【終活「葬儀・お墓」編】生前に準備できることはやっておこう!エンディングノートに書き記すのもおすすめ

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葬儀の準備としては、参列者の名簿作成や、葬儀費用の生前見積もりなどを済ませておくと遺族の負担を軽減できます。また、お墓については何も決めていないままだと、費用や継承の面で計り知れない負担となります。意向を周囲に伝えて、段取りを付けておきましょう。

[別記事:【終活の「終」の準備とは】家族が困らないように「意思表示」をしておくことが大事→]

本稿は『老後とお金の不安が軽くなる 終活の便利帖』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

【葬儀】まずは参列者名簿を作る

葬儀の準備として最初に必要なのが、参列者の名簿です。生前に作っておくと、3つの利点があります。

まず、葬儀にかかるお金を把握できることです。葬儀の価格は参列者の人数で決まります。人数が少なければ小さな式場や祭壇で済みますし、お返しや料理も少なくなるため、価格は抑えられます。逆に人数が多ければ多いほど金額がかさみます。

次に、残される家族が参列者に連絡を取りやすくなることです。さらに名簿をコピーして使えば、遺族や親族が分担して連絡することもできます。

最後は、自分の交友関係を改めて振り返ることができます。連絡先の整理をすることで、長年連絡を取っていなかった友人との交流が再び生まれるきっかけになるかもしれません。

生前見積もりをとり葬儀費用を把握する

葬儀費用を残しておくことも大事な準備です。参列者名簿をある程度仕上げ、宗教や宗派を決めれば葬儀にかかる費用の目安がわかります。

葬儀費用を貯蓄して残す場合、本人名義の口座だと亡くなったときに凍結されてお金が引き出せなくなり、葬儀代の支払いに間に合わなくなることがあります。

そういった事態に備えて、葬儀費用は本人以外の名義の口座に貯蓄したり、家族の中で立て替えたり、分担したりすることも決めておきましょう。また、葬儀保険や互助会などに加入しておくのもいいでしょう。

葬儀費用を把握するには、葬儀社に事前相談したり、生前見積もりをするのがおすすめです。人数や宗教、宗派などを伝えれば、葬儀社は適した式場やプランをピックアップしてくれます。

実際に、見積もり依頼をする場合には、複数の葬儀社から取り寄せましょう。価格が比較でき、どのくらいの金額を用意しておけばいいのかがわかります。

棺に入れて欲しいものを検討しておく

最近では、白装束ではなく、お気に入りの着物やとっておきの洋服で旅立つ人が増えています。実際に着せるのが困難な服であっても、棺に移動してから体の上にかけるなど工夫ができます。さらに、副葬品として思い出の品も入れられます。

副葬品として棺によく入れられるものとして、好きだった花や思い出の手紙、旅立つ人に対して家族や友人から送られた手紙、さらに死後の幸福を願って千羽鶴や朱印帳などがあります。

一方、日本では火葬を前提としているため、副葬品として入れられないものもあります。

燃えない素材が使われている腕時計や指輪などは遺骨を傷つける原因となるのでNGです。また、生きている人が写っている写真や紙幣なども入れてはいけません

以上のことを踏まえて、棺に入れて欲しいものを検討しておきましょう。

副葬品として入れられるもの、入れられないもの

項目 内容
入れられる 花/手紙・色紙/故人の写真/洋服(燃えやすいもの)/千羽鶴・朱印帳
入れられない 金属・ガラス/紙幣/カーボン製品/革製品・ビニール/生きている人も写っている写真/爆発など危険性のあるもの
要相談・
事前申請
ペースメーカー/食べ物/分厚い書籍/ぬいぐるみ

遺影候補の写真を探す・撮影する

遺影の候補となる写真を自分で選んでおくと、遺族に遺影選びの手間をかけさせずに済みます。

プリントで写真を保存していた時代と違って、今はデジタルカメラやスマートフォンの中に膨大な写真が入っています。本人が亡くなったあと、遺族がデジカメやスマホの中の写真を1枚ずつチェックし、遺影になる写真を選び出すのはかなりの時間や労力が必要になります。

遺影選びのポイントは、とっておきの1枚を指定しておくのではなく、お気に入りの写真を何枚かピックアップしておくことです。「この中から選んで」と家族に選んでもらうことで、残された人が「あなたらしい」と感じられる、ずっと家に飾っておきたいと思える写真を遺影にすることができるでしょう。

また、遺影候補の写真は、写真館などでプロのカメラマンに撮ってもらうことができます。予算はかかりますが、故人の死後もずっと飾られる写真ですので、それだけの価値はあります。写真館によっては、出張サービスを行っているお店もあるので、自宅療養をしている方でも撮影してもらえます。

【お墓】現状を踏まえ「お墓」の選択肢を確認する

自らの終の棲家であるお墓。その管理や費用は、残された人の負担になりかねません

先祖代々のお墓へ入る場合は、まず、その現状を確認しておくのはもちろん、夫婦で一緒に入るかどうかも決めておきましょう。

先祖からのお墓が存在しない場合、自ら建てるとなれば「墓石代・工事費」等で数百万円は覚悟しなければいけません。

費用を抑えたいなら「永代供養墓」や「納骨堂」、あるいは「樹木葬」「海洋散骨」なども選択肢に入りますが、他人と合祀されることで遺骨が取り出せなくなる、お参りの時間等に制限があるなどのデメリットもあります。

お墓の選択肢

個別の墓碑等がある
・先祖代々のお墓に入る(現存する場合)
・新たにお墓を建設する
・永代供養墓(一定期間後合祀)&納骨堂
個別の墓碑等がない
・永代供養墓(即合祀)
・樹木葬
・海洋散骨

お墓についての意向を周囲に伝えておく

人生の終わりはいつやってくるかわかりません。もし終の棲家について何も決めていないままだと、残された者への負担は計り知れないものとなってしまいます。そういった事態を防ぐため、自らの段取りを付けておきましょう。

先祖代々のお墓へ入る場合は、その場所やお墓を管理する人物の連絡先など、書面あるいはエンディングノートを通じて伝えておきましょう。立地の問題や継承者の人材不足で今後存続が危ぶまれそうなら、自ら解体・撤去する墓終い」を行う必要も出てきます

もちろん永代供養墓や納骨堂、樹木葬や海洋散骨などを選択する場合も、生前に予約し、その存在を伝えておきましょう。

永代供養墓&納骨堂は生前に予約しておく

先祖代々のお墓がない場合の選択肢として挙がる「永代供養墓」と「納骨堂」。まずは、その違いを確認しておきましょう。

永代供養墓」は、家族の代わりに霊園管理者が管理・供養を行ってくれるお墓のこと。

費用は、個人のお墓があり契約期間(33回忌までが一般的)が過ぎたら他の遺骨と合祀するタイプは100万円前後、初めから他の遺骨と合祀されるタイプなら20万円前後かかります。

納骨堂」とは、故人の遺骨を納めるスペースが並ぶ建物のこと。都市部のアクセス至便な場所に多く、納骨されている場所自体が室内にあるため、お参りしやすいのも利点です。

費用は即座に合祀されるタイプだと数万円前後。個人の納骨スペースがある場合、一般的なロッカータイプだと20万円前後、仏壇のように豪奢な納骨スペースを備えるタイプは50万円前後となります。

「永代供養墓」と「納骨堂」の違い

永代供養墓 納骨堂
形態 屋外が多い 基本的に屋内
個別参拝
スペース
契約期間中は個別の墓あり
(即合祀タイプを除く)
契約形態によって違う
費用 70万〜150万円
即合祀タイプは20万円〜
10万〜100万円
即合祀タイプは3万円〜

死亡届や各種手続きを書き出したうえで託す

人が亡くなった際には、さまざまな事務的手続きが必要となります。まず思い浮かぶのは死亡届ですが、それ以外にも手続きは多岐にわたります。死後は自らそれらの手続きに関わることができませんが、生前に準備しておくことで遺族の負担を減らせます。

特に年金や保険、預金などの金融関係は、当該機関名や連絡先も含めて書き出しておけば、手続きが楽になるはずです。他にもライフラインや日常生活における契約、各種サービスの契約などもまとめておきましょう。

また、家族には頼みにくい事柄がある場合や、そもそも各種手続きを託せる人がいない場合、専門家(弁護士や司法書士)との「死後事務委任契約」を結ぶという選択肢もあります。

死亡時に必要となる主な手続き

年金・介護保険など社会保障に関する届け出
クレジットカードの精算と解約
生命保険会社へ連絡
税金の精算
健康&介護保険証の返却
運転免許証・パスポートの返納
電気・ガス・水道など公共サービスの解約
ペット保護と託し先への輸送
入院先の精算と荷物引き取り
介護施設解約と荷物引き取り
サブスク、習いごと等の解約

【入院・介護】保険でどこまで医療費をカバーできるかを確認する

長生きすると避けては通れない、入院や介護の問題。どちらもたくさんのお金がかかるので、国の保険制度(公的医療保険、公的介護保険)でどれくらいカバーできるか一度確認しておいた方がいいでしょう。

まずは医療費について。70歳になると「高齢受給者証」が交付されて自己負担額が3割から2割になります。さらに75歳になれば、「後期高齢者医療制度」に自動的に加入し、自己負担割合が最大1割まで下がります。

次に介護費用について。公的介護保険の支給限度額は、介護が必要な状態(介護認定)によって異なります。介護認定は、市区町村の公的介護保険の窓口に申請することで受けられます。

また、一定以上または現役並みの所得がある場合、自己負担割合が変わることも覚えておきましょう。

公的介護保険の支給限度額と自己負担額

区分 支給限度額
(月間)
自己負担額
(1割負担の場合)
要支援1 50,320円 5,032円
要支援2 105,310円 10,531円
要介護1 167,650円 16,765円
要介護2 197,050円 19,705円
要介護3 270,480円 27,048円
要介護4 309,380円 30,938円
要介護5 362,170円 36,217円

介護サービスの支給限度額は要介護度で異なります。例えば要支援1の場合、月々の支給限度額は5万320円です。自己負担額が1割負担なら、サービスに支払う額は5032円となります。

自分の病気の情報をまとめる

自分の病気について、家族が何も知らないというのは大変危険です。もし、持病かかりつけの病院常用する薬があるのであれば、元気なうちにエンディングノートにまとめておき、万が一のときに確認できるようにしておきましょう。

また介護が必要になってから、介護施設を探す(家族に探してもらう)のでは遅すぎます。元気なうちに資料を請求したり、施設を見学して、目星をつけておくのがいいでしょう。

施設の入居には、まとまった額の初期費用と月額費用がかかるので、予算計画もきちんと立ててください。さらに、家族が施設に通いやすいかどうかも重要なので、立地条件も必ずチェックしましょう。

家族のために延命治療の意思を残す

もしものときに延命治療をするかについて、家族はなるべく本人の意思を尊重したいはずです。しかし、本人に相談しようにも、意識がなければそれもかないません。家族に負担をかけないためにも、エンディングノートなどに治療の希望を書き込んでおくといいでしょう。

家族の精神的負担を減らす心遣いとして

成年後見制度で財産管理などを代行してもらいましょう

「判断力が低下して詐欺に遭わないか心配です……」

成年後見制度」とは、判断力が低下した人の代わりに、財産管理(預金の引き出しや振込みなど)や契約手続き等をサポートする制度です。本人の判断力が十分であれば、成年後見人は自分で選んでおくこと(任意後見制度)ができます。本人の判断力が不十分な場合は、家庭裁判所が選任します(法定後見制度)。

●本記事で紹介している情報は、2022年7月15日現在のものです。これ以降の法・制度改正等には対応しておりませんので、あらかじめご了承下さい。
●本記事で紹介している情報をもとに行動したうえで発生したトラブル・損害につきましては、一切の補償をいたしかねます。自己責任の範囲内で検討・実践してください。

■監修/小泉 寿洋(終活カウンセラー1級・ファイナンシャルプランナー(AFP))
■イラスト/宮坂希
※この記事は『老後とお金の不安が軽くなる 終活の便利帖』(マキノ出版)に掲載されています。

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