「思いついたアイデア」「会社の帰りに買うもの」「旅行に持っていくもの」など、「忘れないうちにメモっておこう」というのはよくあることだ。そのようなときも、常に持ち歩いているスマホを活用しよう。iPhoneには、Apple純正の「メモアプリ」が最初からインストールされている。単にメモを取るためのアプリだと思っている人もいるだろうが、実はいろいろな機能が備わっているのだ。そこで今回は、メモアプリの基本操作を前編と後編に分けて紹介する。
※本記事はiOS 15.6の画面で解説している。
文字や写真、添付ファイル付きのメモを作成する
メモアプリを起動する
まずは、ホーム画面にある「メモアプリ」のアイコンをタップして起動しよう。はじめて起動した場合は、「ようこそ」画面が表示されるので、「続ける」をタップする。そして、iCloudを使うためのメッセージが表示されるので、「”設定”に移動」をタップして「設定」アプリに移動し、「iCloud」→「メモ」をオンしておこう。そうすることで、クラウド上にメモを保存できるようになる。
後からiCloudを設定する方法は、後ほど説明する。
文字を入力する
メモアプリが起動したら、右下にある「新規作成」アイコン(紙とペンのアイコン)をタップすると、メモの作成画面が表示される。
1行目に入力すると、太字の大きな文字になる。これはタイトルの書式が設定されているからだ。次に、「改行」キーをタップすると、2行目の本文を入力できる。
日付を入れたい時には、「きょう」とひらがなで入力すると、キーボードに今日の日付が候補として表示されるので、タップして入力できる。年号や曜日が入ったものもあるので、入力の手間を省けるだろう。同様に、「きのう」「あした」「あさって」「おととい」「ことし」「らいねん」なども候補が出るので、「おとといは何日だったかな?」と考えなくてもすぐに入力できる。
入力が終わったら、右上の「完了」をタップしよう。
なお、1行目も本文にしたい場合は、1行目をタップし、下部の「Aa」アイコンをタップして「本文」をタップすると、本文の書式に変更される。1行目から本文を入力できる方法もあるので後ほど紹介する。
入力した文字を削除する
入力した文字を削除するときには、キーボードの「×」をタップすればよいのだが、文字数が多い場合、何度もタップすることになるので面倒だ。そこで、効率よく削除する方法があるので紹介しよう。
3本の指で左方向にスワイプする。これだけで直前の操作を取り消せる。エクセルやワードにある「元に戻す」ボタンと同じようなものだ。
元に戻したのを取り消す場合は、3本の指で左から右にスワイプすればいい。エクセルやワードの「やり直し」ボタンと同じだ。
上手くいかない人は、3本の指が同時に画面についていないからである。3本の指を同時にゆっくり置いてみよう。すると、メニューが表示される。続いて3本指で左方向にドラッグする。これならだれでもうまくいくはずだ。繰り返しているうちに素早くできるようになるだろうから、他のアプリでの入力時にも活用しよう。
文字を太字や斜体にする
メモの作成時に画面をタップし、下部の「Aa」をタップすると、「フォーマット」という文字書式に関するアイコンが表示される。「Aa」アイコンが表示されていない場合は、「+」をタップすると表示できる。
太字で入力する場合は「B」、斜体は「I」、下線は「U」、取り消し線は「S」アイコンをタップする。アイコンが黄色くなったら、「×」をタップして入力すると、その書式の文字になる。執筆時点では、斜体は英数字のみとなっている。
入力した文字に後から設定することもできる。その場合は、文字を選択してからアイコンをタップする。ドラッグして選択してもよいが、文字の上を2回タップすると単語が選択され、3回タップすると1つの段落が選択される。
段落の順序を入れ替えることも可能だ。3回タップして段落を選択した後、段落を長押しする。すると段落が囲まれた状態になるので、そのままドラッグすると好きな位置に移動できる。
箇条書きを入力する
紙に箇条書きでメモするときには、先頭に「・」や数字を入れると見やすくなるが、メモアプリでも、先頭に「・」や数字を入れることが可能だ。
箇条書きのアイコンも、「Aa」をタップして表示される「フォーマット」に並んでいる。3タイプあり、順序に関係なく項目を並べる場合は「・」や「-」を選び。「1番目は~、2番目は~、」のように順序が決まっている場合は、「123」を選ぼう。
1つ目の項目を入力したら、キーボードの「改行」キーをタップし、2つ目の項目を入力する。最後の項目を入力したら、「改行」キーを2回タップすると、通常の入力に戻る。
段落を字下げする
段落の先頭に空白を入れて右にずらしたい場合は、「フォーマット」にある「インデント」のアイコンを使う。字下げしたい段落のいずれかの場所をタップし、「インデントを増やす」(右向き三角に4本線のアイコン)をタップしよう。タップするたびに、右へ移動するので全体のバランスを見て設定するとよい。
写真を添付する
文字だけでなく、写真や動画を入れることも可能だ。下部の「カメラ」のアイコンをタップし、「写真またはビデオを選択」をタップして写真または動画を指定する。複数タップして追加することも可能だ。その場で撮影する場合は、「写真またはビデオを撮る」をタップして写真を選択しよう。
ただし、追加した写真は画面に大きく表示されてしまう。そのため文章が読みづらいと感じる人もいるはずだ。その場合は、写真の上を長押しし、「小さなイメージ」をタップすると縮小表示になる。
また、追加した写真をタップし、右上の「ペン」のアイコンをタップすると、写真の上に手書きができる。さらに、右下にある「+」をタップして、署名や図形を入れることも可能だ。手書きについては後ほど詳しく解説する。
もし、間違えて別の写真を追加してしまった場合は、写真を長押しして「削除」をタップすればよい。
文書ファイルを添付する
ワードやエクセルなどの文書ファイルをメモに追加することも可能だ。その場合は、メモアプリ上で追加するのではなく、他のアプリからメモアプリに送る。
たとえば、Googleドキュメントの場合、文書の作成画面で、右上の「三点リーダー」アイコンをタップし、「共有とエクスポート」→「コピーを送信」をタップ。PDF形式かWord形式にするかを選択して「OK」をタップする。その後、メモアプリに送信する。
ワードアプリの場合は、文書の作成画面で右上の「三点リーダー」をタップし、「コピーを送信」をタップしてメモアプリに送信する。
メモはどこに保存される?
一通り入力したら、左上の「<」をタップして「メモ」リストに戻る。そして、さら左上の「<」をタップすると「フォルダ」リストに戻る。
「フォルダ」リストには、「iPhone」と「iCloud」がある。「iPhone」のメモはiPhone本体に保存されるので、使えるのは今使用しているiPhoneのみとなる。「iCloud」のメモはクラウドに保存されるので、他の端末からもアクセスできる。
おそらく、本記事のはじめから操作した人は、作成したメモがiPhoneに保存されているので、「iPhone」のメモをタップするとメモが表示されるはずだ。
新しくメモを作成する際には、iPhoneに保存するにはiPhoneの「メモ」を、iCloudに保存する場合はiCloudの「メモ」をタップする。
はじめてメモアプリを使う際に、iCloudを使えるように設定しなかった場合は、「iCloud」が表示されていないので、ここで追加しておこう。iPhoneの「設定」アプリを開き、「メモ」→「アカウント」→「アカウントを追加」→「iCloud」をタップしてApple IDを入力してサインインする。表示された画面で、「メモ」アプリをオンにする。
「iPhoneとiCloud、どちらにメモを保存したらよいのだろう」と迷う人は、iPhoneのみでメモを使う場合は「iPhone」でもよい。他の端末から使ったり、他の人と共有したりする場合は「iCloud」に保存する。
iCloudの容量があるのなら、iCloudの方が活用の幅が広がるのでおすすめだ。
メモを削除する
不要になったメモは、簡単に削除できる。「メモ」リストにあるメモを左方向にスワイプし、「ゴミ箱」のアイコンをタップする。
メモを開いている場合は、右上の「三点リーダー」をタップし、「削除」をタップする。
手書きのメモを作成する
文字を手書きする
メモアプリは、手書きもできる。メモの作成画面の下部にある「ペン」のアイコンをタップすると、下部に「マークアップツールバー」というペンや定規などのアイコンが並んだ画面になる。このアイコンが並んでいるときは、自由に手書きができる。
まず、どのペンで描くかを選択する。一番左が標準の線、左から2番目がマーカー、左から三番目がクレヨンのような線だ。
再度ペンをタップすると線の太さと色の濃淡も変えられる。
色は、右端にある〇をタップして選べる。
図形を描く
図形もドラッグで自由に描ける。〇や□などの図形を描くときには、ドラッグして、終点が始点に結びついたときに、しばらく指を画面から離さないようにすると、自動的にきれいな〇や□に修正してくれる。
同様に、三角、矢印、雲、ハート、星、五角形、吹き出しなどもきれいに描ける。
定規で線を引く
直線を引く場合も、終点で押しっぱなしにするとまっすぐに引けるのだが、定規も用意されている。下部の「定規」をタップすると表示されるので、ドラッグで移動しよう。二本指で定規をくるくるっと回転させると角度も変えられる。
位置を決めたら、鉛筆で線を引くのと同じように、定規に沿ってドラッグするとまっすぐな線を引けるようになっている。
さらに、画面に罫線や方眼を表示させると描きやすくなる。右上の「三点リーダー」をタップし、「罫線と方眼」をタップする。ノートのような横線や方眼用紙のような線から選ぶことが可能だ。
描いた図形を削除する
マークアップツールバーには、ペンと一緒に「消しゴム」も並んでいる。描いた図形を削除したいときは、左から4つめの「消しゴム」をタップし、ドラッグで消すことができる。
図形ごとに削除する場合は、「消しゴム」を2回タップし、「オブジェクト消しゴム」をタップする。消したい図形をタップあるいは少しドラッグすると、すべてをなぞらなくても一発で図形を消すことができる。
描いた図形を移動・コピーする
描いた図形のコピーや移動が可能だ。下部にある「投げ縄ツール」をタップし、必要な部分をドラッグで囲む。少しでもかかっていればその図形が含まれる。
点滅線で囲まれたらドラッグすると移動できる。
コピーする場合は、点滅線で囲まれた状態で、図形をタップするとメニューが表示されるので、「複製」をタップする。「コピー」をタップした場合は、別のメモに「ペースト」して貼り付けることも可能だ。
手書きの領域を広げる
手書きを終了するときは、右上の「完了」をタップすると、文字入力の画面に戻る。再度手書きする場合は、「ペン」のアイコンをタップして、手書きの領域をタップしてから始める。少し使いづらいと思う人は、手書きの領域と文字入力の領域が別になっていると考えるとよい。
また、手書きをして、文字を入力して、また手書きをして、という操作を繰り返してメモを作成していく場合、手書きの領域を広げたい時もあるだろう。
そのようなときは、手書きの領域をタップし、黄色の線の左端を上方向にドラッグすることで広げることができる。
写真に手書きする場合
メモに添付した写真に手書きする場合は、マークアップツールバーの右に「+」があるので、タップすると〇や□、吹き出しを選ぶことができる。
描いた図形の周囲には、青い丸が表示され、ドラッグで好きなサイズを変更できるようになっている。
また、左下のアイコン(●と■が重なっているアイコン)をタップし、「●」をタップすると、色で塗りつぶした〇や□を描くことが可能だ。
項目にチェックできるチェックリストを作成する
チェックリストを作成する
やることリストや買い物リストは、終わった項目にチェックを付けられるようにしておこう。メモの作成画面で、下部の「チェックリスト」のアイコンをタップすると「〇」が表示される。
〇が表示されたら項目を入力し、「改行」キーで次の項目を入力する。項目の入力を終わりにするときは「改行」キーを2回タップすると、通常の入力に戻る。
〇をタップするとチェックが入るようになっているが、一度にすべてのチェックを入れることも可能だ。チェックボックスのいずれかの項目をタップしてカーソルを置き、再度タップするとメニューが表示されるので、「右向き三角」をタップし、「チェックリスト」をタップして「すべてにチェックを付ける」をタップする。
チェックリストを並べ変える
チェックリストの項目は、並べ替えることができる。移動したい項目の〇の部分を長押しする。すると文字が浮いた状態になるので、そのままドラッグする。ドラッグを始めると〇の下に黄色の線が表示されるので、正しい位置にあることを確認してから指を離そう。
また、項目を右方向にドラッグすると、階層化することもできる。たとえば、営業部の下に第1営業部、第二営業部、第三営業部を配置するようなときだ。
完了した項目を移動させる
デフォルトでは、チェックを付けてもそのままの位置だが、完了してチェックを付けた項目を下部に移動して、未完了の項目を上部に表示させることも可能だ。「設定」アプリを開き、「メモ」をタップする。「チェックした項目を並べ替え」をタップし、「自動」をタップする。
表を作成する
表を作成する
メモアプリでは、表を作成することが可能だ。箇条書きは1行に1つの項目を入力するが、1行に2つ、3つ入れたい時には表にすると見やすくなる。
メモの作成画面を開いたら、画面をタップし、下部の「表」のアイコンをタップする。すると、2×2の表が作成されるので、それぞれのマス目の中に文字を入力する。
1つ目を入力した後、キーボードの「次へ」をタップすると右のマス目に移動する。もちろんマス目をタップして入力してもかまわない。
2行目の右側を入力した後、「改行」キーを押すと、3行目が自動的に追加されるようになっている。
表内の文字の書式を変更する
表の先頭行に入れる表見出しは、他の行と区別するために太字にすると見やすくなるので設定しておこう。
1行目をタップし、左端の「三点リーダー」をタップして表示されたメニューの「BIU」をタップして、「ボールド」をタップする。
太字以外にも、右向き三角をタップして、アンダーライン(下線)、取り消し線も可能だ。イタリック(斜体)は英数字のみ。
行や列を追加する
後から行を追加することになった場合は、表をタップし、左の「三点リーダー」をタップする。メニューが表示されたら「右向き三角」をタップして、「行を追加」をタップすると追加される。
一度に複数行追加することも可能だ。「三点リーダー」をタップした後、黄色の●をドラッグして複数行を選択し、「行を追加」をタップするとその行数分が追加される。
行や列を削除する
行を削除するときには、移動する行をタップし、左にある「三点リーダー」をタップする。メニューが表示されたら、右向き三角をタップして「1行削除」をタップすればよい。
複数行削除する際は、黄色の●をドラッグして複数行選択して「〇行削除」をタップする。
行や列の順序を入れ替える
表を作成していて、「この行は上の方に入れたかった」というときもある。そのようなときは、移動する行の「三点リーダー」をタップし、その後「三点リーダー」をドラッグすると好きな位置に移動できる。
表を削除する
表ごと削除したい場合は、表をタップした後、下部の「表」アイコンをタップして、「表を削除」をタップする。
表に入力した文字を取り出す
表を作成したものの、やはり文字だけにしたい、箇条書きにしたいといったときには、入力し直す必要はない。表をタップして選択し、下部の「表」アイコンをタップする。そして「テキストに変換」をタップすると、文字だけになる。
テキストに変換した直後であれば文字が選択されている状態なので、そのまま「チェックリスト」アイコンをタップすると箇条書きになる。
メモアプリでPDFを作成する
紙の書類をスキャンする
メモアプリでは、紙の書類を撮影してPDFにできる。メモアプリの下部にある「カメラ」アイコンをタップし、「書類をスキャン」をタップしよう。
するとスキャン画面が表示される。右上の「自動」または「手動」をタップして、自動的にスキャンするか、手動でスキャンするかを選択することができる。
「手動」を選択した場合は、書類を写しだしたら、シャッターボタンをタップする。続いて、周囲の〇をドラッグして必要な部分を囲み、「スキャンを保持」をタップする。
スキャン画面に戻り、他のもPDFにしたい書類があればスキャンする。すべてスキャンしたら「保存」をタップしよう。
メモに貼り付けられたら、スキャンした書類をタップする。右上にある「共有」ボタンをタップして「”ファイル”に保存」またはメールやクラウドなどのアプリに送ればPDFとして保存される。
自動にした場合は、カメラを書類に向けると自動的に撮影される。
もし、重複して読み取ったり、予定外のものを読み取ったりした場合は、左下のサムネイルをタップし、不要なファイルをタップし、「ゴミ箱」をタップすると削除できる。
なお、写真と同じく、文字を読むときの妨げになる場合は、長押しして「小さなイメージ」をタップして縮小しておこう。
文字を書き込む
スキャンした書類には、文字を書き込むことができる。スキャンした書類をタップし、右上の「共有」アイコンをタップし、「マークアップ」をタップする。すると、下部にマークアップツールバーが表示され、ペンや定規を使って書き込むことができる。
右端の「+」をタップすると、テキストとして文字を入れることも可能。「署名」もあるので、Acrobatを使わずにサインができるのは便利だ。
スキャンした書類を印刷する
スキャンした書類を印刷したいときには、タップして開き、右上の「共有」アイコンをタップして、「プリント」をタップする。使用するプリンタを選択し、用紙サイズや方向(向き)を選択して「プリント」をタップすればよい。
まとめ
ここまで、メモアプリの入力方法や書式設定など、基本的な操作方法を説明した。まずはこのあたりをマスターして、次のステップへ進もう。[後編]では、タグやフォルダの使い方、ロックのかけ方などを紹介する。