「生前整理」は、不要なものを処分し、人生の後半期をすっきりとした気持ちで過ごせるようにするための準備でもあります。特に自宅の片づけは、身体が動く元気なうちに、少しずつでも進めておくといいでしょう。また、捨てた捨てないといったトラブル回避のためにも、大切なものは他人に任せず、なるべく自分で選別するようにしましょう。
本稿は『老後とお金の不安が軽くなる 終活の便利帖』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
生前整理で最も重要なポイントは「取捨選択する」こと
「終活」という言葉から、「生前整理」を連想したことのある人も多いのではないでしょうか。
終活の一環として行われるイメージの強い生前整理ですが、死ぬ前の準備をするだけではなく、不要なものを処分し、人生の後半期をすっきりとした気持ちで過ごせるようにするための準備でもあります。
年齢を重ねるとともに、持ちものや資産、関わる人の数が増えていきますが、この章では、自宅の片づけだけでなく、資産の管理、デジタル整理、人間関係の整理の、それぞれの整理のポイントを紹介していきます。
生前整理では、体力と気力が必要になってきます。特に自宅の片づけは、身体が動く元気なうちに、少しずつでも進めておくといいでしょう。
また、捨てた捨てないといったトラブル回避のためにも、大切なものは他人に任せず、なるべく自分で選別するようにしましょう。
生前整理のポイントは、取捨選択をすることです。
基本的に、使わないものは処分するという考え方ですが、もし、すぐに処分できないものがあった場合は、いつまでに使用しなければ捨てる、といったルールを決めておくことで、長期間保管してしまうことを防げます。
ただし、ものを少なくしすぎて、生活しづらくなってしまっては本末転倒です。ただ捨てるだけでもなく、すべてを取っておくのでもなく、いる・いらないを明確にすることが大切です。
目に見えるものだけでなく、人間関係に関しても整理が必要となってきます。年賀状やお中元・お歳暮などだけで付き合いがある人との関係を整理し、今後も付き合いたい人を選んでいきましょう。
生前整理を計画的に実施すれば、自分の死後、残された遺族の負担を減らすこともできます。また、相続をスムーズにし、無用なトラブルを防ぐ効果も期待できます。生前整理を効率的に進めていくためのポイントを押さえ、実践してみましょう。
自宅の片づけのポイント
体力や気力が必要となる自宅の片づけは、身体が動く元気なうちに、少しずつでも進めておくことがポイントです。
また、片づける前に、ものを捨てる決心がつく自分なりのルールを決めておき、4つのステップに沿って片づけていくとスムーズです。
不要になったものは、ただ処分するだけでなく、子どもや孫に譲ったり、フリマアプリなどに出品する方法もあります。
●「出す」「分ける」「減らす」「しまう」の4つのステップ
●捨てる決心がつくルールを決める
●誰かに譲る方法も考える
資産の管理のポイント
残された家族の負担を減らすために、資産に関しても、前もって整理しておくことが大切です。
相続財産の対象となるもの(預貯金、不動産・土地、株式や投資信託、宝石や貴金属類など)は財産目録としてリストアップしておくといいでしょう。
また、相続によるトラブルを避けるためにも、財産目録には負債もしっかりと記載しておく必要があります。
●相続財産の対象をリストアップする
●銀行口座や証券口座を一本化
●自宅の所有権、借地権、抵当権があるのかを情報共有
デジタル整理のポイント
デジタル整理では、スマホやパソコンに保存されている画像や動画などを整理していきます。
また、スマホの定期購読・継続購入(サブスクリプション)サービスの解約や、LINEやTwitterなどのSNSのアカウントを削除する際には、ログイン用のIDやパスワードが必要になるので、事前に確認しておきましょう。
●パスワードの確認・整理
●画像や動画を分別する
●継続利用するサブスクと解約するものをリスト化
人間関係の整理のポイント
生前整理は、目に見えるものだけを整理するのではなく、今までの人間関係を見直すことも含まれます。
年賀状やお中元・お歳暮などだけで付き合いがある人との関係を整理し、今後も付き合いたい人を選んでいきます。
今後も付き合いたい人は、一緒にいて気を使わない、一緒にいて楽しい、など自分なりの基準で考えてみましょう。
●今までの人間関係を書き出す
●連絡を取らなくても不便でない人(年賀状やお中元・お歳暮だけの付き合い、仕事や子ども関係でのつながりなど)との関係を整理する
●本記事で紹介している情報は、2022年7月15日現在のものです。これ以降の法・制度改正等には対応しておりませんので、あらかじめご了承下さい。
●本記事で紹介している情報をもとに行動したうえで発生したトラブル・損害につきましては、一切の補償をいたしかねます。自己責任の範囲内で検討・実践してください。
■監修/小泉 寿洋(終活カウンセラー1級・ファイナンシャルプランナー(AFP))
■イラスト/宮坂希
※この記事は『老後とお金の不安が軽くなる 終活の便利帖』(マキノ出版)に掲載されています。