品の説明をしてきたわけだが、実際のところ、どうなの?本当に使いやすいの?音声だけも大丈夫?などいろいろな不安要素があると思われるが、私も体験する前まで、同じようなことを考えていた。しかしながら、結論から申し上げると、予想に反して想像以上に使えるやつだ、不安要素はほぼ感じることがなかった、そして楽しいと、まずはお伝えしておこう(100点満点ではないけれど…。そしてあくまでも個人的な感想になるが…)。
設置された実物を見てみる
早速だが、パイオニアのデモ車両に取り付けられた「NP1」を見ると、少々大きいかな、とも思ったのだが、画面がない分、薄いが奥行きがあるといった形状だから、視界の邪魔にはならなさそうだ。配線は、シガーソケットから電源を取る方法と、バッテリーから直で取る方法のいずれかから選択することができる辺りは、一般的なドラレコと変わらない。デモ車両ということもあり、バッテリー直から電源を引いていることからとてもキレイに設置されていた。
いよいよドライブの開始
一通りの説明が終わり、いよいよエンジンを始動しパイオニアの方のドライブで目的地に向かうのだが、まず、目的地の設定をするため、「NP1」に向かって発話をする。「NP1、目的地を〇〇にして」とパイオニアの方が発話すると、すかさず「NP1」は、「目的地を〇〇に設定しました。安心して走行できるルートで案内を開始します。」と返答してくれる。このやりとり、なんかに似ている、と思いながら「NP1」の案内通りに目的地に向かっていよいよドライブが始まった。
感心したことその1
ドライブ開始後、まず私が感心したのは、音声案内がとても丁寧だということ。例えば、複数車線がある場合などでは、走行するレーンまで案内してくれるため、どのレーンを走行すればいいのか、迷うことがない。また、右折、左折の案内も、直前案内ではなく、数十メートル手前(2つ先の信号を右折ですなど)からしっかり案内してくれるから、ナビ画面に慣れている人でも、違和感なく使用できそうだった。仮に、道を間違えてしまった場合でも、すぐにリルートをしてくれるあたり、画面付きナビと同じ感覚で使えそうだ。
感心したことその2
さらに感心したのは、店舗検索などについてだ。これは、例えばドライブ中にお腹が空いてしまったとしよう。この場合、これまでは、一旦車を駐車させてスマホで付近の情報を調べてから、住所をナビに打ち込み、案内させるという方法を行ってきたが、「NP1」では、「この辺で美味しい〇〇を食べることができるお店を教えて」と発話するだけで良いのだ。すると、「NP1」はすかさず案内を開始してくれて、「〇〇〇m先を左に曲がって、〇〇mの場所に〇〇というお店があります」と教えてくれるのだ。検索のために車を停車させるスペースを探す必要がないから、とてもスマートに、お店探しをすることができる。
また、空いている駐車場を探す場合でも「駐車場を探して」と発話すれば、駐車場の空き状況の検索だけでなく、周辺で空いている駐車場を自動で検索・提案もしてくれるのため、駐車場に行ったけど、満車で入れない、ということも避けることができる。これは、画面付きナビでは経験したことがないパフォーマンスで、非常に便利だと感じた。
視覚的な安心が必要な人には
音声案内の利便性に感心しつつも、やはり、視覚的にも確認して安心したいと思う方も居ると思われる。ましてやこれまで画面付きナビに慣れてきている人であれば、なおさらだろう。私は、たまたま所有するクルマが18年前の車ということもあり、付いている純正ナビは、ほぼ使い物にならないお飾りと化しており、出掛ける度に、ナビ画面上では道なき道を走行していることになっている。そのため、視覚的に安心感を得たい(行先を画面で確認したい)という欲求はないのだが、車の運転に慣れていない方であれば、音声だけではどうしても不安、と思う方も居ると思われる。
そこで、登場するのが、スマホだ。ここ最近、スマホをナビ代りに使用している人も多いかと思うが、スマホ用のナビは、精度がイマイチなことがままある。我が家でも、純正ナビが使い物にならないことから、妻のスマホでナビをしてもらうものの、大体の場所はあっていても、付近を走行すると案内が終了してしまうケースがしばしばある。
そういった時に便利に使えるのが「NP1」専用のアプリ「My NP1」だ。このアプリを使えば、目的地の詳細な住所を検索することができるから、「NP1」が画面付きのナビのように使うことができるのだ。スマホに入力したデータを、「NP1」に送れば音声ナビが開始され、スマホとも連動するから、視覚的の案内を見ることもできる。
実機を自身で試してみた
実は、今回、同乗体験の後、どうしても自分で試してみたくなり、実機を借りて試してみることにした。残念なことに、そこで「NP1」が100点満点ではないことを感じてしまったのだ。今回、ちょっとしたトラブルがあり、フロントガラスに設置して使用することはできず、ダッシュボードに置いて使用したのだが、その使用とは別に、気になった点が2点あった。
実際の使用で気になった点、1点目
1点目は、音声案内だ。今回、数年ぶりに首都高速を走行してみたのだが、私が住んでいる場所から最も近い場所が高井戸になるため、高井戸インターから首都高速に合流した。走行後まもなくして永福の料金所が現れるが、「NP1」から聞こえる案内は、どぉしても、「まもなく"レイフク"料金所です」としか聞こえないのだ。音声のボリュームが小さいからなのか、それとも、私の耳が悪いからなのか、何度聞いても「レイフク」としか聞こえない。まぁ、だからと言って、何か問題があるわけではないのだが、なんとなく、ほかの案内についても、少々気になってしまった。
実際の使用で気になった点、2点目
2点目は、録画映像の速度表示についてだ。これは、走行した映像を自宅に戻ってから確認した際のことになるが、今回試走した首都高速のトンネル内走行中の速度表示についてになる。流れにのって走行していたこともあり、そこそこの速度は出ていたものの、「あれっ、速度出すぎじゃない?!」とか、「あれっ、速度が1桁になってる」など、速度表示が安定しない場面が見受けられた。概ね表示されている速度は、トンネル以外では、ほぼ誤差はなかったものの、トンネル内ではGPSの測位が難しいのかもしれないという理由からなのか、そんな場面が何回か見受けられた。
仮に、トンネル内で事故に遭遇してしまった場合、証拠としてデータを提出するようなことがあると、「あれ、速度超過してますね」など、不利になりそうだと思ってしまった。トンネル内以外は、正確に測位していたので、概ね問題はないと思うが、この点も気になってしまった。(このあたりは、一般的なドライブレコーダーと同じようだ。)
今回気になった2点についても、「NP1」は、日々細かいアップデートを行っているので、今後改善されることを期待したい。
「NP1」は、日々進化するナビ
「NP1」のアップデートは、日々行われており、5月には年4回ある大型アップデートの第一弾として行われた。今回のアップデートでは「Amazon Alexa」に対応することになり、これにより、「NP1」に「アレクサ、〇〇して」という問いかけが可能となったのだ。自宅で「Amazon Echo」を使用している方であれば、慣れ親しんスマートスピーカー同様の使い方が可能となったことで、より「NP1」が身近な存在になり得るのではなかろうかと思った次第だ。また、6月には、音声ナビで、渋滞や規制状況の確認ができる「渋滞チェック」機能の他、トンネル内での位置情報の確認などもできる様にアップデートされるなど、日々進化し続けている。
体験及び使用に伴う感想
今回、「NP1」を体験及び実際に使用してみて思ったことは、上半期で一番欲しいアイテム、と思えるほどのアイテムになったということ。理由は、我が家では、「Amazon Echo」をよく使用することもあり、「Amazon Echo」に問いかけて何かを調べたりすることが日常的に行われている。そんななか、車で出掛ける際にも、「Amazon Echo」のように話しかけたら応えてくれる、そんなナビがあったらと思っていたからだ。
そんな思いが届いたのか、今回試した「NP1」が今年の3月に発売された。当初は、本当に使えるのかな?という懐疑的な思いもあったが、いざ体験及び使用をしてみると、まぁ、この上なく便利に使えたので、上半期で一番欲しいアイテムになったのだ(個人的に)。
まとめ
「NP1」は、これまでにない体験ができ、かつ音声で道案内などをしてくれる新しいタイプのナビだ。また、ドライブレコーダーも搭載しており、ドライブレコーダーで録画した映像は、クラウド上にアップされ、スマホで、映像をすぐに確認することができる。さらには、Wi-Fi機能も搭載しており、一度に5台のデバイスと接続できるから、渋滞などで退屈しがちな車内においても、個々が各々の時間を楽しむことができる。車内で欲しいと思っていた機能がこの一台に凝縮された、私にとっては、このうえなく理想的なアイテムと言える。
これまで、妻のスマホでナビをしてもらうこともしばしばあったが、もし、下半期に我が家のクルマに導入することができたならば、これまで以上に安全で楽しいカーライフが待っているようなそんなイメージを抱いている。今回の体験を通して、私にとっては、100点満点中95点のアイテムになったのだが、残り5点は、リアカメラを早くに発売してほしいという期待を込めての点数付けとなった。リアカメラがオプション設定されたら、概ね100点と言えるアイテムといえる、あくまでも個人的になるが。
もし、今後導入することになったら、今回の記事の第2弾として、アップデートの内容や使い勝手についてお伝えしたいと思うので、気になる方はチェックして頂ければと思う。