音を悪くする要因の1つが、オーディオコンポの振動だ。その対策として、インシュレーターやラック、スピーカースタンドなどを使って音を安定させたい。それぞれの特徴や効果を解説しつつ、今、評判の振動対策アイテムを紹介しよう。
本稿は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
なぜ、振動対策が必要なの?
音を濁らせる原因を抑える必要がある
振動は、オーディオの大敵だ。スピーカーは、音を出すときに振動する。この振動がスピーカーから床に伝わり、それがまたスピーカーを振動させることで音を濁らせるのだ。しかも、この振動はスピーカーだけでなく、プレーヤーやアンプにも悪影響を及ぼすから始末が悪い。
ほかにも、プレーヤー自体の回転振動や、アンプではトランスが微振動やノイズの発生源となって、デリケートな回路パーツなどを振動させてしまう。
そこで、振動を抑えたり、吸収したり、効果的に逃がしたりする対策が必要になるわけだ。
振動を抑えるアクセサリーにはどんな種類がある?
効果が実感しやすいインシュレーター
振動対策のためのアクセサリーには、オーディオボードやインシュレーター、ラック、スピーカースタンドなど、いくつかの種類がある。
ボードやインシュレーターは、機器に敷いたり挟んだりして使うもの。また、ラックは、機器の収納台というだけでなく、最近は「音のいいラック」といわれる製品もあるほど、音質改善効果が目覚ましいアイテムだ。
これらの中で、安価で効果を実感しやすいのがインシュレーターだ。早くから多彩な製品が開発され、そのノウハウが、ボードやラックにも生かされるようになっている。
コンポを下から支えて振動処理を行うのはボードも同じだが、インシュレーターはコンポの脚代わりとして、より直接的な働きをしているのだ。
インシュレーター、スピーカースタンド、ラックの選び方、使い方を知りたい
素材は”硬さ”が重要。ガタが出ないよう設置
アクセサリーにはさまざまな素材が使われているが、振動対策の観点でいうと、素材には条件がある。それは”硬さ”で、これは耐荷重の面からも重要だ。金属や木材、カーボン、樹脂などがよく使われるが、それぞれ音の傾向も異なるので、好みで選ぶといい。
では、実際にどう使うのか。まず、インシュレーターの場合、コンポの下に敷く際に、4個または3個を1セットで使うことで効力を発揮する。
4個なら4点支持、3個なら3点支持となるが、いずれにしてもガタが出ないよう、平らな場所に設置したい。また、その構造(1ピースか2ピースか)や素材の組み合わせ、形状の違いで微妙な音作りが楽しめる。
●インシュレーターの置き方の例
スピーカースタンドは、特にブックシェルフ型の小型スピーカーには必須だ。これも、素材や構造がさまざまだが、使用するスピーカーに専用スタンドが用意されているなら、それを使うのがベスト。
汎用のスタンドを選ぶ場合は、高さと天板サイズのチェックが重要。底部にスパイクの付いたタイプは、少しのガタも許されないので丁寧に調整したい。
ラックに関しては、最近は実に多彩な素材が使われている。見た目にもきれいな製品が多いので、音の好みと併せて吟味しよう。
注目の振動対策アクセサリー
今、評判の振動対策アイテムを紹介しよう。ここに挙げた6モデルは、新素材や新構造を採用して開発された、注目度の高いインシュレーター、ボード、そしてオーディオラックだ。
Stillpoints
ULTRA MINI インシュレーター
実売価格例:2万1120円(1個。ベースなし)~
●幅24mm×高さ30~34mm
●重量64g
●耐荷重24kg
内部のボールを活用したインシュレーター
Stillpoints(スティルポイント)の小型タイプのインシュレーターだ。内部のボールによって縦振動を横振動に変え、熱に変換して消滅させるという、球体とのコンビネーションが特徴(米国特許取得済み)。音像が立体感を増し、分離が鮮明になる。
ティグロン
MZシリーズ MZ-1/MZ-2
実売価格例:【MZ-1】6270円(3個)、8360円(4個)/【MZ-2】7840円(3個)、1万450円(4個)
【MZ-1】
●直径33mm×厚さ10mm
●重量14g(1個)
【MZ-2】
●直径33mm×厚さ17mm
●重量16g(1個)
マグネシウム製のスパイクと受け皿
マグネシウムインシュレーターのMZシリーズ。16年ぶりのリニューアルで、スパイクのMZ-2と受け皿MZ-1の名コンビだ。素材の純度を高め、塗装や加工法を見直し、音の表現力が大きく向上した。
クリプトン
AB-777
実売価格例:3万1900円
●幅450mm×高さ37mm×奥行き400mm
●重量9.0kg
高音質な素材を採用したオーディオボード
豊富なラインアップを誇るクリプトンの薄型で高性能なオーディオボード。このAB-777は、音質のいい素材を吟味して、ベースはゴムの木ランバーコア材。表面には、高級家具でおなじみのモアビ(南洋桜)の突き板を採用している。
アンダンテラルゴ
サイレントマウント SM-5TX
実売価格例:6万円(3個)、8万円(4個)
●直径50mm
●重量60g(1個)
●耐荷重80kg(1個)
チタン素材で薄型の高性能スパイク受け
アンダンテラルゴの高性能スパイク受けだ。型番の「X」は、10周年モデルにして最終形。素材はチタンで、徹底した薄型化や、二重リングによる共振の打ち消しがその特徴だ。静けさや純度、音楽の力強い臨場感などが圧倒的に高まる。
タオック
ASRIII-3S-NS
実売価格例:16万8040円
●幅595mm×高さ554mm×奥行き533mm
●重量28kg
●耐荷重100kg/1段当たり
ハイブリッド構造により高い制振性を発揮
ダイキャストフレームの美しいデザインと、同社が得意とするスーパー・ハイカーボン鋳鉄を用いた連結構造が特徴。このハイブリッド構造により、安定した制振性能を発揮する。「NS」の塗装は、シルバーメタリックだ。
サウンドマジック
XU03FS II
実売価格例:20万9000円
●幅605mm×高さ580mm×奥行き458mm
●重量62.9kg
●耐荷重200kg/棚当たり
合わせ防弾ガラス採用の高級3段ラック
サウンドマジックの高級ガラスラックだ。1段1段積み上げるタイプの製品もあるが、このFS IIは完成(支柱が連結)されたラックの最高峰。3枚の合わせ防弾ガラスを3段用いている。ルックスも抜群。音質もトップベルだ。
■解説/林正儀(AV評論家)
※情報は記事作成時のものです。
※この記事は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)に掲載されています。