一般的なご家庭でカメラ(デジタルカメラ)の出番といえば、子どもの運動会と各種発表会でしょう。2歳の息子がいる筆者の家でも、運動会の日は、カメラも筆者も仕事ではなく家庭サービスの日になるわけです。この運動会「どう撮ったらいいの?」と聞かれることがよくあります。これに対する失敗しにくい撮影設定の基本と、小さな子どもを撮影するなら運動会前にぜひ買っておきたいダイソーの「園芸ひざあて」100円を紹介します。
執筆者のプロフィール
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齋藤千歳(さいとう・ちとせ)
元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在はキャンピングカーを「方丈号」と名付け、約9平方メートルの仕事部屋として、車内で撮影や執筆・レビューなどを行っている。
子どもが小さいなら事前に買っておきたい「園芸ひざあて」
小学校低学年くらいまでの子を撮るなら、買って置いて損はない
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ダイソーのガーデニングコーナーで発見した「園芸ひざあて」100円。筆者は「これは絶対使える」と確信して即買いしました。
子どもの運動会にダイソーの「園芸ひざあて」がおすすめという「意味がわからん!」と思われる方もいるでしょう。しかし、お子さんの身長が立てひざになったご自身よりも小さい場合はダイソーの行った際に「園芸ひざあて」を購入しておくことをおすすめします。
理由は運動会などで、迫力のある写真を撮りたいと思ったら、カメラは子どもの目の高さに構えるのがおすすめだからです。しかし、我が家の2歳の息子は身長が約80cmちょっと。
彼の目の高さにカメラを構えると、筆者は運動会の撮影中ずっと立てひざの姿勢になります。これが結構つらい。
体力的につらいのはなんとかなるのですが、立てひざでヒザをつく位置が土ならまだしも、砂利やアスファルト、コンクリートになると長時間立てひざにいるのはちょっとした拷問です。そのためダイソーの「園芸ひざあて」100円をみつけたら、入手しておくことをおすすめします。たった100円なので、一度しか使わなくても十分に元がとれるでしょう。筆者は望遠レンズ用のカメラバッグに入れて、繰り返し使っているので、とてもコストパフォーマンスが高いです。
「本当にいるの?」と思う方も多いでしょうが、実際に使っていると隣で撮影していたほかの子のお父さんは「なんかそれずるい」といった表情で筆者をみていました。
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筆者も決してかっこいいとは思いませんが、写真に写っている縁石の部分などに立てひざをすることになっても「園芸ひざあて」があれば安心です。
運動会は「シャッター優先AE」、「S」や「Tv」モードがおすすめ
まずは「シャッター優先AE」に設定しましょう
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「シャッター優先AE」は多くのカメラの場合モードダイヤルなどで「S」や「Tv」を選択。シャッター速度を決めて撮影できるようになります。
デジタル一眼レフやミラーレス一眼を使っている方を想定して解説していますが、普段はフルオートやプログラムAE、絞り優先AEを使っている方が多いのではないでしょうか。しかし、運動会撮影では「シャッター優先AE」をおすすめします。多くのカメラではモードダイヤルなどでカメラのモードを「S」や「Tv」に設定すると「シャッター優先AE」が選択できます。
このモードを選択するとメインダイヤルなどで撮影時のシャッター速度を指定できるようになるので、運動会ならば1/500〜1/1000秒を選択するのがおすすめです。とりあえず、小さなお子さんなら1/500秒に設定するとよいでしょう。
「ISO感度」は「オート」が圧倒的におすすめ
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「ISO感度」を設定する画面がどのカメラにもあるはずです。ここで「オート」を選択。できれば、選択するISO感度の制限もなくしておくのがよいです。
まず間違いなく、すべてのカメラに「ISO感度」という設定があるはずです。そして「ISO感度」設定に「オート」があるはず。結構古いデジタルカメラなどではないこともありますが、最近のデジタルカメラで「オート」がないことはまず考えられません。なにも考えずに「オート」を選択してください。
また、カメラによっては「ISO感度」「オート」を選択したときの「ISO感度の上限」といった設定があるものもあるはずです。これがある場合は、選択できるなかでもっとも大きな数値を設定してください。
数値の大きなISO感度を設定すると画質が低下するといった現象が起きるのですが、ここでは失敗しないで撮影できることを優先します。
AFは「サーボ」もしくは「コンティニュアス」・「顔認識」は「オン」
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多くの一眼カメラの場合、動いているものの撮影に向いた「コンティニュアス」や「サーボ」といったAFモードがあるので、そちらを選択します。
ほとんどのレンズ交換式の一眼カメラの場合、動いているものを撮影するのに向いた「コンティニュアス」や「サーボ」といったAFモードを搭載していますので、運動会を撮影するなら、このような動いているものに向いたAFモードを選択します。
また、最近では「顔認識」機能をついているカメラも一般的なので「顔認識」が使えるときは「オン」にするのがおすすめです。カメラによっては「顔認識」が「人」と「動物」などで別れていることがあるので、しっかりと「人」を選択しておきましょう。
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最近ではほとんどのレンズ交換式のデジタル一眼カメラに搭載されている顔優先AF。積極的に使うことをおすすめします。
「AFフレーム選択」はカメラ任せでOK
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「AFフレーム選択」画面内のどのAFセンサーでピントを合わせるか? を選択できますが、基本的にカメラ任せのオートやワイドといったモードでよいでしょう。
「フォーカスエリア」や「AFフレーム選択」などといわれて、よくわからない方は基本的にカメラがピントを合わせるAFセンサーの位置を自動で選択してくれるワイドやオートといったモードを選択しましょう。ほとんどの場合、初期設定がワイドやオートといったモードになっています。
また注意したいのは「フォーカスエリア」などの設定を変更すると「顔認識」が機能しなくなるカメラもあります。運動会などの人物撮影で「顔認識」は非常に便利なので「顔認識」が動作するモードを優先して設定しましょう。
露出補正は子どもの運動会なら+0.7EVがおすすめ
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「露出補正」はカメラの「+/-」と表記されたボタンなどから設定できる撮影する明るさをコントロールする機能です。
レンズ交換式デジタル一眼カメラのほぼすべてに「露出補正」という機能が付いています。設定を行うボタンに「+/-」という表記がされていることが多いのですが、プラスマイナスを調整することで、撮影する写真の明るさを調整することができます。
子ども運動会というシーンであれば、少し明るく「+0.7(EV)」くらいに設定することをおすすめします。
連続撮影は基本的に「高速」がおすすめ
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運動会のような動くものを撮影する場合は1枚撮影などではなく、連続撮影を選択することをおすすめします。
普段の撮影では単写や1枚撮影などを使っているかもしれませんが、運動会のように動くものを撮影するなら、連続撮影がおすすめです。多くの場合Hi(高速)、Mid(中速)、Lo(低速)などが選択できるでしょう。普通は高速を選ぶのがおすすめです。
ただし、一部の高性能モデルでは高速を選ぶと連続撮影速度が速すぎるといった問題が発生することがあるので、そういった場合は適宜調整してください。また連続撮影速度の選択によっては撮影機能などに制限がかかるモデルもあるので、ご自身のカメラの連続撮影モードについて、撮影前に確認しておくと安心です。
「ホワイトバランス」は「オート」を選択しておくと安心
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筆者は、最近のデジタルカメラであれば、基本的にホワイトバランスは「オート」を選択しています。
画像の光線に対する色味を調整する「ホワイトバランス」がよくわかっていないなら、運動会では「オート」がおすすめ。どうしても調整したい場合は、晴天の屋外なら「晴天」や「太陽光」もありですが、失敗しないことを優先するなら「オート」がおすすめです。
「カラーモード」は「スタンダード」や「オート」がおすすめ
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基本的にはカメラの初期設定のままの「スタンダード」を選択。物足りなく感じるときは「ビビッド」を選択するのもありでしょう。
画像の彩度やコントラストなどを調整する「カラーモード」。メーカーによって「ピクチャースタイル」や「クリエイティブスタイル」などの名称が付いていますが、基本的には初期設定の「スタンダード」や「オート」がおすすめです。
できれば超望遠ズームとスタンドポッドの組み合わせなどがおすすめ
運動会撮影においては、望遠ズームが基本です。レンズ交換式のデジタル一眼カメラをダブルズームキットなどで購入した方の場合70〜300mmといった望遠ズームがセットになっているはずです。しかし、子どもが保育園などに入ったら、筆者は150〜600mmクラスの超望遠ズームを購入することをおすすめします。このクラスの超望遠ズームは安くても9万円前後からといいお値段がしますが、実は中古での下取り価格も安定しているので、子どもの運動会などを撮影しなくなったら売却するつもりで大切に使えば、かなりコストパフォーマンスが高い。実際、筆者は300mmクラスでは保育園でも子どもをイベントでアップにしきれないと感じています。
筆者が実際に保育園の息子の運動会を撮影するのなどに使っているのは「SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports」。決して安いレンズではありませんが、一度使うと手放せません。
また、望遠レンズは手ぶれを起こしやすい傾向にあり、イベントなどで長時間撮影すると疲れてしまうので、三脚や一脚を使うのがおすすめです。ただし、現在筆者はレンズとカメラの重さによってセレクトを変更しますが、SLIK(スリック)の「スタンドポッド」シリーズを愛用しています。一脚の下に小型三脚を付けたような構造で、ある程度なら自立するうえに三脚のように設置に場所をとらないので、運動会といったイベントに最適、とてもおすすめです。
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ハイアングルで撮影可能な全高1,873mmを実現
伸縮式のステーを装備。開脚角度を変更して安定性が向上
付属パーツを使用して、一脚や卓上三脚としても使用可能
DIN規格クイックシューを採用
重量:1035g
最大搭載荷重:1kg
本製品は一般の三脚のようには安定しませんので、使用中は必ずそばについて離れないで下さい。
筆者はスリックの「スタンドポッド」がお気に入りでいくつかを使いわけています。掲載したのは「スタンドポッドGX-N」。スマホにも対応する最新の「スタンドポッドGX-S」も2022年9月22日発売予定です。
何枚か撮影したら、写真の明るさを確認しておきましょう
運動会(ある程度以上晴れた屋外)であれば、紹介した設定でピントを合わせて、連続撮影すれば、ピントが合っていなくても、それなりの適切と感じる明るさで写真が撮影できているはずです。もし、撮影した写真の明るさが適度だと感じない場合は「露出補正」で明るさをさらに調整してみてください。それでも極端に明るい、もしくは暗い場合は設定に間違いがないかを再チェックし、間違っていないなら、明るい過ぎる場合はシャッター速度をさらに速くする、暗すぎる場合は、ぶれが発生する確率が上がりますがシャッター速度を遅くするといった対応を試してみてください。
また、撮影に慣れてきたら、シャッター速度を少し遅くすると走っているときの手足だけをぶらすといった表現も可能になるので、余裕があればシャッター速度を速くしたり、遅くしたりしてみるのもおすすめです。
まとめ
ちょっと撮り過ぎだと思うくらいシャッターを切っておきましょう
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徒競走に参加しているはずのウチの息子。今年の運動会は泣いている間に終わったようです。これも、記録として十分に楽しいと思っています。
使っているカメラやレンズの性能にもよりますが、激しく動いている人物を望遠レンズで撮影する運動会撮影は、ぶれたり、ピントが外れたりと失敗写真がたくさん発生します。基本的にプロでもすべての写真が成功するわけではありません。
そのため、連続撮影モードを使って、たくさん撮影しておきましょう。そんなにたくさん撮影したら記録メディアの容量が足りないという方もいるかもしれません。そんなときは記録サイズを小さくしておくのもおすすめです。以前はカメラで記録できる最高画質で、できればRAW画像もいっしょに撮影しておくのが基本と解説していたのですが、最近ではA3といった大きなサイズでプリントするといった予定がなければ、画像を小さくするのもありだと筆者は思っています。また、RAW画像についても、RAW画像がなにかを理解されている方は意図的に保存しておくのもよいでしょう。そうでない方はJPEGだけを選択して、少し小さな軽いデータでたくさん撮るのがおすすめです。ちなみに上に掲載したウチの息子の写真は600×400ピクセルしかありません。
当たり前ですが、シャッターを切っていないシーンが写ることはありませんので、できるだけたくさんシャッターを切って、2度とないシーンを数多く撮影しておきましょう。筆者は2歳の息子の10m程度の徒競走ですら、数十枚は撮影しています。