最近は、プライベートでもビジネスでも、文字でのやり取りが増えてきている。短文ならよいが、長文の場合は、いったんどこかに入力しておきたいときもあるだろう。そのようなとき、iPhoneに最初から入っている「メモアプリ」を使おう。基本操作は別記事で説明しているので、本記事ではメモアプリの便利技を厳選して紹介する。たかがメモアプリ、されどメモアプリ、さまざまな使い方があるので、参考にしてほしい。
※本記事はiOS15.6の画面で解説している。
▼iPhone標準搭載【メモアプリ】の使い方 文字入力からPDFの作成方法まで便利な基本操作を1から解説〈前編〉
▼iPhone標準搭載【メモアプリ】の使い方 タグの付け方、共有、復元方法など基本操作を1から解説〈後編〉
手入力せず音声でメモを作成する
・音声で文字を入力する
メモアプリは、音声入力にも対応している。音声入力というと、正確さに欠けると思っている人もいるだろうが、最近の音声入力は精度が高くなっているので、文字入力が苦手な人に限らず、ひとまず試してほしい。
文字を入力する際のキーボード右下にある「マイク」をタップしてスマホに話しかければ入力される。
キーボードに「マイク」がない場合は、キーボード左ある「地球儀」のアイコンを長押しし、「キーボード設定」→「音声入力」をオンにしよう。「設定」アプリの「一般」→「キーボード」から設定してもよい。
「。」や「、」などの句読点も、「まる」「てん」と話しかければ入力してくれるし、「!」は「びっくりまーく」、「?」は「はてな」で入力可能。改行するときには「かいぎょう」と話しかけよう。
・Siriを使って入力する
両手を使う仕事をしているときは、スマホを触れないので、Siriを使うといい。メモアプリを起動せずに、「Hey Siri(ヘイシリ)メモを作成」と呼びかけると、「メモの内容はどうしますか?」と聞かれるので、内容を話しかければメモを作成してくれる。
Siriがオフになっている場合は、「設定」アプリの「Siriと検索」をタップし、「“Hey Siri”を聞き取る」をオンにする。設定画面が表示されたら、画面の指示に従って操作すればオンになる。ロック画面でも使う場合は、「ロック中にSiriを許可」をオンにする。
すばやく紙文書をPDFにする
電子文書が当たり前の時代だが、いまでも紙でやり取りする場面も多い。紙の書類を電子化するにはPDFが一番使われているが、メモアプリでもPDFにすることが可能だ。
メモアプリの「カメラ」アイコンから「書類をスキャン」をタップすれば、PDF化できるのだが、ここでは最短でPDFにする方法を紹介しよう。
ホーム画面のメモアプリのアイコンを長押しし、「書類をスキャン」をタップする。すると、スキャン画面が表示され、右上が「自動」になっているとカメラを書類に向けるだけでスキャンできる。右上が「手動」になっている場合はタップして「自動」に変えられる。スキャンしたら、「保存」をタップ。
PDFファイルとして保存または送信したい場合は、タップして右上の「共有」アイコンから「”ファイルに保存”」または他のアプリに送ればよい。
英語の書類を翻訳してメモにする
・英文を読み取る
iOS15では、英文の翻訳が簡単にできるようになり、スキャンで文字認識もできるようになった。ここでは、英文の書類を翻訳して日本語のメモにする方法を紹介しよう。
まず、メモの作成画面下部にある「カメラ」アイコンをタップして、「テキストをスキャン」をタップする。黄色の枠で囲まれたら「入力」をタップ。その際、長文は一度に読み取れないので、上から順番に読み取っていこう。
・日本語に翻訳する
メモに英文が貼り付けられたら、英文の上を長押しし、「すべてを選択」をタップ。表示されたメニューの右向き三角をタップし、「翻訳」をタップ。
下部にスクロールし、「翻訳で置き替え」をタップすれば、日本語のメモが完成。
なお、大変便利な「テキストをスキャン」だが、現時点では日本語に対応していない。中国語やフランス語、ドイツ語などは対応している。
メモの電話番号から電話をかける
・入力した電話番号に電話をかける
メモアプリに、取引先の電話番号を入力したとき、電話番号はオレンジ色と下線で表示され、リンクとなる。そして、タップすると、電話をかけられる。SMSやLINE Outも選択可能。
「連絡先追加」をタップして電話帳の連絡先に登録することもできる。
・紙に書かれている電話番号をメモにする
現時点では、紙に書かれている文字を読み取れる機能は日本語に対応していないが、英数字は読み取れるので、紙を見ながら電話番号やコード番号などを入力する手間を省ける。
これを利用して、電話番号をメモに入力してみよう。メモの作成画面の下部にある「カメラ」アイコンをタップし、「テキストをスキャン」をタップする。
作成したメモをPDFにする
文字や図形を入力して作成したメモをPDFにすることもできる。企画書の概念図や集合場所の地図など、手書きしたものをPDFで送りたいときに便利だ。
メモを開いたら、右上の「三点リーダー」をタップし、「プリント」をタップする。すると「プリントオプション」画面が表示されるので、下部のプレビューをピンチアウトする。
大きく表示されたら、左下の「共有」アイコンをタップし、「”ファイル”に保存」をタップするとiPhoneに保存される。クラウドやメールなどにPDFとして送ることも可能。
手書きした文字をテキストに変換する
急いでメモしたいとき、指でなぞって手書きした方が速い場合もある。その手書きした文字をテキストに変換することが可能だ。手書きの内容を誰かに送ることになったり、ワードで使うことになったりしたときなどに使える。
手書きモードで、下部の「投げ縄ツール」をタップして手書きの文字の周囲をドラッグで囲む。囲んだ部分を長押しし、メニューにある右向き三角をタップ。「テキストとしてコピー」をタップする。
貼り付け先で長押しし、「ペースト」をタップする。あるいは新規メモにペーストする。下図のような乱筆でも正確に変換してくれるが、変換できなかった場合は修正すればよい。
複数人でメモを作成する
・メモの共有設定をする
メモアプリには、自分以外の人もメモにアクセスして使える機能がある。打ち合わせの資料や企画書などを、複数人で作成するときに役立つ。
メモの作成画面で、右上の「三点リーダー」をタップし、「メモを共有」をタップする。「共有オプション」をタップし、相手も編集できるように「変更可能」をタップする。
共有する相手に送る手段として、メールを選択し、相手のメールアドレスを入力して送信する。
ただし、相手もiPhoneやiPadなどのApple製のデバイスが必要で、Apple製以外のデバイスではこの機能は使えない。
・共有相手が承諾する
招待された人は、届いたメールのリンクをタップし、「開く」をタップすると、メモが表示される。
共有しているメモには、「メモ」リストのメモに丸がつき、メモを開くと、右上に共有のアイコンが表示される。
・変更履歴を見る
誰がどの部分を編集したかを知りたい時には、画面を右方向にスワイプする。色別で変更箇所がわかるようになっている。
一度に複数のメモにタグを付ける
メモアプリでメモを探しやすくするために、メモにタグを付ける習慣を付けてほしいが、同類のメモが増えてきたときなど、後からタグを付けたいときもあるだろう。そのような場合でも、一度に複数のメモに同じタグを付けることが可能だ。
「メモ」リストの画面で、右上の「三点リーダー」をタップし、「メモを選択」をタップする。タグを付けるメモをタップし、下部の「タグ」をタップする。
次の画面でタグをタップして、「完了」をタップする。そうするとすべてのメモにタグが付く。
ただし、この方法は既存のタグから選ぶことになるので、新しいタグを付けたい場合は、いったんいずれかのメモを開いて、タグを入力しておく必要がある。
手書きの〇や□をきれいに描く
メモアプリは、文字の入力だけでなく、〇や□などの図形を手書きできるのもよいところだ。とはいえ、ドラッグ操作でうまく描けない人も多い。
実は、〇や□などを描いた終点で、指を画面に置いたままにすると自動的に綺麗な〇や□を描いてくれる。三角、矢印、雲、ハート、星、五角形、吹き出しなどの形もきれいに描けるので、組み合わせて絵を描いてみるのもおもしろい。
さらに、画面に罫線や方眼を表示させると描きやすくなる。右上の「三点リーダー」をタップし、「罫線と方眼」をタップする。ノートのような横線や方眼用紙のような線から選ぶことが可能だ。
手書きした図を画像にする
描いた図をワードやパワーポイントなどに貼り付けて使うこともあるかもしれない。そのようなとき、手書きした文字や図形を画像にして保存すれば、簡単に貼り付けができる。
「三点リーダー」をタップし、「コピーを送信」をタップし、「画像を保存」をタップすればよい。
なお、テキストと手書きが混ざっているメモの場合は、別々の画像で作成される。
地図をメモに追加する
メモアプリでは、住所を入力すると、下線が付き、タップして地図が表示されるようになっている。
だが、地図へのリンクだけより、やはりメモの中に地図があった方がわかりやすい。また、メモをPDFや画像にした場合にリンクが解除されるので、困ることもある。そこで、メモに地図を入れる方法を紹介しよう。
メモアプリのメモに地図を入れるには、iPhoneにはじめから入っている「マップ」アプリを使う。
地図にしたい場所を検索して表示させたら、「三点リーダー」をタップし、「共有」をタップして「メモアプリ」をタップする。一覧にない場合は「その他」をタップして選択しよう。保存先を指定し、「保存」をタップすると、メモに地図が入る。
Webページをメモに追加する
・SafariからWebページのリンクを追加する
メモアプリのメモに、WebページのURLを入力すると、タップして移動できるリンクになるが、URLだけだと何のリンクだかわからない。
そこで、Safariアプリで表示しているWebページをメモアプリに送ると、タイトルも表示され、わかりやすいリンクになる。
SafariアプリでWebページを表示し、「共有」アイコンをタップして「メモ」をタップする。一覧にない場合は「その他」をタップして選ぼう。次に、保存先をタップして指定する。
送ったメモを開くと、Webページへのリンクが張られているので、タップするとそのページにアクセスできる。
お気に入りのWebページを集めてブックマークのように使ってもよいし、企画書に使うネタを探しているときに文章とWebページを一緒に保存するのもよい。他の人と共有しながら作成できるというメリットもある。
・Webページを画像にしてメモに追加する
リンクではなく、Webページを画像としてメモに入れたい場合は、スクリーンショットを使おう。電源ボタンを押しながら、iPhone本体の左にある「音量を上げる」ボタンを押す。すると今見ている画面が画像になり、左下にサムネイルが表示される。
いま見えている部分だけを使うことも可能だが、スクリーンショットを撮った後に、サムネイルをタップし、上部の「フルページ」をタップすると、見えていない部分を含めて、ページ全体を画像にできる。
フルページにしてこのまま保存するとPDFになるが、今回は画像にしたいので、右上の「共有」アイコンをタップし、「コピー」をタップする。
そして、メモアプリのメモ作成画面を開き、画面上を長押しして「ペースト」をタップする。
LINEトークをメモに追加する
LINEのトークのやり取りをメモに貼り付ける方法もある。メッセージのコピペではなく、トーク画面の画像なので、確かにメッセージを送ったという証拠にもなる。
LINEのトーク画面で、メッセージを長押しし、「スクショ」をタップ。明るくなっている箇所がメモに送る部分なので、タップして必要なメッセージを選択する。
メッセージが明るくなったら「スクショ」をタップ。
続いて、左下の「共有」アイコンをタップ。「他のアプリ」をタップし、「メモ」をタップしてメモアプリに送る。
パソコンでメモアプリを使う
メモアプリをパソコンでも使えるようにするには、メモアプリのメモをiCloudに保存するだけだ。iCloudは、インターネットを介してどこからでもアクセスできるクラウドサービスなので、普段からiCloudにメモを作成するようにすれば、いつでもパソコンやiPadでもメモを見ることができて便利だ。スマホでメモをしておき、パソコンのエクセルやワードなどに貼り付けて使うこともできる。
パソコンでメモアプリにアクセスするには、iCloud.comにアクセスして、iPhoneで使用しているApple IDでサインインする。
その際、2ファクタ認証または2ステップ確認を設定している場合は、スマホの画面に、パソコンからのアクセスが信頼できるか否かのメッセージが表示されるので、「許可する」をタップする。すると数字が表示されるので、パソコンにその数字を入力し、「信頼する」をタップする。
サインインしたら、表示された画面の「メモ」をタップすると、iPhoneで使っているメモアプリが表示される。
なお、メモアプリのフォルダ画面にiCloudがない場合は、iPhoneの「設定」アプリを開き、「メモ」→「アカウント」→「アカウントを追加」→「iCloud」をタップしてApple IDを入力する。
GmailやYahooメールにメモを表示させる
メモアプリに、GmailやYahooメールのアカウントを追加して、メールアプリ上にメモを表示させることができる。
まずは、メールアプリのアカウントを追加する。iPhoneの「設定」アプリの「メモ」をタップし、「アカウント」をタップする。「アカウントを追加」をタップし、「Google」または「Yahoo!」をタップしてログインし、「メモ」をオンにする。
すると、メールアプリのメニューに「Notes」というラベルが追加され、タップするとメモアプリのメモが表示される。
これで、いつでもメールアプリでメモを使えるようになる。書き溜めたメモからいくつかをピックアップしてメールで送りたいときに、メモアプリとメールアプリを何度も切り替える必要がないので、メモアプリを頻繁に使う人は設定しておくとよいだろう。
ただし、メールアプリ側で、メモを作成したリ、編集したりはできない。また、メモアプリ側も、iPhoneやiCloudのメモをメールアプリのアカウントに移動させることができず、手書きやチェックボックス、表などの機能が使えない。
まとめ
以上、iPhone標準搭載「メモアプリ」の便利技を紹介した。iOSの音声入力や文字認識などは、今後も精度が向上するだろうし、メモアプリ自体も、Apple純正なのでさらに使いやすい設計になっていくはずだ。メモをiCloudに保存しておけば、他の端末からもアクセスできるので、手帳やメモ用紙のように置き忘れや紛失によってメモが見られなくなるということがない。「メモはメモアプリで」という習慣を付けて活用しよう。