【万年筆とは】どんな筆記具?どこで買うのがおすすめ?

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万年筆は、本体にインクを内蔵して、ペンの先から毛細管現象で送り出すことで筆記します。インクはカートリッジ式や吸入式などの補充方法があります。万年筆の魅力は第一に書き味のよさ。紙に乗せるだけでも書けるため、力がいらず疲れにくいのが特長です。

万年筆ってどんな筆記具なの?

金属製のペン先を通して内部に保存したインクを染み出させて書くツール

万年筆のことを知るには、まず、パーツの名称から覚えていきましょう。構造そのものは複雑ではありません。

最も重要なのはペン先(ニブ)です。ペン先の隙間からインクが染み出します。

また、ペン先を含む部分を首軸と呼びます。両用式と呼ばれるタイプでは、首軸を回転させると胴軸と分離することができ、そこからカートリッジやコンバーターなどを使ってインクを補充します。吸入式というタイプでは、首軸と胴軸は分離せず、代わりに本体尾部の尻軸が回転します。

ほかの部分も万年筆らしさを表現するのに重要なパーツで、各メーカーが独自の特徴を打ち出しています。

万年筆は多くのパーツでできている

天冠
一部のメーカーでは、キャップの先の部分にメーカーのロゴが表示される。下の写真はウォーターマンの天冠。ロゴを見るだけでメーカー名がわかる。

クリップ
ボールペンなどと同じで、ポケットなどに差すときに使う。各メーカー、各製品によって異なる形状をしていることが多い。

キャップリング
キャップの先端にはめられている輪。機能上はあまり必要ないが、見た目のインパクトでは重要な役割を果たす。メーカー名が刻印されていることが多い。

胴軸
ここにインクを内蔵する。吸入式ではインク残量を知るため、半透明になっている製品もある。

首軸
ペン先と胴軸をつなぐ部分。吸入式と呼ばれるタイプでは、この先端もインクに浸ることがある。ここを持って書く人もいるが、もっと上に指を添える持ち方の人も多い。

ペン先(ニブ)
ペン体ともいう。万年筆の書き味を決める。スチールまたは金主体の合金でできている。

尻軸
吸入式の万年筆は、ペン先をインクに浸した状態で本体尾部を回すと、インクを吸い込むことができる。

切り割り
ここを通ってインクがペンの先端に向かっていく。この部分の大きさが適切でないと、インクが出過ぎたり、あまり出てこなくて文字がかすれたりする。

ハート穴
多くの万年筆では円形だが、この写真の万年筆のようにハート型になっているものもある。存在しない万年筆もある。

ペンポイント
ペン先の先端の裏側には、イリドスミンというオスミウムとイリジウムの合金が微量に付けられており、ペン先がすり減るのを防いでいる。

ペン芯
インクを毛細管現象でペン先(ニブ)に送り出し、それと同量のインクをタンクに入れる働きを担う。万年筆で最も重要なパーツ。

万年筆はどこがいいの?

書き味のよさがポイントほかにもメリットがいくつかある

万年筆は、扱いが面倒な筆記具です。ボールペンなら多少扱いが乱暴でも壊れにくいうえに、インク漏れもしづらくなっています。安価で高品質なものが多く、買い換えるのも簡単です。

一方、万年筆をボールペンと同じ筆記具だと思って手を出すと、困ったことになってしまいがちです。インクを入れて何カ月もキャップをしたまま放置してはいけないし、落とすとインクが漏れてしまうこともあります。

それでも万年筆をおすすめするのは、万年筆にいろいろな長所があるからです。手書きを楽しみたいなら、ぜひ一度試してみるといいでしょう。

わざわざ万年筆を使うにはそれなりの理由がある

1. 書き味がいい

なんといっても、書き味のよさは万年筆の最高の魅力だといえる。シャープペンシルやボールペンはある程度の筆圧をかけないと、まともに文字を書くことができない。その点、万年筆なら筆圧がゼロ、つまり紙に乗せるだけでも書ける。そのため、力がいらず、疲れにくい。

2. インクの種類が多い

昔は万年筆のインクといえば、黒か青、せいぜい赤があるくらいだった。しかし、今では多彩なインクがいろいろなメーカーや販売店から提供されており、自分で複数の色のインクを混ぜて、好みの色を作れるものもある。これは、ボールペンでは考えられない性質だ。

3. ペン先の太さを選べる

万年筆ではペン先の太さを自分で選べる。5mm四方の方眼の中に文字が書けるほど細いペン先もあれば、封筒の宛名書きに使えるような太めのものまで、製品によっては10種類も用意されていることがある。あとで取り替えることは基本的にできないので、好みの太さを確認してから購入するといい。

4. 長く使える

高級なものであればあるほど、長期間にわたって使われることを前提としている。正しく手入れをすれば、何十年もの間、使い続けることも難しくない。

5. 携帯性に優れている

軽さやコンパクトさは、シャープペンシルやボールペンほどではないが、ガラスペンなどつけペンと比べると、携帯性は優れている。インクは本体内部に貯めておけるので、インク瓶を持ち歩く必要はない。胸ポケットに差しておき、キャップを取ってすぐに書き始められる。

6. とにかく美しい

万年筆は、100年以上前に現在の仕組みになって以来、多くの製品が作られてきた。その中で今のような形になったため、形状に無駄がない。また、製品によっては胴軸部分に装飾を施してあって、見るだけでも飽きない。手に取って眺めるだけでも満足できるのは、筆記具では万年筆だけだろう。

万年筆って高いの?

じっくり長く使うなら、数千円から数万円台がおすすめ

万年筆は、製品によっては数百円程度から購入できるので、必ずしも高価なわけではありません。

万年筆の価格の大きな部分を占めるのがペン先です。ペン先は万年筆の質を決める重要な部分で、コストをかけると書き味のいい製品ができあがります。例えば、ペン先の材料に14金などの合金を使えば、書きやすい万年筆になりますが、価格は上がってしまいます。ステンレスならもっと安くなります。

万年筆を使い始めた当初は、ステンレスと金の違いがわからないかもしれませんが、使い続けると明白な違いがあることに気づくでしょう。金のペン先のほうが好みであれば、どうしても高価な万年筆を使うことになります。結果として、「万年筆は高い」となってしまうのです。

プラチナ万年筆「プレピー」(PSQ-300/PSQ-400)の価格は330〜440円とお手頃だ。2007年の発売以来、世界中で1000万本以上を販売するベストセラー商品になった。

プラチナ万年筆「最高級加賀蒔絵「宗香」作『滝山水』」(PIZ-600000)の価格は66万円。本漆と金で描いた高蒔絵に包まれたエボナイト製ボディは、もはや芸術品。

万年筆はどこで買えばいいの?

筆記具の専門店がベスト。通販では個体差に注意

万年筆の購入は、筆記具の専門店や大手文房具店の万年筆売り場を利用するのがいいでしょう。デパートや大手書店などで筆記具売り場が充実しているなら、候補に入ります。

要は、多くの種類の万年筆の実物を取り揃えていて、専門知識を持つスタッフが常駐している店を選ぶのがポイントです。そういう店では試し書きができることもあります。

万年筆はネット通販でも購入が可能ですが、実物を見たり触ったりできないのが欠点です。握った感じや重心、バランスなどを確かめられませんし、素材の質感や色合いなども写真ではわかりにくいでしょう。特に、海外製万年筆では個体差が大きい製品があります。

それを許容できるなら、ネット通販も悪くない選択肢です。

可能なら、筆記具専門店や大手の文具店の万年筆売り場を訪れて、実際に目で見て、触ってみて、質感や握り具合などを確認してから購入したいもの。画面は伊東屋のウェブサイト。

万年筆はネット通販でも購入可能だが、実物を確認できないので一定のリスクを伴う。どうしても実店舗に行けない場合や、購入するモデルが決まっているなら利用してもいい。画面はアマゾン。

◆監修者:高畑正幸

※価格は記事作成当時のものです。

※この記事は『「手書き」をとことん楽しむ万年筆・ガラスペン入門 』(マキノ出版)に掲載されています。

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