【高齢者の運転】安全に乗るためのポイントは?身体の変化を見極めることも大切

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たとえば、目の衰えを感じたら速度を控えめにして、夜間の運転はなるべくしないようにする。あるいは足の衰えを感じたら、サポカーや障がい者仕様車の導入も検討しましょう。衰えた身体をサポートしてくれる車の導入も、事故を未然に防ぐ意味で必要です。【解説】会田肇(自動車ジャーナリスト)

[別記事:【高齢ドライバー】過去3年間の違反で「運転免許技能検査」対象に!不合格になった場合はどうなる?→]

本稿は[『75歳からの免許更新はこれでバッチリ!運転免許認知機能検査完全ガイド』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

解説者のプロフィール

会田肇(あいだ・はじめ)

自動車雑誌出版社で編集職に携わった後、フリーランスへ。カーナビ等インフォテイメント系の分野に詳しく、高齢者の運転問題にも取り組む。使い手の立場でわかりやすいレポートを心掛け、掲載媒体は自動車専門媒体からモノ系媒体にまで及ぶ。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

運転操作ミスが事故を誘発してしまう!

高齢ドライバー(特に75歳以上)に多いのが、運転操作ミスによる交通事故です。

警察庁が2021年3月に公表した報告によると、過去3年間に死亡・重傷事故を起こした75歳以上の運転者は、一定の違反行為のあった割合が全体と比べると約2.1倍にもなるそうです。高齢化に伴う運転ミスが違反を誘発し、それが事故につながっている可能性も否定できません。

免許人口10万人当たり高齢運転者による死亡事故件数の推移

運転免許保有者10万人当たりの交通事故死者数を見てみると、全体的に低下傾向にあるが、75歳以上が5.7件と、75歳未満の2.6件に対して多い点は変わらない。要因を見ると、75歳以上では「ブレーキとアクセルの踏み間違い」が多いのが特徴だ。

2022年5月13日に施行された改正道路交通法を見ますと、まず70歳以上のかたに課される高齢者講習の内容が変わり、2時間の講習に一本化されました。また、75歳以上のかたは、講習に加えて認知機能検査が実施されますが、その内容が簡素化されました。

しかし、過去3年間に一定の違反行為(下記)がある場合は、実車による「運転技能検査」が義務づけられるようになりました。

これらによって、事故を起こす可能性のあるドライバーをふるいにかけ、交通事故の発生を未然に防止しようというわけです。

運転技能検査の
対象となる違反
(4) 速度超過 (8) 交差点安全進行
義務違反等
(1) 信号無視 (5) 横断等禁止違反 (9) 横断歩行者等
妨害等
(2) 通行区分違反 (6) 踏切不停止等・
遮断踏切立入り
(10) 安全運転義務違反
(3) 通行帯違反等 (7) 交差点右左折
方法違反等
(11) 携帯電話使用等

よく「高齢になったら運転免許は返納すべき」との意見を聞きます。実際、私も家族から「70歳を超えたら返納を考えてね」と機会あるごとに告げられます。

しかし、人によって身体能力は異なります。返納だけを勧めるのは問題を棚上げにするだけで、真の解決にはつながりません。特に、車が欠かせない環境にいる人にとっては迷惑な話でしょう。だからこそ、私は今回の改正道路交通法が高齢者の事故減少につながることを期待しているのです。

とはいえ、運転するには自分自身が心がけるべきことがたくさんあります。

そのなかで重要なのは、日常の運転行為を自分で振り返ることです。私も高齢者の領域に入ってきていますが、運転中は、今の運転が正しかったのか、周囲に迷惑をかけていなかったか、といったことをできる限り考えるようにしています。

それに加え、運転時の正しい姿勢が体に身につくよう、日々の運転で徹底して心がけています。たとえば、運転をはじめるときはエンジンをかける前に、左足を必ずフットレストに置いてシートベルトをします。こうすることで、正しい姿勢での運転がスタートできます。

また、料金所での支払いでは必ずシフトレバーをパーキング(P)に入れます。料金所では支払いのために体を伸ばすことになり、これがアクセルの踏み間違いを誘発するからです。

後退時でも同じです。後退時はシートベルトなしでもいいことになっていますが、これが間違いの元。後退時に後ろを振り返れば、姿勢はおのずと崩れ、踏み間違えやすくなりますからね。

身体能力が衰えたらサポートしてくれる車の導入を検討しよう

ただ、高齢になると気をつけること自体が煩わしくなるといわれますが、これが習慣化していれば、意識せず体が自然に動くようになります。本当はそうなるまで、若いうちから正しい運転姿勢や操作を続けることが重要です。

身体の変化を見極めることも大切です。たとえば、目の衰えを感じたら速度を控えめにして、夜間の運転はなるべくしないようにする。あるいは足の衰えを感じたら、サポカーや障がい者仕様車の導入も検討しましょう。衰えた身体をサポートしてくれる車の導入も、事故を未然に防ぐ意味で必要です

新車を購入する余裕がないかたには、月払いで車に乗れるトヨタの「KINTO」という選択肢もあります。KINTOでは免許返納後、本来なら必要な違約金なしで車を返却することができます。サブスク(※サブスクリプションの略で、定期購読や定期購入のこと)なので、最新の安全装備を備えた新車が気軽に乗れるわけです。

それでも、「違反の回数が増えた」「些細なミスや接触事故が増えてきた」などと感じるようになったら、運転してきたという過去のプライドは捨てる時期なのかもしれません。そうした意識を持つことも、また重要なのです。

アクセルとブレーキを踏み間違えても急発進を防いでくれる「安全運転支援アイテム」

高齢者の運転で特に気をつけたいのが、アクセルの踏み間違いです。

もちろん高齢者だけではなく、若い人でも踏み間違いはします。ただ、そのあとで、若い人なら踏み間違いにすぐに気づいて事なきを得るのですが、高齢者は間違いに気づくのが遅れたり、パニックになったりしてそのままアクセルを踏み続けてしまう場合が多いとのことです。

そんなときに役立つのが「アクセル見守り隊」です。本製品を取りつければ、停車中や徐行中にアクセルペダルを強く踏むと、アクセル信号をアイドリング状態にして急発進を防止することができます

アイドリング状態なら車はクリープ状態となりますから、ゆっくりと進むだけで縁石を乗り越えたりすることもありません。さらに、アクセルとブレーキを同時に踏んだ場合でも、アクセル信号を制御してブレーキを優先することもできます。

一方で、急坂などで強いアクセル操作が必要なときもあるでしょう。そんなときのために、本製品には機能をキャンセルできるスイッチが備わっています。

さらに、交差点での加速に不安を感じる人は、別売の「ウインカー連動キャンセルアダプター」を使えば、交差点の右折時や左折時のウインカーに連動して機能をオフにすることもできます。

本製品は、さまざまなメーカーの200車種以上に後づけできるのもうれしいところです。

なお、一部の自治体では、本体代金や部品代、取付工賃の一定額が補助される制度が実施されているので、事前にしっかり調べておきましょう。

データシステム
アクセル見守り隊 SAG297
実売価格例:3万800円

※1 時速10km以下での前進・後退。
※2 クリープ現象により車両はゆっくり前進または後退する。

作動時は警告音とLEDで知らせてくれる。アクセルの踏み込みに対する感知レベルは5段階。初期設定では最も感知しやすい「1」に設定されている。また、ブレーキハーネスを装着すれば、ブレーキとアクセルを同時に踏み込んだ場合にも、作動させることができる。

装着には、車種別の「アクセルハーネス」(同4400円)が必須。さらに、アクセルとブレーキの同時踏みにも対応したいなら、車種別の「ブレーキハーネス」(同3300円)の装着も必要となる。いずれも、別途取付工事が必要。

オートバックスでは取付工事付きの専売品を用意

データシステム
ペダルの見張り番II
実売価格例:4万4000円[取付工賃まですべて含まれる]

オートバックスで販売される「ペダルの見張り番II」。装置自体は「アクセル見守り隊」と同じものだが、アクセルハーネスやブレーキハーネスの代金や取付工賃が含まれていることに違いがある。

※情報は記事作成時のものです。
※この記事は『75歳からの免許更新はこれでバッチリ!運転免許認知機能検査完全ガイド』(マキノ出版)に掲載されています。

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